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風変わりな訪問者

「誰か来たわ」


 ルビーが扉を開けると、そこには白髪の老人がいた。


「初めまして、私の名はトルマ。 あなたはルビーさん?」


「ええ、私に何の要件ですか?」


「実は先日、ある化石を手に入れまして、考古学者として有名なあなたに鑑定を依頼したいと思い、こちらに伺いました」


 正直、女だから珍しがられているだけで、大した論文は発表してないのにな、と思ったルビーであったが、とりあえず話を聞くことにした。

中に通すと、ウォッシュがクッキーとお茶を入れて持ってきた。


「アライグマですか? 随分しつけが行き届いてますね」


「そう見えます? こいつ、生意気ですよ」


 ウォッシュがルビーの脛に蹴りを見舞う。


「いてっ……」


「本題に入りましょう。 その手に入れた化石というのは、竜の翼の化石なのです」


「竜の…… 翼!? そんなもの、実在するんですか?」


「それを確かめるため、鑑定を依頼したいのです。 一度、私の屋敷にいらして下さい。 地下の蔵にその化石が保管されてますので」


 こうして、その化石の実物を見に行くため、ルビーとウォッシュはトルマの屋敷に向かった。





 

「でかぁ……」


 研究所の最寄り駅から電車で1時間、屋敷は高級住宅街の一角にあった。

敷地はかなり広く、トルマが相当な金持ちであることを物語っている。


「お帰りなさいませ」


 中に入ると、メイドが出迎える。


「ほ、本物のメイド……」


 偽物のメイドしか知らないルビーは、希少な生物でも見るかのような眼差しを向けた。


「蔵はこの階段を下った所にあります」


 トルマに連れられて階段を下りると、そこには博物館をそのまま地下に収納したかのような光景が広がっていた。

ガラスのケースに壺や鎧、珍しい昆虫の標本などが置かれている。


「ジャンルにこだわらず、オークションで色々なものを手に入れるのが私の趣味です」


 そのまま進んでいくと、一際大きなガラスケースがあらわれた。

そして、そこに展示されていたものこそ、竜の翼の化石であった。


「……こんな大きな翼の骨格は初めて見るわね」 


「この骨の一部を持ち帰っていただいて、鑑定をお願いします。 報酬はいかがいたしましょう?」


「報酬だって。 ウォッシュは何が欲しい?」


「ハンドクリーム」






 骨の一部を持ち帰り、薄く削って顕微鏡で覗き込む。


「うーん…… 断面は骨と同じ構造だなぁ」


「じゃあ、それを砕いて遠心分離機にかけてみましょうよ」


 器の中に骨を入れ、木の棒で砕いていく。

粉になった骨を溶液入りの試験管に入れ、遠心分離機にかけた。


「骨の成分と一致すれば、本物ね」




 


 


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