意外な掘り出し物
「監督、この化石はなんすか?」
「……ただの石だな」
2016年、9月1日。
都心から少し離れた一帯で、考古学者たちが調査に乗り出していた。
発掘チームは総勢15名。
その多くが大学の生徒で、バイトとしてここに来ていた。
「この辺りは元々洞窟か何かだったようだ」
硬い岩がドーム状に覆われていたため、そう推測した。
「洞窟に住む生物って、コウモリくらいじゃないすか?」
「分からんぞ、そこをねぐらにしている生物がいたかも知れない。 コウモリ以外でな」
「お、何かみっけ」
学生がまた何かを発見した。
「また石じゃないだろうな?」
「形状的に骨っぽいすけど、でけぇ!」
学生が取り上げたのは、巨大な骨格の一部であった。
「……!?」
監督は思わず目を疑った。
「恐竜か? しかし、こんな新しい地層からそんなものが見つかるわけ…… とにかく、もっと掘り起こしてみるんだ!」
そして、骨の全容が明らかになった。
「監督……」
「……何なんだこれは」
全長は10メーター以上。
巨大なトカゲのような骨格をしているが、手足は太く、爪は鋭い。
また、翼まで生やしている。
「ドラゴンみたいっすね」
「……」
現代社会において、ドラゴンなど神話の中の生き物でしかない。
しかし、この骨はそれが実在することを物語っていた。
「……骨の鑑定を依頼しよう。 生前、どんな生物だったのかを調べるんだ」
しかし、トラックで搬送中に何者かの襲撃に会い、骨を奪われてしまった。
その数日後、とあるオークションに竜の翼の化石が出店された。
落札価格は1億ウォン。
それを手に入れた大富豪が、化石の真偽を確かめるために、とある大学に向かった。
2016年、9月23日。
考古学者こと、ルビーは研究所で顕微鏡を覗きこんでいた。
「私の鼻毛ってこんなんなってんだ」
「あの、汚いんでやめてください」
そう注意したのは、友達のアライグマ、ウォッシュである。
「鼻毛くらいで汚いとか、あんた相変わらず潔癖よね」
「潔癖じゃなくて習性です」
「で、クッキーは?」
「ああ、そうだ!」
ウォッシュが慌ててオーブンからクッキーを取り出す。
「お、良い感じじゃない。 投げて」
「投げません」
その時、チャイムが鳴った。




