待ち伏せ作戦
その時、ルビーは思い出した。
「確か…… 部屋の中に入った時、鍵がかかっていた」
なぜ鍵がかかっていたのか。
「鍵を持っているのは私とウォッシュだけ。 つまり、鍵がかかっていて尚且つ竜の化石が無ければ、ウォッシュが化石を持ち出したって思う……」
しかし、ルビーが血の匂いに気づいた為、犯人の思惑は外れた。
「とくれば、犯人はウォッシュの鍵を持ってる人物になるけど……」
鍵をこちらから探すとなると、かなり大変である。
研究室をしらみつぶしに探さねばならないし、犯人がポケットに入れたままにしている可能性もある。
「……こうなったらもう一度この部屋に誘い出す必要があるわね。 犯人はこの大学内にいるはずだし……」
この化石が竜の化石だと知っている人物はトルマとルビーしかいない。
つまり、トルマとルビーの会話を盗み聞きして知った、との推測である。
ルビーはまず教授にカマをかけてみることにした。
教授に手当たり次第、今回起こったことを聞いて周り、最後にこう付け加えた。
「私は犯人は大学内の人間だと踏んでます。 ドアノブに指紋が残ってるはずなんで、警察が来たら悪いんですけど協力して下さい」
指紋などルビーがとっくに消していたが、これで犯人は焦って消しに来るかも知れない。
現れるなら深夜と踏んで、夜な夜な研究室で犯人が来るのを待っていた。
深夜、何者かがルビーの研究室の鍵を開け、中に入った。
「……!」
待ち伏せしていたルビーにライトで照らし出され、その者は顔をさらした。
「あなただったの…… アメシス教授!」
その男は、生物学者のアメシスであった。
みじかっw




