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赤髪のお姉さんを育てることにしました。

 俺はジャックとクインと共に、コボルトに捕まっていた5人のいる小部屋へと戻ってきていた。

 彼女達の扱いを如何するか話し合うためだ。

 俺としては、彼女達の態度次第だが眷属化して側に置いておきたいと考えている。

 理由としては、このまま開放して俺たちの情報が漏れて他の人間がやってこないとも限らないからだ。 今はまだ時期尚早、レベル的にもそうだが何よりも世界の知識があまりにも不十分すぎるからだ。 最低でも、今俺たちがどちらの大陸のどの辺りにいるかぐらいは知っておく必要がある。  無論、彼女たちを帰すその時はもちろん、俺たちの事を他に漏らさないことを約束させるつもりだが、如何せん口約束になるし彼女達の行動を監視したりも出来ないので約束が守られない可能性がある。 Eランクの魔物を5歳の子供が倒したことが知られれば、高ランクと間違われ国から目をつけられかねない。 今はまだ人目に付くようなことは出来るだけ避けたい。 もちろん、彼女達を解放したとして秘密を守ってくれる可能性もあるのでそこは態度次第ということだ。


 もう一つ、ここで彼女達を眷属化した時のメリットだが、さっきも言ったように俺たちには外部情報が不足しているが、彼女達を眷属にすることで少なからず外部の情報を持っているということは大きい。

 俺たちは自分達がいるこの洞窟が、どちらの大陸の何処にあるのかそれすらも分かっていないし、この世界の常識的なこともほとんど知らない。 最高神様からは、この世界がランクという絶対的な力で出来た世界だとは聞いているが、今後外に出ることを考えれば少しでも知っておきたい。

 結局のところ、メリットもデメリットも情報が関わってくることになる。

 後は、俺たちの知らないジョブを知ってたらいいかな程度には考えていたりはする・・。



「改めまして。 俺の名はエース、こっちが俺の弟のジャックと妹のクインです。 そちらの名前は?」


「アタイはエレン。 エレン・サンクトアだ」


 5人を代表して赤髪のお姉さん・・・エレンが答える。

 他の4人は男二人がカールとオッド、女二人が二ーニャとリルというそうだ。 

 年はエレンが18で他の4人が15歳だそうだ。

 全員ランクはEで同じ村の出身だそうだ。この森の近くにある村から薬となる薬草を取りに森に入っていたところを、運悪くあのコボルトリーダー達に見つかってしまいここに連れてこられたとのこと。 

 魔物に捕まった人間は、殺されるか餌にされるかしかなかったところを助けて貰ったので一応の感謝はしてくれているみたいだ。

 ただやはり、俺たちが年端もいかない子供であるため何か裏があって助けたんじゃないかとやたら警戒している節がある。

 何故そこまで警戒するのか尋ねると、


「ここじゃ、子供だろうとランクの高い者は自分よりランクの低い者を虐げるのは当たり前のことだ。 ランクの低いものは、ランクの高い者には逆らえない。 アタイ達がどう足掻こうと、アタイらはあんた達に従うしかないんだよ」


 ふむ、つまり俺たちに逆らえないと分かってどんな酷いことをされるのか分からず警戒していたのか。 子供だからというわけではなかったのか・・。

 さらに聞くと、エレン達のようにランクの低い者は同じランクのもので固まって村を作り、街から離れて暮らしているそうだ。 街ではランクの低い者は奴隷として見られるため、人の目の届かないようなところで低ランクの者は身を隠して生活しているのだ。 

 ただ、ここでもやはりランクの問題が出てくるわけか。 子供でもってところが、またなんとも偏った世界なのを証明してるな・・。

 

「エレンの村にはどれくらいの人がいるの?」


「くっ!・・・アタイらは如何なっても構わない。 でも、他の連中は見逃してやってほしい・・・頼む」


 うん? あぁ、さっきの話を聞いた後だからそういう風なとらえかたされちゃうのか・・。


「勘違いしないでほしいんだけど、俺は別にランクが低いからって奴隷扱いしたりしないよ」


「ほ、本当かい」


「あぁ。 その証拠に・・・ジャック、クイン全員の縄を解いてあげて」


「「はい。 兄さん」」


 二人が短剣で5人の縄を切って自由となる。

 エレン達は反抗しても敵わないと分かっているのか、自由になっても暴れようとはしない。


「これで君達は自由だ、好きにするといいよ。 村に帰りたいっていうなら帰ってくれていいし、村までの食料も上げるよ。 護衛が必要なら、ジャックを森の外までならつけてあげるから好きにしれくれ」


「ま、待ってくれ。 自由になれるのはうれしいが、あんた達はそれでいいのかい? みすみす奴隷を手放すようなもんだよ・・」


「逆に俺から聞きたいんだけど、そんなに俺たちの奴隷になりたいのか?」


「そんなわけないだろ! アタイらは他の連中が奴隷になるところを見たことがあるんだ。 それなのに自分から奴隷になりたいわけないだろうが!」


「だったら自由にしなよ。 別に俺は奴隷なんて必要としてない。 そもそも、俺は奴隷っていうのが嫌いなんだよ。 でもまぁ、俺にもやりたいことがあるからその手伝いとして誰か残ってくれるとありがたいんだけど・・・もちろん、強制はしないから帰りたければ帰ればいいよ。 ただし、ここで俺たちと会ったことは秘密にしてくれるならだけどね」


 話してみてだけど、エレンたちなら信用しても問題ないだろう。

 過度の信用は良くないけど、彼女達に俺たちをどうこうできるとは考えにくいし、そうなったらまた拠点に引き篭もって時間が経って忘れるのを待つだけだ。 こちらにデメリットはない。


「あんた達がやりたいことってのは?」


「それについては大事なことだからね、協力を約束してくれないと話せない。 けど、強力してくれるなら衣食住は約束するし、危ないこともさせないってことだけは約束できるよ。 信じるか信じないかはエレン達次第かな」


「・・・・・少しみんなで話す時間がほしい」


「いいよ。 焦ることじゃないからゆっくり話し合うといいよ」


 それだけ言って、俺たちは小部屋の外に出て行く。

 彼女達がどういう決断をするかは知らないが、まぁ悪いようにはならないだろうが、どうも何かを気にしているような感じがするな。





 しばらくして、クインの作った料理を食べて寛いでいる俺たちの元へエレン達がやってきた。

 どうやら話し合いはすんだようだ。


「座って、エレン達の分も用意してあるから食べながら話そう」


「あ、あぁ」


 エレン達が座ると、クインが料理の入った皿を5人の前にだす。

 まずはエレンが皿を手にとってすこし躊躇いを見せたあと、恐る恐る料理を口に運んでいく。


「・・・・・・・うまい」


 その一言で、2口、3口と皿の料理を口に運んでいく。

 それを見たほかの4人にも皿を手にとって料理を口にする。

 クインの料理は口にあったようで、あっという間に皿が空になる。


「どう? クインの料理はおいしかったでしょ」


「あぁ、こんなにうまい料理食べたのは初めてだ。 お前の妹は料理人になれるんじゃないか?」


「クインはすでに料理人のジョブを持ってるぞ」


「成る程、道理でうまいはずだ・・。 まだ小さいのに相当料理の修業を積んだんだな・・・大したものだ」


「んん? 料理人ってのはそんなに修行を積まなきゃ就けないジョブなのか? クインは5日で料理人のジョブを所得したはずだけど・・・」


「5日だと! ありえない。 普通料理人てのは、料理スキルを持った料理人の下で、1年以上修行してやっと取れるジョブだ。 それを5日でなんて・・・」


 どうやら5日で一つのジョブを取ったのは余ほどのことみたいだ。

 この世界の常識がないからあれだけど、ジョブを取るには何らかの条件がいる。 そう考えると育成師のスキルや俺たちの持つ称号のおかげで俺たちは他の人よりも楽にジョブの条件を満たしジョブを取れているわけなのだが、ひょっとしたら他のジョブも数年掛けて所得するようなものなのだろうか・・・。

 だとしたらやっぱり、それを数日かそこ等で取れるようにしてしまう育成師のジョブはこの世界では物凄くレアなものである。


「まぁ、その辺りのことも協力してくれるなら話すつもりなんだけど・・・・・で、エレン達はどうすることにしたの?」


 俺がそう聞くとエレンは横の4人に頷いて答え、


「とりあえず、アタイがあんた達に協力してここに残る。 他の4人は村に送り返してあげてほしい」


「そっか、エレンはここに残ってくれるんだね。 うれしいよ。 他の4人に関しては今日はもう遅いから、明日ジャックを護衛につけて村まで送らせるけどそれでいい?」


「あぁ、そうしてくれると助かる。 それで、一つ頼みがあるんだがいいだろうか・・」


「頼み? 俺に出来る範囲のことならいいけど」


「アタイはここに残ってあんた達に強力する。 それであんたが言うように、衣食住を保障されてアタイの命も保障されることが分かったなら、アタイの村の連中も一緒に暮らさせてほしいんだ。 あんた達が悪い奴じゃないってのは何となく分かる。 だけど、あんたのことをいきなり全部信用するのは無理な話なんだ。 そこで・・・」


「エレンは自分を犠牲に俺を見極めようということだね」


「そうさ。 もし、あんたの話がウソだったとしても犠牲になるのはアタイ一人ですむしな」


 その話で言うと、俺がウソをついていたとしてジャックに4人を送らせて村まで行くのはダメなんじゃないだろうか・・・。 

 そこら辺までは頭が回ってないってことだね。

 まぁ、端から騙すつもりはないんだけどね。


「いいよ。 とりあえず1ヶ月それでエレンが俺たちを判断するといい。 1ヶ月経ったら一度エレンを村に返すから、その後のことを話し合うといいよ。 それでもし、俺に協力するのが無理ならエレンも自由にするといいよ」


「いいのかいそれで? それだとアタイ達ばかりが得をしているような・・」


「問題ないよ。 その答えは1ヶ月すれば分かることだしね」


「分かったよ。 どの道アタイたちは、あんたには借りがあるんだ大人しく従うさ」


「まぁ、そんなに警戒しなくても大丈夫だってすぐに分かると思うから・・。 それじゃぁ、ご飯も食べ終わったことだし、寝袋を用意しておいたから小部屋で休むといいよ。 俺たちは万が一また魔物がこないように部屋の外で寝るからさ」


「あぁ、どうせアタイ達に出来ることはないんだ・・・大人しく休ませて貰うよ」


 俺がエレンたちに寝袋を渡すと、エレン達はそれを手に小部屋の中に戻っていった。

 どうもまだ、他の4人からは警戒されているというか探られているというか・・。


「ジャックちょっといいかい?」


「はい。 何ですか兄さん」


「明日エレン以外の4人を村へ送っていったら、念のためしばらく近くで村を監視しておいてくれ。 もし何かあれば直ぐに知らせてほしいんだけど頼めるか?」


「監視するだけでいいですか? Eランクの人しか村にはいないということですし、制圧しようと思えば僕一人でも可能ですけど・・」


「そうなんだけどさ、俺はあんまり争いごとって好きじゃないしさ・・・出来るなら、普通に協力してほしいんだよね。 だから監視だけでいいよ。 空いた時間は森で魔物でも狩ってレベル上げしてていいから」


「分かりました」


 俺はジャックの頭を撫でてやる。

 エレン達は俺のことを何か探るようにして見ていた節が何処かあったからな・・・・・裏切るとは思えない・・。 エレン達のランクでは俺たちをどうこうすることは出来ないだろし・・・そうなると何を考えているのか分からないので万が一に備えるのは必要だろう。 

 とはいえ、エレン達の様子から察するに自分達がというよりも誰かに従わされてるって感じだったから、エレン達の気持ちがどうかは分からないし村の連中というのもどっち側かは不明。 第三者の存在も考えられる。

 4人をこのまま帰さずに、エレンから情報を引き出すってことも出来るけど・・・・・ここはエレンたちの信用を得るためにも成り行きに任せようかな。 俺の勘違いってこともあるだろうし・・。 


 まぁ、何はともあれことが動くのは1ヶ月後だろうから、またレベル上げに励まなければ・・。

 それに、今度はエレンという最弱っ子がいるんだしね・・・・・さて、エレンはどんな風に育てていこうかね。

 万能型、それとも特化型か・・・。

 育成方針を考えるだけで今から楽しみだ。

 エレンの育成方針を考えながら俺は眠りに着くのだった。

赤髪のお姉さん・・エレンは最初のヒロイン?です。

子供と大人だろと思うかもしれませんが、そこらへんはアレでアレするんで大丈夫ですよ。

ただ、ハレーム展開にはするかどうか・・・

実際、クインをメインにした方がブラコン的に盛り上がるかもです・・。


感想・評価お待ちしていますのでみなさんの声を聞かせてください。







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