ドラゴンサイド
とある山奥にある研究所。
ここに一人の女性がいた。
竜の巫女と呼ばれるその女性は、今回作り出された3匹の竜たちに、ある伝承を伝える役割を担っていた。
「聞こえているか? 竜たちよ」
巫女の目の前には溶液の入った容器が並べられており、その中で竜が培養されている。
「お前たちはまだプレーン体。 すなわち、完全ではない。 これから体が成熟し、動けるようになったらすぐに、宝石の名を冠す者を探しに行け」
巫女の知る伝承には、3匹の竜は、それぞれ別な3つの属性を宿すことで本来の力を発揮できるとあった。
そして、宝石の名を冠すものを食らうことが、それを宿す条件であった。
火の属性ルビー、水の属性トルマリン、雷の属性アメシストである。
「この者たちをよく覚えておくのだ」
巫女はルビー、トルマ、アメシスの写真を3匹の竜たちに見せた。
容器の中にいる竜は、その写真をじっと見つめていた。
その日、研究所で思わぬ騒ぎが起こった。
3匹の竜が逃げ出したのである。
竜は内側から容器のガラスを砕き、外へ逃げ出した。
体はまだ成熟しておらず、全長2メートル程度の子供であったが、研究員たちに止めるすべは無く、竜たちは研究所の中で暴れ回った挙げ句、外の森へと逃げ出したのだった。




