ルーシュとアベル
いろいろやっていたせいか、すでに時間は学校が終わる時間になっている
アベル、ルーシュと待ち合わせをしていた場所は、町はずれの森の中で、魔物がほとんどおらず、昼間は子供たちの遊び場にもなっているのだが、この時間には誰もいないことは確認済みだ。
そろそろ来るかな?
と思っていると、俺の予想どうり、二人の姿が見える、
「やあ、俺は仮面の騎士だ、よろしく」
あれ?仮面の騎士ってこんな感じだっけ?
俺がそう言うと、驚いたのか、二人は口をポカーンと開けたまま固まっている、
しかし、ルーシュは直ぐに向きなおり、何時でも戦闘に入れるように剣に手を当てて魔力を高めはじめる。
「仮面の騎士さんが俺達に何の用ですか?それに、タツヤは?」
笑顔になりながらも、ルーシュは警戒を緩めていない、アベルの方はまだポカーンとしているけど。
「タツヤ君にはもう話したんだけど、君たちの友達のことで、話したいことがあってね」
「「友達?」」
俺がそういうと二人は少し警戒を緩めて話を聞いてくれる体制になった、
「ああ、実は・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺は二人に、ミラのことについて分かっていることをすべて話した、もちろん、借金のことや暗殺をしていることもだ
「つまり、ミラは脅されて組織にいいように使われているってことですか?」
「そういうことだね」
「許せねえ・・」
アベルはこぶしをぐっと握って、怒りで魔力が今にも爆発しそうになっている
「落ち着いて、アベル、その話が本当なら、いや、ミラが学校に来なくなったことから、その話は本当かもしれないけど、仮面の騎士さんがこの話に手を貸すのはなぜなんですか?」
「少女を脅して暗殺者として利用していることももちろん許せないけど、迷惑な組織の壊滅が一番の目標だね」
「組織の壊滅・・・」
ふー、あらかじめ考えておいてよかった・・・
「その話・・俺達にも手伝わせてくれ!!」
アベル、こいつ初対面の人にもため口なのかよ
「もとよりそのつもりだよ、でも、ルーシュ君が言ったように、俺が本物なのか確かめたいだろうし、俺も君たちの実力が知りたい」
「・・・つまり、俺達と仮面の騎士さんが戦うってことですか?」
「そういうことだね、弱い奴を戦いに連れて行って死なれても困るからな」
俺がそう言った途端、武者震いをした、二人の目が輝きだす
「・・・いいんですか?俺、偽物でも手加減できる気がしませんけど」
「俺もだ」
どうやら二人ともやる気は十分みたいだな
「手加減なんていらないさ、本気でこい、もちろん二人同時にな」
ルーシュはすぐにエクストラスキルを発動させ、鎧を身に着けると、腰にある剣に手を当てて剣を抜く
「こい、デュランダル」
剣を抜くと同時に、高速の居合切りで俺に攻撃してくるが、デュランダルによってそれを防ぐ
久しぶりに使ったけど、やっぱり自分で剣を持つよりも断然使いやすいな、それに、剣を使っていたから、剣筋もよめる
自慢の居合切りを簡単に防がれたことに少し驚いていたルーシュだったが、すぐに剣を戻し、次の攻撃に移ろうとする
悪いが、剣戻して再び斬るスピードより、魔法の発動の方が断然早いよ、まあ、ゲームの魔法に限ってだけどな。
フレイムタワー
ルーシュの足元から炎の柱が出現し、その勢いのままルーシュを上空に打ち上げる
鎧きてるし、大丈夫だよな?
すると、炎の柱の陰から、炎の腕が俺を掴もうと襲ってくる、
アベルのこの魔法も、剣しか使えないときは厄介だったけど、魔法ありならかなり弱点があるな
俺は炎の腕が出ている所を確認して、ウインドバースト、風の砲弾を、炎ごと消し飛ばしながら放つと、
ぐああ!という声とともにアベルが吹き飛ばされる
俺は少し笑いながら
「どうした?そんなんじゃ戦いに連れていけないぞ?」
「っく、そのうざい感じどこかで・・・」
ビク!!
うん、馬鹿にするのはやめよう
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
戦いを始めてから2十分ほどが経過したが、まだ俺は一撃も攻撃を当てられてはいない
ルーシュの攻撃はデュランダルで簡単に防ぐことが出来るし、アベルの方はシスに任せて魔法を連打してもらえばいいしな
正直、このままでは一撃たりとも攻撃を当てられる気がしない
「なんて魔力量だ、あの剣を出したまま馬鹿みたいな威力の魔法を何発も・・・!!」
「それに、あの剣精密さもとんでもないね」
二人は何度も飛ばされたりしているにも関わらず、そこか楽しそうに、戦っている
「このままじゃいくらやっても無理だな、もっと考えたらどうだ?」
二人は顔を見合わせて少し考えると、ルーシュが、
「仮面の騎士さん、タツヤにはもう話はしたって言ってたけど、タツヤはこれすぐにクリアできたの?」
「え?」
あー、そのことは何も考えてなかったなー、まあ適当に・・・
「ああ、すぐにクリアしたさ」
「流石タツヤだね」
「っく、俺も負けてられるか・・・!!」
悔しがる二人を見て少し心が痛みました
「せっかく二人いるんだし、それを活用しないでどうする?」
おっと、ちょっとヒントをあげすぎたかな
二人はうなずき合い、一度に別の方向に散らばると、
俺の目の前にきたルーシュが、盾の輝きをさらに強くして、俺の視界を一瞬奪う
すると、それと同時に、炎の腕が俺の体を拘束してくる
「今だルーシュ!やれ!」
ルーシュはその隙に、俺に攻撃しようとする、
うんうん、そういう連携をしてほしかったんだよ、もとより、二人で一人の幹部を相手にしてもらう予定だったし
でも・・・ゲーマーから言わせてもらうと、まだまだだな
サンダーレイン
俺はあらかじめ記憶しておいた座標に、雷を落とすと、少し時間が経って、炎の拘束が解かれた
周りを見ると、気絶寸前のアベルとルーシュが倒れている
「俺の魔法は拘束されても撃てるからな」
二人は倒れたまま、
「この国の英雄は本物だったね」
「反則だろ・・・」
個人の実力派ルーシュが上だが、連帯戦ならアベルの能力の方が使えるって感じだな
「まあ、二人にはこの作戦に参加してもらうよ、十分な強さだったからね、それじゃ、また連絡するよ」
俺はそのばから離れると、仮面をとり、急いで服を着替えて、タツヤとして二人のもとに戻った。