2匹目
「……わ、私に何か?」
「おうっ、ルビーちゃんを探してたんだ」
このドラゴンが自分のことを知ってる理由や、どうやって見つけることができたのか、ルビーはそれを質問してみた。
その隙に逃げ出せるかも知れない、そう思った為である。
「ルビーちゃんのことは根暗そうな女から聞いた。 で、どうやって探したのかっていうと、コレ」
ドラゴンは片手に持っているスマホのような物を見せてきた。
「これにルビーちゃんと、トルマ、アメシスの現在地が表示されてんだ」
「えっ!? 私に発信器が取り付けられてるのかしら…… それより、何で私とトルマさんとアメシスまで探してるの?」
「女が言うには、君らを食えば属性持ちになれるって話だよ」
属性持ち……
更に頭が混乱するルビーであったが、このドラゴンが自分を食べるために来たということが分かった。
ルビーはさり気なくポケットに手を突っ込み、スタンガンを握った。
「足、ケガしてんじゃん」
「えっ、あ、さっき転んだんだ……」
「俺に乗りなよ。 家まで送ってくから」
……?
「家で私を食べるの?」
「何言ってんだよ~、君を他の竜から守るために来たんじゃんか!」
予想外の返事である。
「何で? 属性持ちになりたいんでしょ?」
「まあ、今より強くはなりたいけど…… 何ていうか、その……」
急にモジモジし始めた竜を見て、ルビーは何となく察しがついた。
もしかしたら、この竜は自分のことが好きなのではないか? と。
「……じゃあ、とりあえず車まで送ってよ。 家までは自分で帰れるから」
「あ、じゃあ、メアドかライン教えてよ! あと、今は大丈夫だと思うけど、他の竜も君を狙ってるから……」
その言葉を聞いて、ルビーははっとした。
「トルマさんが危ないんじゃないかしら…… ねぇ、私をトルマさんのとこに連れてって!」
竜の背に乗り、ルビーはトルマの屋敷に向かった。
数分で到着した先には、バラバラに破壊されたトルマの屋敷と、もう一匹の竜がいた。
「よう2号、もしかして、手遅れ?」
「……なんで獲物を背に乗せている、1号」
ルビーに会いに来た竜は1号と言う名らしい。
「俺の獲物をどうしようと勝手だろ! お前こそ、何で骨をかぶってんだよ」
目の前の2号という名の竜は、竜の化石を頭にかぶっていた。
「この骨は俺たちのご先祖様だ。 俺に指示を出してくれる。 今から都市部に行って、町を水没させてくる」