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プロポーズ

ラウスが運ばれていったのを見送り、用意された檀上の上を見る。


そこには、うつむいたままのティアがいた


ティアの体は少し震えている、俺は心配になって急いで檀上を昇る

そして、

俺が目の前まで来ると、ティアはゆっくりと顔を上げる、俺を見つめるその眼には涙がみえた


「タツヤ・・私・・私・・」


そうか、やっぱりティアには俺が仮面の騎士だってばれてたか


俺はそんなティアを思わず抱きしめる、ティアは驚いて一瞬体をビクっとさせたが

すぐに落ち着いて俺に身を寄せた


「な?どっかの誰かが助けに来てくれただろ?」


少しして離れると、ティアの顔は真っ赤にして恥じらうように下を向いている

しかし、上目遣いで俺のことはしっかりとみていた。


「い、いきなりごめんな」


「い、いえ!その・・・う、嬉しいです・・・すごく」


本当に嫌だったと思われたと思ったのか、ティアは慌てて訂正する


そんな反応をされるとこっちまで恥ずかしくなるだろ・・・



少し照れくさくなった俺は、


「と、取りあえずやることを済ませよう」


そう言って、俺の言葉を待っている観客の方を見る、そして全員に聞こえる大声で


「俺はこの結婚を無かったことにする!!」


「「え?」」


会場全体の声、俺の後ろからも聞こえた気がする、

この結婚の決定権は俺にある、この宣言に対して物をいえる奴は居ない


「しかし、王族になる権利を持つ俺が一つだけ仕事をさせてもらう」


会場全体が俺に注目する、姫との結婚を断るとは思ってもいなかっただろうからな


「まず、ティア姫の婚約相手を決めるこの大会は今後廃止する!つまり、ティア姫の婚約相手は、ティア姫自身が決定権をもつこととする!」


この言葉に、観客席の上で観戦していた貴族が椅子から立ち上がる


「ふざけるな!そんなことをさせてたまるか!!」


まあ、当然の反応だろうな、貴族たちは自分の息子が姫と結婚することを望んでいるが、それ以上に

一般庶民が自分たちの上に立つことを恐れている、もし、今まで下に見ていた庶民が自分の上に立つことがあればはらわたを煮えくり返すだろう


まったくプライドだけは高い奴らだ


すると、叫んだ男の隣に座る貴族が

「落ち着け、あれを使えばよかろう」


こそこそと叫んだ男に何かを耳打ちする、そして、そうか!と言うと


「ここにはこの国の貴族が全員揃っている、これより、今の申し出の許可を貴族投票により決める!

今の申し出に反対の者は挙手を!!」


貴族投票とは、貴族による、この国の大きな決定をする際に用いられる方法だ、

もちろん、王様に最終的な決定権はあるが貴族は領地をもっている、つまり、領地を支配している

貴族が望むことは、領地の全員の望みとすることが法、

いままで、この法のせいで、ラウスは動けなかったのだ


大声で言い放った貴族、しかし、それに賛同して手を挙げたのは先ほど耳打ちをした貴族だけだった


「な、なぜだ!?」


俺は仮面の中で静かに笑みをこぼす


計画通りだな、流石シークレットエルフだ


そう、この結果になったのは俺たちの計画があったから、俺達が最初にボルドを魅了して従えたのは

ただ権威があったからだけじゃない、大会一回戦目の後、ボルドは貴族内で賭け事をするために、

お金をかける貴族とその日に一人一人会うということを俺達は掴んでいた

そして、その面会時に他の貴族も魅了する計画を立てていたのだ


この計画はほとんどエルフ達に任せていたが、どうやらうまくいったようだ


「皆さん!どうしたのです!?」


他の貴族の反応に焦りを隠せない二人の貴族、

そして、ゆっくりとボルドが立ち上がり、


「賛成の者は挙手を」


二人の貴族以外、全員の手が上がったのだ

この瞬間に、ティアは自分の好きな人と結婚することが出来るようになった


「な、、なな」


二人の貴族は、ありえない光景を見たかのように、地面にへたり込んでしまった


「ふう、これで作戦はすべて完了、、だな」


うおー!!!と会場から声援が飛び交う

「お姫様に結婚相手を自分で決められるようにするために、この大会に出てたのか」

「だめだ、あの仮面の騎士俺達が思っていた以上にすげえ・・・」


「てことは、もしかしたら俺も姫様と結婚できる可能性があるってことか!」

「安心しろ、お前は無い」


俺のこの行動に、ティアとの結婚を考えたものもいるようだ、すこし会場が落ち着くと、

実況がタイミングを見計らったかのように


「驚きの展開でしたが!これにてティア姫の結婚大会を終了とします!!」


という言葉を最後に、ティアの結婚大会は幕を閉じたのだ



少しすると、会場には人が誰もいなくなった、

残っているのは檀上の上で待っていた俺とティアだけだ


ティアの方を向くと、何故かティアは頬を膨らませていた


「む~、タツヤは私との結婚がそんなに嫌ですか」


は?そんなはずが無いだろう、


「そんなはずが無い、でも、ティアの同意がないと、それは貴族共がやろうとしたことと同じことだ、

ティアが望まないことは絶対にさせない」


俺の言葉にティアは胸を押さえて顔を真っ赤にする、そして、俺の様子を窺うように


「じゃ、じゃあ、私が同意すればいいんですか?」


「え、それって・・・」


ティア真っ赤な顔のまま、戸惑う俺の目をしっかりと見る、

そして、覚悟を決めたかのような表情で



「私、ティア・フローリアはタツヤのとの結婚を心より望みます・・・大好きです!タツヤ」


一瞬静寂が訪れる

俺は驚いた、まさかティアが自分を選んでくれるとは思わなかったからだ


計画を進める間にも、シオンやフリルの言葉を聞いてむきになっていたと思う、それがティアへの気持ちだったということがようやくわかった


俺もティアが好きだ。


「タツヤが私の命を救ってくれたあの時から、、ずっとタツヤのことが気になっていました、タツヤが出て行ってからもその気持ちが抑えられなくて、何度か城をこっそり出て行ってたりしていたんですよ?まあ、直ぐに護衛の方に見つかって連れ帰られちゃってましたけど」


俺はお腹を抱えて笑った

「ティアらしいな!」


「ちょっと!それってどういうことですか!?」

ぷんぷん、と頬を膨らませていう


俺がこういったのはティアへの照れ隠しかもしれない

俺はティアのことを本当に愛おしくの感じていたのだ


「ははは、笑って悪いな、いい意味だよ」


「本当ですか・・?」


そうして俺とティアは笑い合った、そして、俺は自分の気持ちと向き合い覚悟を決める


「・・・ティア、俺もお前が好きだ、その、、結婚相手は俺でもいいか?」


俺がそういうと、ティアは涙を流した、俺はその涙を手で拭う

そして、ティアは満面の笑みで


「は・・い!」


その時、

絶望を具現化したかのような漆黒の龍が空を覆った






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