アメシスサイド 2
「どうにか校舎内には逃げ込めたか……」
しかし、竜は自分の位置を知る何かを持っているに違いなかった。
ピンポイントでは分からないにしても、おおよそどこにいるかが分からなければ、アメシスの所にはこれなかったはずである。
「だが、ここに入ってくるのなら好都合だ」
アメシスは校舎内にある、24時間体制の監視室に向かった。
「失礼するぞ」
「アメシス教授、何か用ですか?」
出迎えたのはここの職員である。
「危険生物がこの校舎内に侵入した恐れがある。 その生物を吾輩が通路におびき出したタイミングで、扉を遠隔で施錠して欲しい」
「き、危険生物ですか!? おびき出すにしても、どうやって……」
「その点に関しては心配いらん。 ここに置いてある無線で連絡を取るとしよう」
無線をつかみ、職員に片割れを渡すと、アメシスはさっきの入り口まで戻った。
柱に背を預け、入り口を顔だけ出して伺う。
「……スマホが使えるのか?」
竜は片手にスマホのような物を持ち、それを確認しながら器用に扉を開けて中に入ってきた。
アメシスは柱から離れ、通路上にある扉の前まで移動した。
「無線届いているか?」
「はい、良好です」
「今から1階の中央の扉から右に曲がってすぐの扉に入る。 吾輩の合図でその通路の空間に隣接している扉を全て施錠してくれ」
「分かりました」
アメシスが扉を開けて中に入ると、竜も同じ方向にやって来た。
扉の窓からそれを伺うと、相手に姿を見せないよう、腰を屈めて入り口から近い部屋に身を隠した。
「ピンポイントでは分かるまい」
案の定、竜はアメシスのいる部屋を通過し、奥へと向かった。
すかさず部屋から出て、通路の扉を潜る。
「今だ!」
ガチャリ、という扉を施錠する音が聞こえた。
竜もこちらに気づき、ダッシュで向かって来たが、ドオン! と扉に激突した。
「捕獲成功だな」
竜はしばらく扉を開けようとノブを捻っていたが、何を思ったか、隣の部屋の中へと入って行った。
「……何をする気だ?」
その時、ドゴオン! という壁を破壊する音が響いた。
「壁を破壊して迂回しながらこちらに来るつもりか」
アメシスは再度無線で連絡を取った。
「職員、危険生物の捕獲に失敗した。 プランを変更するから、吾輩の指示に従ってくれ」




