フリル・ヘイトの陰謀
キャシーと話をした翌日、
俺は早めに会場につていた、初日みたいなことにならないようにするためだ
一時間前というのに、すでに人の量が半端じゃない、
出店にある食べ物はどれもとてもおいしそうだった。
特にイカ焼きはその独特な香りを振りまいていて今にもよだれが出そうになる。
やっぱりお祭りはどこの世界でもわくわくするよね!
ちなみに俺はイカ焼きが大好きです。
その香りにつられて、ふらっと、その列に並ぶ、、、
すると、
「おい、仮面の騎士だ!仮面の騎士がイカ焼き食いにきてるぞ!!」
その一言で、周りにいた人々が全員こっちにバッと目線を集める、
俺の姿を確認すると、滝のように押し寄せてくる、
そして、いつの間にか人の壁に囲まれていた。
しまったああああ!
逆に、顔見せないとだめだったああ!!
(はあ、まったくマスターは)
「きゃあああ!!本物?本物なの!?」
「いや、でも本物の仮面の騎士様がイカ焼きなんか食べるのか?」
「確かに・・・なにか、すごいもの食べてそうよね、そう、、、人骨、、とか?」
「・・・あるな」
ねえよ!!
いや、普通に宿の料理とかしか食べてないわ!
というか、イカ焼きなんかだと!?貴様、イカ焼きをなめるなよ!!
(マスターがイカ焼きが好きなのはわかりましたから、早く会場に入ってください、ほら、この騒ぎで
さっきから兵士の人が困ってますよ)
く、納得できないが仕方ないか・・・
『飛翔』
俺は飛んで人の壁から脱出した
囲んでいた人たちは、口を開けてポカーンとみていた。
:::
会場に入ると、兵士から控室のようなところに案内された、その部屋はテーブルと椅子、それに木のボードがあるだけの結構大きな部屋だった、
部屋には、すでに昨日生き残った参加者が何人か集まっている、
キャシーは椅子に座って、白い粉をふんふん♪と言いながら顔に塗っていた、
何をしてるんだこいつは、、、ああ、メイクか、おっさんがやってるから、バ〇殿にでもなろう
としているかと思った、
キャシーは俺に気付くと、手の平を口むちゅっとあて、それを俺に向けて放つと、
ハートの塊が飛んでくる(実際に飛んできたわけじゃない)
俺はそれを、全力で回避した
あぶねえ!!こいつ、こんなところにもデーモンの角なんかよりよっぽど危険な武器を持ちやがって!
まじで全身凶器みたいなやつだな、、、いや、存在もか?
もし、キャシーと戦うことがあったら、本気でやらないとこっちがヤラれる気がする。
他にあと一人、
黒髪の俺と同い年くらいの男の子がいた
さっきから俺の方をちらちら見てきて、なにか言おうとして、やめてを繰り返していた
なんだ?どこかであったかな?
(いえ、あの少年と会ったのは大会の日が初めてのはずですが・・・)
まあ、何もないなら気にしなくていいだろ
そして、俺はキャシーから一番離れた席に座った。
:::
五分、十分とともに人が増えてきて、三十分後には全員がそろった
部屋の中は全員(キャシー以外)が緊張している様子で、静かなままだった
緊張感もてこの野郎
すると、
バン!と音がして、ドアから兵士が一人入ってくる
そして、一枚の紙を、ボードに張り出す、
一回戦 仮面の騎士vsフリル・ヘイト
二回戦 キャシーvsボルド
三回戦 シオンvs・・・
・・・
という感じで、対戦の順番と、相手が書いた紙だった
トーナメントでよく見る三角形の図は二回戦の相手が分かってしまうため、俺達にはみせないらしい
英雄や勇者といったっ有名人しか出ない大会だし、次の相手が分かったら対策できるからだろうな
フリルかー、あのちょっときもかった貴族だよな
(はい、防御系のスキル、、、おそらく【防御フィールド:中】でしょう、)
まじかよ、シス、、エクストラスキルも分かっちゃうの?
最近はシスに驚かされてばっかりだ
(それで、どのくらいまで防御できるんだ?)
(マスターの魔法でいうと、『フレイムタワー』で壊せるかどうかといったところでしょうか、デュランダルなら何の抵抗もなく切り裂けます)
へー、思ったよりも固いんだな、
フリルの方を見ると、なにか二ヤついていた気がするが、まあ気にしなくていいだろう
「では、一回戦の出場者の二方、リングに上がってください」
兵士がそういったので、俺は部屋をでてリングに向かった。
*
金髪の貴族、フリルは一回戦の勝利を確信していた。
予選が終わった後、フリルは直ぐにコネを使い次の対戦相手を聞き出した
一回戦 仮面の騎士vsフリル・ヘイト
フリルは絶望した、最もあたりたくない相手と一回戦であたってしまったからだ、
予選のあの出来事はフリルの心を大きく揺さぶった。
だめだ、このままじゃ負ける、
負けたらティア姫と結婚できなくなる、ふざけるな、ティア姫は私と結婚するために生まれたんだ
ティアは絶対にワタサナイ
フリルは直ぐに行動に移した、まずは部下に仮面の騎士の情報を調べさせた、
しかし、集まった情報はどれも約にたたないものばかり、仮面の騎士の炎がすごいとか
仮面の騎士の魔法がやばいとか、、、
その時ハッとフリルはすべての情報の共通点を見つけた
奴は、魔法しか使っていない、、、いや使えない!!
この時フリルは歓喜に満ち溢れていた、絶望的な状況をひっくり返すだけの情報だと思ったからだ
そして、フリルはその日の夜に、会場に細工をした。
警備員を金で買収し、夜の間にある仕掛けを作った
それは、魔力吸引装置というものだ。
吸引の魔力石を二つ置き、座標を指定することで、その座標に存在する魔力を吸引し続ける。
もちろん吸引の魔力石は一般人が買える金額をはるかに超えているが、フリルにはなんの痛手もなかった
これを行えば、魔法しか使えない仮面の騎士は何もできなくなる
テストも行い、作戦は完璧だった。
そして、今に至る、
(くく、作戦は完璧だ、さすが私、、自分の英知が怖いですねえ)
フリルは余裕の笑みを浮かべてリングに入る
「おおっとお!登場してきたのはフリル・ヘイトおおお!あのヘイト家の三男にして、すでに跡継ぎを
任されているという若き天才だあああ!!早くも余裕の表情をみせているぞおお!」
実況の声が会場全体に響き、それに呼応して会場全体も盛り上がり、熱気に包まれる
「さあ、そしてその対戦相手はああ??・・・なんとおおお!!!!仮面の騎士だあああ!!!」
ウオオオオオ!!!!会場は一回戦から仮面の騎士の戦いが見れることに興奮を抑えきれなくなっていた
(ち、うるさい奴らめ、だが、くくく、この状況でこの私が勝利すればここにいる全員が私を慕うことでしょう)
働いリングの陰を見ると、すでに手下が魔石をもって準備を完了させていた
フリルは目線で合図を送る
(よし、やれ!)
その合図で、フリルの手下は魔石を発動させ、それが正常に働いたことを確認すると
わざと時間を稼ぐために、準備運動をして、十分な時間を稼ぐと、実況に始めろと合図を出した
「それでは両者、位置についてくださあい!・・それではみなさん!張り切って!」
「「「さーん!にー!いーち!」」」
「バトル~スタート!!」
フリルは直ぐに魔法の詠唱をはじめ、それが完了すると直ぐに放った
「くくく、ハハハハハ!!!あっけないですねえ仮面の騎士!!」
フリルは勝ちを確信した、あの威力の魔法を、魔力ゼロの状態で受けきれるはずが無いからだ
「みましたか皆さん!!、私が、この私が仮面の騎士を見事打倒したのです!!」
フリルはすでにこの後の自分に都合のいい展開しか見ていなかった、
(所詮!仮面の騎士といえど魔力を奪われた状態ではこの程度だ!)
しかし、
「あのー騒いでるとこ悪いんだけど」
フリルはバッとそちらの方を向いて自分の目を疑った
「俺の魔力奪っても意味ないぞ?俺、魔力無限だから」
そこには、仮面の騎士が、全くの傷一つない状態で立っていたのだ。