研究所にて
ルビーは、1号の背に乗って秘密の研究所に向かった。
場所は1号が覚えており、ものの数分で到着した。
「うわ、風圧で髪がバサバサだわ……」
「似合ってるよ、ルビーちゃん」
「んなわけないでしょ! とりあえず、私が話しをつけてくるから、あなたはここで待っててね」
「おう!」
研究所の中は竜が暴れまわったせいで、まだ瓦礫の山だった。
「すいませーん、研究員の方はおられますかー?」
すると、瓦礫の撤去作業中だった研究員がルビーの方に振り向いた。
丸めがねをかけた三つ編みの女性で、白衣をまとっている。
「あ、どうしました?」
「実は、カクカクシカジカでして……」
「えーっ! 水の力を得た竜が街を襲って、それに対抗する力を得るため、あなたに惚れた竜と一緒にここに来たんですか!?」
この女、超能力者か? と思ったルビーであったが、話しが早そうだと本題に入った。
「そうなの。 でカクカクシカジカ……」
「なるほど! 自分が食べられるわけにはいかないから、クローン技術を使って火の力を持つ新しい生命体を作って欲しいと。 しかし結論から言うと、それは難しいですね」
「なぜ?」
「キメラの研究は進んでおりますが、まだ実用段階ではないんです。 よって、1から作るのではなく、あなたに竜の細胞を移植するのが現実的かと思われますね。 竜があなたを取り込んで力が発現するのならその逆も然り、です」
竜の細胞を移植して、自分が別な竜と戦うのか?
しかし、そんな話を聞いてもルビーはピンとこなかった。
「移植したらどうなるの?」
「試してみなければ分かりませんが…… もし覚悟があるのなら、私が協力しましょう」
「……」
しばらく考え、ルビーは結論を出した。
「お願いするわ」
ルビーは1号を伴い、奥の研究室に通された。
先ほどの丸めがねの研究員が説明を始める。
「まず、ベースはルビーさん。 そして、モデルはドラゴン。 そちらの竜には、細胞提供のため犠牲になってもらいますが、よろしいですね?」
「……はい」
「え? る、ルビーちゃん?」




