バトルロイヤルは遭遇戦
部屋から出て、リングへとついた俺たちは驚くべき光景を見た、
なんと、とてつもなく広いリングには、迷路のように区切られた壁が立っていたのだ。
すでに観客は満員になっている
「なんだよこれ・・・」
他の参加者を見ても、口を開けてその光景を眺めていた、
それにこたえるかのように、兵士の一人が、
「ただ丸いリングでバトルロイヤルを行っても、乱戦になり、個人の強さが測りかねますので、
今回は、仕切りとしての壁を魔法で生成し、遭遇戦にしようとお考えのようです」
部屋で結構待たされたのはこういう訳か、
少し飛んで、リングを見渡してみる
丸いリングに、迷路のように区切られた壁、高さは5メートルほどでかなり入り組んでいる、観客席から見たら、全体が見えるような作りになっているようだ、特に、真ん中が大きく空いているわけでは無く、道の幅は約10メートル
ほどで、戦闘に差支えはなさそうだ
なるほど、遭遇戦をつくり出すにはこれがベストなのかも
下で兵士がおーい、と呼んでいるので下に戻る、
兵士は呆れた顔で、
「はあ、仮面の騎士さん、大会中は壁を超える飛行はしないでくださいね」
まあ、そうだろうな、こんな壁を用意しても飛行されたら遭遇戦になんてならない
「努力するよ」
とだけ言っておいた、
その時、
もう一人の兵士が、背の高い男を連れてリングにやってきた
「ええっと、この方は、実は特別にシード権を持った参加者でして、このバトルロイヤルから参加する
ことになりました、決まっていたことなので、異論は認めません」
そんなことを言いだしたのだ、
連れてきた男を見ると、顔を覆うほどの大きな仮面のしていて、ガタイがよくスリムな体系をしているため、戦闘に特化していると言ってもいい体つきをしている、髪は茶髪だ。
ん?なんか見覚えがあるような・・・いや、気のせいか
先ほど、棒読みのように説明していた兵士が、男に向かって小さな声で
「これでいいんでしたっけ?」
と聞いたのに対し、男は小さくうなずいていた
うーん、ますます怪しい・・・
会場のでも、実況の女性が同じような説明をしていた
そして、その説明が終わると
「それでは、これより!この六名で行われる決勝戦!バトルロイヤルを始めまーす!!」
ワアアアア!!!!!
会場も、決勝戦ということで、席はあふれかえるほどの人がいる、
(まあ、気になることはいろいろあるけど、やるぞ!シス)
(はい、マスター!)
そうして、俺達は兵士に一つの結晶を持たされた、
聞くと、この結晶は転移結晶の一つで、開始直後にランダムでこのリングのどこかに飛ばされるらしい
このバトルロイヤルのルールは特にないが、残り二人になると、全ての壁が無くなり、
開けた場所での一騎打ちになるらしい
最初の位置が結構大事になってくるだろう
「それでは、いきます!!」
「「「さーん、にー、いーち!」」」
「バトル~スタート!!」
その瞬間俺たちは光に包まれ、それぞれがリングのどこかに飛ばされた
*
さて、いまの位置を把握するか
(シス、ソナーの頼む)
(はい)
シスは俺の命令で、かなり大きい感知ソナーの魔法を放つ
俺の場合、ランダムな遭遇戦にはならない、感知の魔法に他にもいろいろと、この閉鎖空間でも
自分の位置を知る方法はいくらでもあるからな
悪いが今回は負ける訳にはいかない、本気でやらせてもらう
俺はシスから受け取った情報を確認して、最も近くにいる人物を確認する
・・・いずれ戦うことになるんだし、今のうちにやるのもいいか
そう決めると、俺はその人物の元に疾走する
その人物の背後を取り、かなりの距離から炎魔法を放つ
しかし、、
その魔法は、突如、その者の周りから出るオーラに触れると消え去ってしまった、
あのオーラには感知の効果もある、まあ知ってたけど
「あらー、なんだか可愛くない見たことも無い魔法が飛んできてると思ったら、やだ、まさかあんたが
最初の相手とはねえ」
そう、その人物とは、キャシーだ
「おおっと!!ファーストバトルはキャシーvs仮面の騎士だああ!!」
実況の声は、ほとんど真上から聞こえるため、よく聞こえる
うーん、実況の声で戦況が分かるから、そのあたりも頭に入れて動かないとな
とはいえ、かなり広さがあるため、近くにいない限り、音をきいてこの場に来ることは無いだろう
「面倒なことは先にやっとく性格でな」
「あら、言ってくれるじゃない・・!」
キャシーは俺との距離を一気に詰めようとする、
作戦開始だ、
俺は、キャシーと戦うために買っておいた人形を、キャシーの目線に入らないように下に置いた
そして、近づくキャシーに、ありとあらゆる攻撃魔法を撃ち始める
「なんだこの光景はあああ!!正直、すごすぎて言葉で表せません!」
驚くほどの速度で近づくおかまに基本一人一属性と言われているはずなのに、様々な属性を持った
超威力の魔法を連続で打ち出している仮面の男、確かにすごい光景だろう
「ふふふ!そんな攻撃が私に通用するとでも?」
「さーな!」
キャシーは俺の攻撃をすべて消し去り、ひるむことなく突進してくる、
ついに、キャシーの攻撃範囲まで来た
「いくわよ!!」
キャシーの、精錬された体術の攻撃、一応、エルフに手伝ってもらって体術の特訓もしたけど
これはあんまり意味ないかな・・・!
それほどにキャシーの体術はすさまじかった、なんとか攻撃を受け流しながらも、
少しづつダメージを受けてしまう
「デュランダル!」
俺は右足での回し蹴りの放とうとしているキャシーと俺との間に、デュランダルを出現させる
ガイン!!
!?
と鈍い音がして、デュランダルによりキャシーの攻撃は止まった、
慌てて、後ろに下がった、キャシーは剣の確認すると、すぐに消した
「あなたが、そんなもの隠してたなんてねえ、流石、といったところねえ、」
でも、
「二度とあなたが剣を出せるような隙は作らせないけど、さあ、仕切り直して第二ラウンドよ」
そう言って、キャシーは構えの体制をとる
しかし、俺は第二ラウンドなんて始める気は無かった、なぜなら
「その必要はないよ、必要な情報はそろったし、チェックメイトだキャシー」
「え?」
そういった俺は、キャシーに続けて同じように魔法を撃ち続ける、
俺の言葉に警戒したキャシーは突っ込んでこようとはせず、様子を見ているようだった
そして、しばらくすると、
「ふ、ふん、なにがチェックメイトよ、とんだはったりね!騙されて消耗戦に持ち込まれるとこだったわ!さあいくわよ!」
今だ
(フレイムタワー)
ゴオオオオ!!
「ぎゃあああああ!!!」
キャシーが再び突進しようとした瞬間、キャシーの真下から、天まで届くような炎の柱が発生し、キャシーの体を包み込む、
炎の柱は、キャシーが倒れると、爆散して消え去った、
直後、なんと地面から、最初に地面に置いたはずの人形が出てきたのだ
(よし!作戦成功だな!シス!)
(はい!マスター)
「な、なんで・・・??」
前に倒れたキャシーが何とか首を上げ、俺に問いかける
作戦はこうだ、まずはキャシーの能力を確認する、ある程度は把握していたが、あいつが認識できないものも、瞬時に消すことが出来るのか、この事を知る必要があった、これはデュランダルを急に出現させることで、急な出現、つまり認識していないものを瞬時に消すことが出来ないことが分かった、
後は簡単だ、あらかじめ置いておいた人形にシスを移す、そして、俺が魔法で牽制し、警戒させている間に、シス人形には地面に潜ってもらう、そして、キャシーが完全に油断したとき、唯一の感知範囲外、
地面の中からシスによる攻撃により、魔法を認識させないように倒す、これが作戦だ
地面からの攻撃、これはオーラを地面の中にまで入りこませられないため、最も有効な攻撃手段といえる
まあ、他にも倒す手段はある
まず持久戦、これは俺しかできないかもだけど、キャシーの攻撃を、飛んで回避しながら魔法を撃ち続ける、エクストラスキルの魔法と言えど、魔力は消費される、
まあ、これは無限魔力を持ってないと無理な話だけどな
そして、ゲームの魔法お馴染みの、デバフ、つまり、相手の能力を下げる魔法や、毒状態にする魔法だ、キャシーが認識したものじゃないと分かった今、目に見えないこの方法が確実だろう、
でも、デバフ系の魔法はこの世界にはないらしい、つまり、俺にしかできない
あれ?俺にしかできない方法ばかりじゃないか
まあ、それも仕方ないか、
俺はあのゲームの魔法をすべて使えるといったろ?
出来ないことなんかほとんど無い。
今回は早く終わらせたかったからこの方法をとったわけだが
キャシーを見ると、見事に作戦通りに決まったようだ、
「ふん、自分で考えることだ!」
その言葉を聞いて、キャシーは気絶した
ふふ、俺をいろいろ振り回した罰だ!!
「決まったああああああ!!あの無敵とも思われたキャシー選手の能力を打ち破り、見事、ファーストバトルを制したのは~~~仮面の騎士!!」
実況の声により、他の参加者にも俺の勝利が知られたはずだ、
音もしただろうし、一旦この場を離れよう。
バトルロイヤルはまだまだこれからだ。