強さ
「なん、だと…!?」
医務室の様なところに横たわるハチを見てラウスが驚愕を通り越した様な顔をする。
いや、そんな顔されても。
おれもその顔になっている事に気付いてくれ。
ラウスはおれの方を向くと、
「お前、トパーズと言うのは嘘だったのか?」
疑いの目で見てくる。
嘘をついていたら今にも殺されそうな雰囲気だ。
すると、
「ふっふん♪お父さまだから言ったじゃありませんか!タツヤは凄いんですよ!!」
ティアが腕を腰にあて、胸を張って自慢気な顔をして横やりを入れる。
「だとしても!ハチはサファイアだぞ!?そう簡単に……いや、これは俺が自分の目で見た紛れも無い事実。認めるしかないな。」
ラウスはこの事を納得すると、再びおれに向き直り、
「いまの見たことがない魔法はトパーズになって得たエクストラスキルか?」
うわーどうしよう。異世界の事を言うか?
いや、これ以上変な奴認定されたら、騎士団の話も無くなりそうだな〜
と、おれが悩んでいるところを見ると
「いや、やはり聞かないでおこう。
お前には、それを言えない事情があるように見えるからな。
騎士団の話も勿論、合格だ!」
ラウスは聞かずに笑っておれを合格にしてくれた。
こ、このおっさんかっけぇ!
なるほど、ティアのお父さんってのがよく分かるな。
しかし、
「いえ、騎士団に入るのは少し待っていただけませんか。」
「なに?」「えぇ!?」
おれは続けて、
「さっきの魔法は本来、相手を混乱させるだけの魔法なんです。でも、さっきはハチさんを気絶させてしまいました。
おれはまだ今一魔法の使い方が分かっていないようなのです、だからおれが魔法の使い方を学ぶため一週間程時間をください!お願いします!」
おれは、深々と頭を下げる。
自分がなんて生意気な事を言っているかを自覚しているからである。
ラウスはそれを見ると、
「確かに、自分が思っていたのと違う魔法を出す奴が団に入るのは連携を取る際に危険だな。
分かった、それまでの生活のためのお金はお前にやろう。
お前が団員になってからの活躍に期待しての投資だ。遠慮なく受け取れ。」
お金の事は後でどうにかしようと思っていたんだけどな…
おれは団員にになったら全力で働く事を決意し、
「ありがとうございます!」
素直にお金を受け取る事にした。
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おれはその後一週間泊まる宿を探すためにこの城の城下町に向かう事にした。
城を出る前にティアが、
「わ、私も行きます!」
と、言ってきたが、
「じゃあお前は一週間おれと同じ部屋で寝泊まりすんのか?」
と言うと、顔を真っ赤にして、諦めてくれた。
よかった、そんな事になったら理性を抑えられる自信がないからな。
頭のなかにティアのあんなシーンやこんなシーンが浮かび上がってくる。
おれは首をぶんぶんと横に振って妄想を消すと、
「じゃ、一週間後またな!」
「はい!」
おれは新しい世界にやっと、心を躍らせながら前に進むことが出来た。
少し事情があってかなり短くなってしまいました。
次の回からは、かなり長めに書こうと思っております!( ̄^ ̄)ゞ