【4】秘められた力
門をくぐった俺、聖人と優星は、とりあえず道の角においてある丸太に腰をかけ、現状の確認とこれからの行動について話し合った。
話し合ってまとめた結果はこのようになった。
・俺と優星は学校の前で起きた謎の光を見て、それから気がついたら草原に立っていたことからワープか転移をしたと仮定した。
まず、ワープだとするとまずそんな技術は今の日本にないのでここは宇宙人から呼び出された場所である。
次に転移だとすると、自然災害で転移というのもファンタジーな話では聞いたことがあるが、もしそうだとすると俺と優星の2人しかここに来ていないということになるからあまりに小規模すぎた。なので、何者かが人工的にこの世界に連れて来させたことになる。
以上のことからここは別の星であるか異世界であるということである。どちらにしろこのままでは詰みである。当たり前じゃないか。2人に何をしたら地球に戻れるというんだ。元の世界に行けるのか。
ここまで結論が出たらもうすることは決まっている。
宇宙人だか異世界人なのかは知らないが何者かがここに連れて来たするならば、周りにいる人たちから事情聴取をすればいい。
話しがわかる人を探すため、まずは役所のような機関を探してみた。
聖人「あのー、すみません、この街をまとめているような場所ってありますかー?」
りんごを売っている人「なんだい??りんごは買って行かんのか?」
聖人「えーっと、はい。すみません。無一文なんで‥‥本当にすみません。」
りんごを売っている人「あぁ、そうか。訳ありなんだな。若いのに大変だね〜。さっきの質問の答えだけど、悩んだらとりあえず冒険者ギルドじゃないのかい?重要なことなら役所に押しかければいいと思うけど‥。」
聖人「そうですか!冒険者ギルドですね!ありがとうございます!」
りんごを売っている人「そうか。役に立ててよかったよ。サービスだ。これ持ってけ!」
ひょいって放り投げられたりんごが曲線を描いて俺と優星のもとに来た。
聖人「りんごまでくれるなんて‥‥本当に恩に来ます!またお金が手に入ったらりんご買いに来ますね!」
そう言い残し、笑顔で手を振ってくるりんご売りのおばちゃんに手を振り返し、踵を返し、冒険者ギルドを探した。
冒険者ギルドはあっさりと見つかった。あちらこちらに〈冒険者ギルドはこちら!〉的な感じで書かれた看板が置いてあったからだ。
本当に親切な街だと感心をした。
扉を開けるとホールがあり、その奥に円のようにして受付があった。
右手には病院の待合室のように順番待ちで座っている人たち。左手にはワイワイと酒や肉を食って騒ぐ一見山賊のように見える人たちがいた。
今、俺と優星は左側に用がないので、順番待ちの紙に記入をし、順番が来るのを待った。
待っていると5分もしないうちに名前が呼ばれた。大人数で接客をしているので回転率が早いのだろう。
受付に向かい、受付の人を見るとなんと、なんと、ものすごい美人なのだ。
夢にまでみた金髪、少し幼さが残っているが美しさが備わっている。そして、ナイスバディ。
美しさに目を取られたが、『優星がいる、情けない』と思いつつ、気を取り直して話しかけた。
聖人「あのぉー、僕たちさっき気がついたらこの世界にいたんですけど、どうしたら帰れますかね?」
受付のお姉さん「‥‥‥‥‥‥‥」
聖人「えっと、そうなる気持ちもわかるんですが、本当なんです。」
受付のお姉さんは笑顔を崩し、こういった。
「からかっているんですか??」
このお姉さんの変わりように俺の心は大きなダメージを受けた。あんなに可愛かったのに、笑顔が素敵だったのに‥‥と。
聖人「違いますよ‥本当なんです‥信じてくれませんか‥?」
あまりに変わった聖人の様子に優星は戸惑ったが、お姉さんは笑顔を取り戻し、振舞ってくれた。
受付のお姉さん「わかりました。よろしければこちらの接客室にて、お待ちいただけますか?」
聖人「はい! ありがとうございます!!」
こうして待合室で待つこと5分ほど、ごつくて強面なおじいさんが入って来た。きっとこのギルドで偉そうなおじいさんだ。みただけで優星はちびりそうな顔をしていた。
おじいさん「おい、お前。話は簡単にだが聞かせてもらった。どういうことかもう一度説明しろ。」
俺はここまでであったことを全て説明した。
全ての話を聞き終えたおじいさんはびっくりした表情をして、こういった。
おじいさん「つまり、お前たちはこの世界で生まれ育っていない。ここがどんなところかわかっていない。そういうこと、だな?」
脅されているような口調で話してきた。やばい、俺なんか言ったかな。と、思いつつも「はい」と答えた。すると、「ああ、そうか」といい、どこかに行ってしまった。
やばい、やばいぞ、わたわたしているとおじいさんは銀色の板を2つ持って戻ってきて、腰を下ろした。
「これから話すことをよく聞け、これは『ステータスプレート』だ。本来、生まれたらすぐにこれに登録をする。しかし、お前らはそれをしていないという。人、一人につきこれは1度しか使えない。お前らは二人にこれを使ってもらい、話しが本当か試させてもらう。ここに指を置け、指紋を読み取る。」
ということらしいので、言われた通りに指を置いた。すると、板の模様がみるみるうちに変わっていき、数字と文字が並んだ。
「まさか、本当だったのか‥‥」
そして、おじいさんはその内容を見て、びっくりしたように倒れこんだ。
俺もその中身を見て見ると、こう書いてあった。
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Lv.1
力・4000
魔力・3
魔力耐性・3
素早さ・5000
命中力・3000
回避率・3000
能力
超跳躍
瞬間移動
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優星もやったようでのぞいて見るとこう書いてあった。
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Lv.1
力・100
魔力・6000
魔力耐性・6000
素早さ・1000
命中力・10000
回避率・500
能力
魔力感知
気配感知
魔力直接操作
無詠唱魔術
未来視
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おじいさん「おい、お前らは何者だ!!ステータスが異常じゃないか!!成人した人でも平均全て5くらいなのに、お前らはその何百倍もあるじゃないか!化け物なのか!?」
おじいさんってこんな顔するんだ。ヘェ〜。とか思いつつ話を理解した俺は悟ってしまった。
どうやら俺と優星はこの世界でバケモノとよばれるほどすごい存在になってしまったみたいだ。
今回は少し内容が多かったですかね。量を気にせずに「この展開まで書こう」と思って書くのでそこんところはご了承ください。では、また次回の話で会いましょう!