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育成スキルで最弱キャラ育てます。  作者: マメ太郎
オルスタン大陸 帝国編
22/27

闇を知る事になりました。

誤字・脱字が多いよ報告を受けます。

すみません作者がポンコツなせいで・・・。

誤字・脱字を出さないよう気をつけますが、もしあれば教えてください。



 あの後俺達は宿を探して回り、比較的人の入りが少ない宿を見つけ止まることにした。

 何故人の少ない宿かと言えば、ここは街での仮の拠点にして基本は異空間拠点で生活するつもりだからだ。

 向こうでの生活に慣れてしまうと、どうしても向こうの便利さについ頼ってしまうのだ。

 それも当然だろう。

 何せ異空間拠点は衣食住が整い過ぎている。 当たり前のように毎日使っている風呂にしても、本来なら貴族の家にしかないものなのだから・・。 それを考えると、現在拠点で開拓生活をしている眷族たちの家には当たり前のように風呂もトイレが付いているし、服飾や宝石加工のジョブを持った人にコアからだした素材を与えて服や宝石を当たり前のように作って使っている。 まだうちの拠点には商業形態というものが存在しないので、物与えての自給自足という形で一銭の金にもなっていないのだが、それでも生活環境は外の世界と雲泥の差がある。

 この宿にしたって、食事は出るがそれも質素なものだし風呂もトイレもない。本当にただ泊まるだけのものなのだ。

 それならば、いっそ宿だけとって寝泊りは拠点に帰ろう・・・・・ということに決まったので人気の少ない宿を探してとったのだ。


 で、今は拠点にある俺の屋敷にムサイを含め全員を呼んでの会議中だ。

 会議の内容はもちろん昼間の出来事についてだ。


「これまた厄介な男に絡まれたものだなエースよ」


「俺だって好きで絡まれてるわけじゃないっての。 そもそも、向こうが勝手に絡んできたんだぞ・・」


「とは言え、すでに起きてしまったことだからねぇ・・。 後はなるようにしかならないだろうね」


「そんなに拙いのか貴族に絡んだことが?」


「当たり前だろうが。 仮にも帝国3大公の1人だぞ、奴ら貴族階級の人間はどいつもこいつもプライドの塊みたいな連中だ・・。 聞けばお前は、公衆の面前でそいつを笑いものにしたそうじゃないか・・・今頃お前に復讐するために策を練っている頃だろう」


「今回に限ればホントに相手が最悪だよ・・」


「あぁ、何せ3大公と言えば帝国にいるSランクの親だからな・・・・・下手すれば今回の一軒にSランクが出てくる可能性がある」


「Sランクの親? あいつそんなにいい血筋の人間なのか? というかここに来たときに兵士の人にも言われて気になってたんだけど、貴族の立場ってどうなってるんだ? ランクは遺伝しないんだろうから、一つの一族が何時までも権力を持ってるなんて変だろ普通・・」


「確かにそうですね」


「この世界の常識・・いえ、帝国の常識から言えば力こそすべて。 必ずしも貴族から高ランクのものが生まれないならば、権力を保つのも難しいはずでは?」


 それに対しエレンとムサイは非常に複雑な顔を見せる。

 どうやらことはとても複雑なことが絡むようだ。


「それについては言い辛い部分があるのだが・・・」


「これを話すときっとアンタはすごく怒るだろうね・・・」


「何となく察しはつくけど、それは奴隷やランクが関係してることだろ?」


 二人はお互いの顔を見て確認をして、


「あぁ、正直お前にはあまり聞かせたくない話だったが・・・」


「貴族の連中に関わっちまったんだからそうも言ってられないしね・・。 先に言っておくけど、かなり不快な話だから覚悟しておくれよ」


 そういうとまずはムサイが語り始めた。


「そもそもの話、今の帝国貴族の当主たちはどいつもランク的にはD以下の低い連中ばかりなのだ。 本来ならその程度のランクの奴を帝国が相手にするわけないのだが、奴らは自らの身内に高ランクの者を複数抱えることで帝国内での権力を得ているのだ」


「今の貴族連中は地位を得るために、女・子供を道具のように扱っているんだよ・・」


「左様。 知っていると思うが、生まれてくる子供には必ずランク検査を受ける義務が国から課せられる。 その時にもし、生まれた子供のランクが高ランク・・・C以上ならば、その子は帝国の将来を背負う子として国にひきとられてしまう。 だがこれはあくまで建前上のことだ。 そもそもこの様な制度を誰が作ったのかと言えば、他でもない当時権力争いをしていた貴族連中共なのだ・・」


「ランクは決して遺伝しない。 だからこそ、当時の貴族連中達は自分達の地位が今後も安泰になるよう、脅かされることがないように、生まれてくる高ランクの子を囲むことにしたのさ。そもそもホントは、ランク検査を受ける義務なんてアタイらにはないのさ・・・あれは、生まれてくる高ランクの子供を囲うために貴族連中が勝手にやってることで、一番最初に見つけた奴にその子供を囲う権利があるってだけなのさ・・」


「我がお前達と出会ったのもその理由が大きい。 我はあくまで強い奴を探して帝国にいたが、その時の我の仕事は各地での隠れた高ランク者の発見及び、子を身籠っている女の監視と子が生まれた際の上への報告が仕事であったのだ・・・」


 成る程ねぇ。 

 つまりあいつ等は、自分の地位や権力を守るために人が授かった大事な命を道具として扱っていたのか・・・・・。


「クズが!」

「下種めっ!」

「最低です!」


 これが俺たち3人の答えだ。

 他人の命をなんだと思ってるんだ・・。


「だが、ことはそれだけで終わらんのだ・・」


「というと?」


「奴らは更に最低な行為をしてるのさ」


「左様。 では、高ランクの子供を生んだ親はどうなると思う?」


「それは・・・子供を取られて終わりじゃないのか・・」


「いいや、そんなやさしい答えではない。 高ランクの子供を生んだ親が待つ運命は・・・・」


「子供を奪った貴族の性奴隷だよ!」


 エレンは声を荒げ真実を告げる。


「性奴隷だって・・・」


「言い方は悪くなるがその通りだ。 いくらランクが遺伝しないとは言え、高ランクの子供を生んだ実績を持つ親だ・・・・・次の子供も高ランクになる可能性は十分に考えられる・・」


「ですがその方にもちゃんと家族があるはずです!」


「そんなもの、あいつ等の権力の前では何にもなりゃしないよ・・・手切れ金代わりに金を詰まれるか、それでも反抗するなら力で捻じ伏せる。 そうやって奴らは人から大切なものを奪ってくのさ・・・・アタイがされたみたいにね・・・」


「エレン?」


 その瞬間にエレンの目が一瞬だが遠くを見つめるようなものをしていた気が・・・。


「そうして貴族連中は、高ランクを生める可能性を持ったものを性奴隷として囲い子供を生ませ続けるのだ。 そこで生まれた高ランクの子を自らの駒とし、低ランクの者は奴隷として売ることで新たに金と権力を得る。 そうして奴らは自分達の権力を保っているのだ。 最近では、容姿が優れた者を脅して奴隷にするという行為までしているそうだから、今回のことも二人を奴隷にして孕ませるつもりだったのだろうな。 今更ながら、そんなところにいた自分を愚かしく思うよ・・・」 


 ムサイは今更ながら、自らが帝国でして来たことを悔いていた。

 だがそれは変えようのない彼の人生の一部である・・。

 だが彼は、自分のしていたことを悔いている・・・・・ならば今後の人生でそれを償うことがまだ彼には可能なはずだ。

 彼のように、自分のしていることを悔いている人は他にもいるかもしれないが、現状それに抗うことはできないでいる。 今日の豚の護衛もそういう感じの奴だった・・・無理やりに仕方なくに従っているそういう感じだ。

 ムサイは俺という特殊な存在と出会ったことで、その呪縛から開放されたと言える。 まぁ、こいつの場合は単に強い相手を求めてそこにいただけではあるのだが、彼が帝国の人間だったことは紛れもない事実で、間接的にそういう人を作っていたことにも変わりはないのだ。

 彼の罪は一生消えないが、だが彼は俺と出会ったことでそれをやり直すチャンスを手に入れたと思えば、彼の気持ちも少しは救われることだろう。


 だが奴らは決して許さない。

 俺は沸々と体の奥底から怒りがこみ上げてきていた。

 二人を奴隷にして孕ませるだ・・・・・・ふざけんじゃねぇよ!

 低ランクを奴隷にして売る・・・・馬鹿か貴様ら!

 やっていることはクズだ。

 最低以下のクズだ。

 救いようもない、どうしようないクズだ。

 奴らに生きる価値などもうとうない・・・今すぐにでも全員殺してやりたいくらいだ!

 

 そう言えば、エレンに初めてあったときも奴隷がどうとかってみんなすごく怯えてたっけ・・・。

 今にして思えばこういう理由だったのか・・。

 奴隷に落とされれば待ってるのは好きでもない相手の子供を生まされるだけの性奴隷の人生・・・・・そんなことになるくらいだったら死んだほうがましだ。


「そして、3大公爵の息子の中には現在帝国最強の戦力たるSランクの者がいるのだ。 故に、3大公爵は帝国内で皇帝に次ぐ絶大な権力を持っていて誰も逆らうことが出来ない・・・逆らえばSランクを刺客に向けられ忽ち殺されてしまうのだから当然だろう。 今回のことも、ハメドラド公が何処まで怒っているのか分からない以上、Sランクを刺客に向けられる可能性は十分に考えられる・・・。 それだけのことをお前はしてしまったのだよ・・・」


 成る程な、たかが公爵が何故Sランクの人材を動かせるのかと思ったら息子とはね・・・。

 一体どれだけの性奴隷に子供生ませてSランクの子供を作ったのだろうか・・・・・そんなことを考えるだけで帝国に対して怒りが込み上げてくる。

 絶対に許さないぞ・・。


「向こうがその気ならこっちもやってやるまでのことだろが・・。 例えSランクが何人こようとも、俺の仲間には絶対に手を出させない・・・・・全員返り討ちにしてやるよ!」


「いいえ兄さん。 兄さんのことは僕が必ず守って見せますから、兄さんは何もしなくて大丈夫ですよ」


「そうです。 例えSランクがこようとも、私の体に触れていいのは兄さんだけですから。 私は兄さんだけの物です」


「アタイは・・・・どうなんだろうね、アタイはまだSランクに勝てるほどの力はないから、エース達に守って貰わないとだめかねぇ・・」


「そうでもあるまいエレン。 向こうが何時仕掛けて来るかは分からんが、今の我らには強くなるための力があるのだそれに頼らないこともあるまい・・」


「そうだぞエレン。 俺を一体誰だと思ってるんだよ・・・俺はこの世界でただ一人の育成師、最弱を最強に育てることが出来る存在だぞ。 向こうがSランクを出してくるなら、こっちもSランクを育てて対抗してやるよそれも、向こうのSランクがザコに見えるくらいのSランクでね」


「うむ、それに元々ここには迷宮で名前を売って街の中枢と接触を図るつもりだったのだ、予定がずれたが、Sランクを倒せるFランクがいると知られれば、街の中枢の人間とも接触しやすなるだろうし、反帝国という意味でも見せしめになるだろう。 直接戦うことが出来なくとも、差別意識を変えることは出来るはずだからな」


「ムサイの言う通り、結局は気持ちの持ちよう一つで周りの意識は変えられるんだ。 なら俺たちでそれをすればいいことだ・・・そのために力がいるなら、俺が最弱を育ててすべてを変えてやるさ」


 そう何も変わらないさ。

 俺は最弱を育ててこの腐った理の世界を変える・・・・それだけだ。






 結局あの後は明日からの行動を決めた。

 明日からは予定通り、未攻略の迷宮に入り迷宮を攻略することになる。

 実績作りと戦力アップを目的とした行動だ。

 全員での話し合いを終え俺が自分の部屋にいると、


「コンコン、エースちょっといいかい」


 エレンが俺の部屋を訪ねてきた。


「おう、入っていいぞ」


 その言葉でエレンが部屋に入ってきた。

 エレンはすでに入浴を終えて、薄手のシャツにハーフパンツといういかにもエレンらしい寝巻き姿であった。

 エレンは俺の腰掛けているベッドの隣にちょこんと座り体を寄せてくる。

 いつも勝気な感じのエレンとは違い、柔らかみのあるエレンの体に思わずビクッと俺の体が反応する。

 しかしエレンはそのまま俯いて何も話そうとはしない・・。


「どうしたエレン。 何か悩みでもあるのか?」


 何かあると察した俺はエレンにやさしく問いかける。

 するとエレンは静かに語り出す。


「エースには話しておこうと思うんだ・・・・・アタイの親のことを・・・」


「エレンの両親か。 そう言えば、エレンと結婚するなら親御さんにもちゃんと挨拶行かないといけないよな」


「・・・・・」


 俺が何気なしに言ったことにエレンはまた俯いて黙り込む。

 しかし今度はその目に大粒の涙を溜めている。


「ど、どうしたんだエレン?! 俺何かエレンを傷つけるようなこと言っちゃったか?」


「・・・・違うんだ・・・・・アンタは何も悪くないんだよ・・・・アタイは・・・アタイは・・・・・・・」


「エレン・・・・・」


 こういう時、出来る男なら泣いてる女の子にどう接したらいいのか分かるんだろうけど、生憎と俺はそこまで手馴れていないから・・・・。

 こういうことしか思いつかないよ。


「きゃ! ちょ、ちょっとエース何を・・・・・」


「いいから黙ってそうしとけよ」


 俺はエレンの両肩を掴んで自分の胸に抱き寄せ両腕をエレンの背中にまわしてしっかりと抱きしめた。

 顔が真っ赤になるくらい、恥ずかしい行動だったが俺にはこれくらいしか思いつかなかったんだよ・・・。

 俺の心臓はバクバク。

 心臓の鼓動がエレンに聞こえていたらと思うと、余計に恥ずかしくなってしまう。

 ただエレンは俺の腕の中で大人しく抱かれ、涙で頬を濡らしている。

 しばらくそうしていて、落ち着きを取り戻したエレンが再び話始める。


「ごめんよエースいきなり泣いちゃって・・・」


「気にするなよ。 泣きたいときは思いっきり泣けばいいし、俺でよかったら何時でも胸をかしてやるさ」


「フフ ありがとねエース」


「それで、一体どうして泣いてたのかな?」


「・・・・・・エースはっきりと言うけど、アタイの親はもうこの世にはいないんだ」


「・・・・・・そうか」


「うん。 でも、問題はそこじゃないんだよ・・・アタイの母親はアタイを逃がすために犠牲になって死んだ。 母親の夫はそれに反抗して殺された。 それの意味がアンタには分かるかいエース・・・」


 あぁそうか、貴族のことを話しているときにエレンが悲しそうな顔をしたのはそういうことだったのか・・・。

 それだけで俺はエレンが何を伝えたいのか分かっていた。


「つまりエレンの親は貴族連中の権力争いに巻き込まれて死んだ。 そして・・・・・エレン自信はその貴族の連中に母親が生ませた子供・・・・・・でいいのか」


「・・・・・そうさ。 アタイは母親が貴族連中に無理やり作らせて生まされた道具の子供さ・・。 しかも、父親の方は今日あんたも会っているあいつさ・・・」


「まさか、ハメドラドがエレンの父親なのか!!」


「そうだよ。 向こうはアタイのことなんてこれっぽっちも覚えてやしないだろうけどね・・」


 流石にこれは予想外だ・・。

 エレンが貴族の子供だとは話の流れで感じていたが、まさかアレが父親だとは・・。


「勘違いしないでおくれよ、アタイはあんな奴のこと父親だなんてこれっぽっちも思ってないんだよ。 むしろ今すぐにでも殺してやりたいくらいさ・・・・」


「エレン・・・」


「ランク検査でEと判断されたアタイは奴隷として売られるか、母親と同じく性奴隷として一生あいつの子供を孕み続けるかの、クソみたいな未来しか残されてなかったんだ・・・。 でも、アタイの母親は望まぬ子のはずのアタイをすごくかわいがってくれたし愛してもくれていたんだ。 母親はそんなアタイの未来を変えるためアタイを連れてあいつの元からから逃げ出したんだ・・・・・けど、その途中で母親はあいつの追っ手に見つかって殺されてしまった。 その後アタイは、あいつの目の届かない遠くの村まで逃げることでそれ以上の追っ手はなかったけど、残されたアタイは絶望したよ・・・。 だってそうだろ、アタイは望まれずして生まれた道具のような子供で、アタイの血にはあいつのと同じ醜い血が流れてるんだよ・・・・・何度か自分で死のうと思ったけど、その度にアタイのことを助けてくれた母親のこと思い出して死ねなかった・・。 アタイはあいつのことが憎い。 でも、それと同じく穢れた自分の存在がまた許せないんだよ・・・・・ホントはアタイもいなくなればいいんじゃないかってね・・・」


 こういう時どういう顔をすればいいのか分からないの。

 「笑えばいいと思うよ」


「エレン・・・」


「い、いひゃい・・・いひゃいよ。 あんひゃいひなひなひひゅりゅんだい」


 俺はエレンの頬を両手で摘まん無理やり笑顔を作らせる。


「ほら笑えよエレン。 一杯笑って、どうしようもないくらい笑って、死ぬほど笑って、そんで辛いこと全部なかったことにして明日から新しい自分を作ってたくさん笑ってやれよ・・・今までのクソみたいな人生をさ」


 俺は俺に出来る最高の笑顔でエレンに笑う。


「エレンがどうしたいかは自分で決めるしかないと思う。 でも、エレンはもう一人じゃないし弱くもない。 今のエレンには、理不尽な強さに打ち勝つ力があるんだぞ・・・・だったらさ笑ってやれよ、今までの人生全部。 理不尽なもの全部さ。 そんで、新しく一緒に作ろうぜ笑って思い返せるくらい楽しい人生をさ」


「・・・・・エース」


 俺はもう一度エレンのことを抱きしめて、


「エレンは俺の嫁だ。 これから俺はエレンの楽しい時間を貰うけど、そのかわりエレンには俺の楽しい時間をやるよ・・・・・・ずっと俺の側にいろ、俺が必ずお前を守ってやるよどんな理不尽からもな。 だから・・・笑ってろよな」


 エレンはまた大粒の涙を流し始める。

 だが今度のは悲しいものでない・・・。

 うれし涙だ。


「アンタのこと好きになれた良かった。 アンタはアタイの最高の旦那だよ♡」


 俺の唇に柔らかい感触がして・・・。

 それがエレンの唇だと分かったときにはエレンの唇はもう離れてしまっていた。

 唇どうしが触れるくらいの子供のキス。

 だけどキス自体始めての俺にはそれだけで興奮するのには十分で・・・・


 バタン!


 不覚にも鼻血を出して倒れてしまった。

 まだクインともしたことないのに・・・。


「ちょ、エース! って、ありゃりゃこれは完全に伸びてるね・・・・まったく、人を泣かせるくらいかっこいいこと言ってたくせに、キス一つでこれじゃぁね・・・・・その先に行くには時間がかかりそうだねぇ」


 エレンはエースの脇に手を入れて体を起こすと、そのままベッドまで連れて行って寝かせる。

 その寝顔は、顔を真っ赤にして今も恥ずかしさに一杯一杯な感じだ。

 それを見てエレンの顔には自然と笑顔が溢れていた。


「これからもアタイを笑顔にしておくれよ」


 エレンはエースの頬に優しくキスをして部屋を出た。

 その顔はやはり笑顔であった。

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