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ミラの秘密2 

ミラを少し追いかけていると、お盆に大きなパンをいくつか乗せたまま、脇道に入る


なんでわざわざこんな所に持ってくるんだ?


別に気付かれてもいいのだが、何となく隠れて尾行していると、細い道の中央辺りで立ち止まり、

周りをキョロキョロと確認して、その横にある扉位入った。


ずいぶんと古い建物だな、こんな所に一体どうしたんだ


ミラが入っていった建物は、所々に傷がついていて、黒く変色した柱からもかなり古いことが分かる

かろうじて、立っていると言った感じだ


俺は少し回って建物の上に行ってみると、中から声がした


「あ!お姉ちゃんおかえり!、今日もご飯持ってきてくれたんだ」

「うん、お腹すいたはず、早く食べるといい」

「ありがとう!お姉ちゃん」


どうやらミラの他に、女の子が二人いるようだ、お姉ちゃんってもしかしてミラの妹か?

そういえば妹がいると話していたな


軋む屋根から音が出ないように降り、中を覗くと、ミラが妹達に、学食から持ってきたパンを与えていた


「モグモグ・・・、おいしい!お姉ちゃんは今日ももう食べちゃったの?」


「うん、ごめんね一緒に食べられなくて」


「ううん、お姉ちゃん忙しそうだもん、わがまま言っちゃダメなの」


そういう妹に、ミラはにっこりと笑い、二人の頭を撫でている


・・・ミラ、どういうつもりだ?あの食堂では、一日に一回までしか無料券を使うことが出来ないはずだ、それにもう食べたなんて、そんなわけが無い。


ミラは以前、珍しく暗い顔をしたとき、「私はお金を持っていないから、学食券をもらって本当にありがたい」と言っていた、食堂でミラを見かけた時も、一人でゆっくり食べたいのだろうと思い、

声をかけないでいたのだ

しかし、ミラはお腹を押さえてどこか苦しそうにしていることが多々あった


そこで、俺は目の前の光景を見て、ある考えに辿り着く


もしかして、ミラは学食で買った食べ物を毎日ここに持ってきて妹たちに与えているのか・・・?


そう考えると、今までミラがいなくなっていたのも分かる、つまりミラは今までずっと

妹達のために、自分の空腹を我慢して自分はもう食べたと嘘をついていたのか・・・


何故俺達に教えてくれなかったんだ・・・いや、そんなことを考えるのはやめよう

そんなことをペラペラと人に、ましてや友達に喋れるわけが無いんだ、言ってくれなかったミラを責めるのは自己中心的だ、俺はそんな主人公みたいなおせっかい野郎になるつもりは無い


その時、ミラが入っていった扉の前に、人が立っているのを見つけて、直ぐに身を隠す


立っているスキンヘッドの男は、バン!!と扉を蹴って開けると

「おう、ミラ仕事の話をするぞ」


キッと男を睨むミラは、

「・・・外で待ってと言ったはずだ、妹たちが怖がるだろう」


しかし男は鼻で笑い、大きく目を開くと、威圧するようにして

「はん、なんで俺がお前らを気遣わなけりゃなんねえんだよ」


ミラの妹達は、怯えてミラの後ろで震えている


「直ぐに戻ってくるから、安心して」


そう言ってスキンヘッドの男とミラは家を出る


「・・それで、次は何?」

「これだ」


男は一枚の紙をミラに渡す


(シス、見えるように魔法で調節してくれ)


すると、ミラが手に持っている紙の内容が見えてきた


名前:アレス・セイ

と書かれてある横に、いかつい顔が載っており、その下に、ぞの人物の居場所であろう地図のような物がかかれている


そのさらに下の文字を少し読むと、この男は、スキンヘッドの男の盗賊団の敵対組織である重要人物だということが直ぐに分かった。


「こいつを、一週間以内に殺せ」



っっっ!!??



こいつ、今殺せって言わなかったか!?


ミラを見ると、何処か表情を暗くしているが、その眼は確かに紙に書いてある情報をしっかりと読んでいた


「・・・分かった、やり方は?」


「どうでもいい、とにかく、期限以内に殺せなかったら、お前の妹どもまとめて奴隷になるからな、覚悟しておけよ、ま、出来たならいつもみたいに借金を減らしてやるよ、お前は殺しの腕は一級品だからな」


奴隷だと?いったいどういう・・・もしかして


(シス、この世界の人が奴隷にされるのは、どういった時だ)


(そうですね、様々と言いたいところですが、この王都でそんなことが出来るとしたら、真っ当な手段、

つまり、借金を払えない、というところでしょうね)


だろうと思ったよ、つまりミラ自分の借金と妹達のために、この男の組織にいいように使われているのか


「私はどうなってもいい・・でも、妹達を傷つけるのは許さない・・・!!」


「それはお前次第ってやつだ、ああ、それと、お前学校に通っているだろ、

学校を出てちゃんとした仕事に就こうとでも考えたんだろうがな」


「それがどうした?」


「今後、学校に行くことは許さねえ、もし見つけたら、すぐさま奴隷行きだ」


「っ!?」


どうやらミラは、この男の組織から逃れるために、学校を出て仕事を見つけようとしていたらしいが

男の組織にとっては借金で脅すことのできる優秀な人材を逃したくないのだろうな


「ふ、ふざけるな!お前達の仕事はちゃんとこなしているだろう!!」


「なんだ?文句でもあるのか?」


ニヤニヤと笑いながら家の中を指さす男は、妹達がどうなってもいいのかと言われ

ミラは歯を食いしばって男を睨むことしかできないでいる


「っハッハッハ!、元有名貴族が、不正政治で借金まみれ、その上、親だけどっかに消えちまって子供がその肩代わりとは、みじめすぎて笑いしか出てこねえよ!!」


元貴族・・・今の話を聞く通りに解釈すると、ミラはもともと貴族で、その親の不正によりかなりの借金

をしてしまったらしい、それも、こんな組織にだ


直ぐにでもこの男を殺したくなったが、ここで殺すと、何も解決しない。

恐らくミラが借金をしていることは本当のことだろうしな


「それじゃ、また一週間後に来るからな・・あ、そうそう、お前顔だけはいいから、体の使い方を覚えさせてやろうか?なかなか稼げるぜ?」

男はミラに下卑ためを向けるが、ミラの殺気を含めた圧を感じると、「おー、怖い怖い」と言ってどこかに消えていく、しかし、またすぐに戻ってきて


「もう一つ言い忘れてたぜ、最近物忘れがひでえな、その紙の裏に、もう一人ターゲットが書いてある、

そいつはの期間は一か月だ、情報がほとんどないが、この街にいるのは確かだ、見つけて殺せ、世間に興味なさそうなお前でも知ってる奴かもな」


そして男がいなくなった後、ミラはその紙を裏返す、そこには・・・


名前:仮面の騎士?


理由:この国のかなり強力な力を持つ人物、仕事をする際に邪魔になる可能性大、どうやら今は国側の

肩をもっていると考えられる


そこには仮面の騎士・・俺がターゲットになっていた。




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