初めての街は問題事の香りがしています。
ご指摘のあった誤字・脱字を修正いたしました。 たくさんあってホントすいませんでした・・・今後も気づいたら教えていただけると幸いです。
さて、その際に設定を少し修正しています。
具体的には、剣士と盾使いのジョブ表記を〇〇術士に統一して、ジョブの説明も判りやすいものしました。
さらに、エース覚醒後のステータスが0なのはおかしいのでは・・との意見を受けてステータスを1に変更しています。
また、閑話のエース紹介の部分にエース覚醒後の補足を加えておきましたので確認してみてください。
リステルの街へと出発してすでに3日目。
まもなく目的地である、5大都市の一つリステルに到着するところまで俺たちはやってきていた。
俺たちにとっては始めての街だ。
ここまでの3日間の旅は、想定していたとおり特に問題もなく順調に来ている。
「あんた達見てご覧、あれが5大都市の一つリステルだよ」
俺たちの前方に、城壁に囲まれた街並みが見えてくる。
城門前には、馬車に乗った商人風の人や剣や鎧を身につけた冒険者風の人の姿で溢れている。
「すごい活気のある街だな」
「そりゃ、リステルの街は大陸で唯一迷宮がある街だからね。 あそこは、迷宮から取れるアイテムや魔物素材を売り買いして成り立ってるから、商人や冒険者が多く集まるんだよ」
この話は事前に前の村の人に聞いて知っていたことなのだが、ギルドや冒険者という仕事があるようにみんなが良く知る迷宮という存在もあるのだ。
特にこのリステルという街は、大小様々なランクの迷宮が街の中にあり迷宮から取れるアイテムや素材で街が成り立っているのだ。
これを聞いたときから俺は、この街の迷宮をすべて攻略してやろうと考えていた。
何故って?
理由としては2つある。
どうでもいい理由からいうと、純粋に迷宮という存在に憧れているからだ。
異世界ファンタジーの定番であり、男なら必ず抑えておかなければいけない定番中の定番だからだ。
よく言うだろ、郷に入っては郷に従え。
異世界に行ったら定番に従えって・・。
で、真面目な理由を話すと、正直街に来たはいいがどうやって俺たちに協力して貰うかずっと考えていたんだがこれと言っていい考えを思いついていなかった・・。
突拍子に帝国を潰すから協力してくれ・・・・・何て、言ったところで誰が協力してくれるだろうか・・。
はっきり言って俺たちは、信用もなければ実績もまだ何もない状態なのだ。
そんな奴の話を誰が信用してくれるだろうか・・。
そもそも、帝国と戦おう等と言う奴の気がしれているはず・・。
だからこそ、まずは信用と実績を作る必要があると思うんだよ・・・リステルで今だ攻略されていない高ランクの迷宮を攻略してね・・。
そうすれば、名前も売れて動き安くなるしリステルの中枢の奴とも接触がしやすくなるだろう。
そうなれば、俺の力を示すなりなんなりして協力体勢を取ることは難しくないだろう。 俺の力を示すと言ったのは、俺の力を隠してももう仕方がないからで、最弱無敗のジョブを所得した今俺のランクは最弱のFで固定だ・・。 そんな状態で、活動するのだから悪目立ちするのはあきらかだから隠す必要もないだろうということ。 それに、覚醒した今なら俺一人でも仲間を守ることが出来る・・・つまり、自分から能力をバラスことはしないが必要に駆られれば力を出すということだ。 聞いた話では、リステルの領主は帝国のやり方に不満を持ってるそうだからそうすればきっと話に乗ってくるはずだ。
俺たちは街に入る人の列に並んで街に入るための審査を待つ。
まぁ、審査といってもステータスカード提示してランクを調べるだけなのだが・・。
「次の人どうぞ」
城門前の兵士が俺たちを呼ぶ。
「ステータスカードの提示をお願いします」
まずはエレンが兵士にカード渡し、次いでクイン・ジャック・俺とカードを見せていく。
ちなみにムサイは顔が割れている可能性があるので拠点でお留守番だ。
迷宮に潜ることになったら呼ぶのもありだな。 あいつは戦闘狂だし・・・。
「Cランクが3人に・・・・Fランクが1人か・・・」
俺のステータスカードのランクを見て、兵士は渋い顔をする。
ちなみに俺以外の3人はステータスを隠蔽してCランクにしてある。 俺たちの容姿は目立つから、Cランクなら迂闊に手をだして来る奴はいないだろうからとCランクにしている。 まぁ、いざとなれば隠蔽のランクはいくらでも変えれるので問題ないだろう・・。
それでもエレンは兎も角、ジャックとクインはExランクであることは隠さないと問題になるしね・・。 俺はジョブだけは隠蔽しているあれはバレるとまずいからね。
「彼は君達の奴隷・・・・というわけでは無さそうだね」
「当たり前です! 私たちの兄さんが奴隷なわけないじゃないですか!」
「そうですよ。 兄さんは僕たちなんかよりずっと強いんですからね!」
「ハハ・・・」
俺はジャックとクインの言葉に苦笑いを浮かべる。
我が兄妹ながら信頼の高さにはビックリだよ・・。
というか、門番さんも困った顔してるからそれ以上はやめようね。
俺は二人の肩に手を置いて後ろへと引く。
「すみませんうちの兄妹が失礼なことを・・」
「あ、いえいえお兄さん思いのいいご兄妹のようで・・」
「それで、問題がないようでしたら街に入れていただきたいのですが・・。 後の方たちの目もあることですし・・」
さっきから後ろに並んでる人が、俺がFランクだと知って凄い見て来るんだよ俺のことを・・。
まるでゴミ見るかのような蔑んだ目でね。
しかもこいつ、よく見たらすげぇ身形のいい服を着ていて後ろには護衛に奴だろう戦士風の奴が2人いる。
大方どっかのお坊ちゃまか何かで、Fランクの人間など何も出来ないゴミにしか思ってないんだろうねこの人は・・。
こういう人とはなるべく関わらないほうがいいだろう・・・・・俺の直感が問題を告げてるしな・・。
「そうですね。 ですが一つ忠告を、リステルは帝国の都市の中で比較的ランクの差別意識が低いですが、中にはああして自分よりランクの低い者を見下す人もいるので気をつけてくださいね。 特に、Fランクの人間の扱いになると奴隷にするのが帝国では当たり前なので・・・それにお連れ様の容姿は目を惹きますので、帝国貴族との接触は避けるほうがよろしいかと・・・・」
兵士さんはとても言い辛そうな顔を見せる。 帝国貴族というのに何かあるのだろうか・・・・後でムサイ辺りにでも聞いてい見るかな。
とは言え見ず知らずの俺達のことを心配してくれているということだろう。
この世界に来て、始めてこういういい人もちゃんといるんだなって分かったよ。
「ありがとうござます。 十分に気をつけますね」
俺たちは兵士さんに一礼し街の中へと入る。
街の中はたくさんの人が行き来していて、露店の出店からは食べ物のいい匂いがそこらじゅうからしてくる。
鎧や武器を持った冒険者も多くいて、何よりその中に人間以外の種族の人も多く見られる。
獣人、エルフ、ドワーフ、ファンタジー世界ではお馴染みの種族から、蟲人、亜人、魚人と見たこともないような種族までホントに多くの人が行き来をしている。
「で、これからどうするんだい?」
「そうだなぁ・・・とりあえず冒険者ギルドに登録してから宿探しかな」
「ギルドに行くんだね。 ならこっちだよ」
エレンはこの街のギルドには何度も来ているそうで、街の中の様子にもそれなりに詳しいそうだ。
後で宿を取り終わったら街を案内して貰おうかな。
大通りを歩いていくと、噴水が吹き出る広い広場へと辿り着きその一角に3階建ての大きな建物が建っている。
エレンはその建物前で立ち止まると、
「ここがリステルの冒険者ギルドだよ」
そう言って扉を開けるとギルドの中へと入っていく。
俺たちもその後に続く。
中は俺が想像していたような酒場風ではなくて、制服を着た人が幾つかの番号のついたカウンターに座り訪れる人の対応をしている。
エレンは入り口近くにいた制服の人に何かを聞いている。
俺が思うにここは、役所か何かじゃないだろうか・・。
決して冒険者のような人が来るようなところには見えないのだが・・。
俺はエレンが戻ってくると聞いてみた。
「なぁエレン、ここってホントにギルドなのか・・・・・何か役所って言われたほうがしっくり来るんだけど・・」
「まぁ、似たようなもんだね。 ギルドに来る仕事ってのは、本来役所の方で手が回らなくなったものや手に負えないようなものこっちに流してるんだよ・・」
「つまり、ギルドは汚れ仕事専門の役所だと」
「言い方があれだけど、間違っちゃいないよ。 だから基本、ギルド内で揉め事を起こすと役人が飛んでくるからくれぐれも空気読んで気をつけておくれよ」
「「気をつけてくださいね兄さん」」
何だよみんなして・・・・・そんなに俺の事信用できないってか・・。
まぁ、その場の流れでついやっちゃうのは俺の悪いところだけど・・・・・あえて言おう、「|KY≪空気読めない≫ではない、|KY≪空気よまない≫であると!」 これ重要だからね。
「多分大丈夫だと思うよ?」
「はぁ、アタイ問題しか起きない気がするんだけどきのせいかねぇ・・・」
「僕もそう思います」
「私もです」
「待て待て、俺だって自分から問題起こすようなことはしないぞ。 問題が来るから問題を起こすんだからな」
「いや、問題が来ても問題を起こさないよう努力しなよ・・・」
「そいつはKYとして無理だな。 そうなると分かっていても、俺はそうしてしまうだろうからな」
その言葉がこの後現実になるとは、この時誰もが予想していただろうね・・・・・。
冒険者登録自体はすんなりと完了した。
登録用紙に、名前とランクを書いて出すそれだけのことだった。
後、ギルドでの仕事の受け方を説明されたけど、聞いた限りでは登録さえしてあれば、後は仕事がほしいときにここに来て仕事を受けるというかんじだ。 迷宮のアイテムや魔物素材は、ギルド2階にある買取施設で常時買い取りを行っているそうだ。 ここで冒険者登録さえしてあれば迷宮にいつでも入れるようになるそうだ。
基本ギルドは仕事の斡旋をするだけで、ギルドとして依頼は受付ないらしく個別でそういうのは対応するみたいだ。
後、ちょうどいいからお金の単位も教えてもらった。
それによると通貨単位はP。
銅貨・銀貨・金貨・白金貨の4種類の硬貨があって、10P=銅貨一枚 100P=銀貨一枚 1000P=金貨一枚 10000P=白金貨一枚だそうだ。
ちなみに今の手持ちは50万Pほどだ。
まぁ、これはベローズの屋敷からいただいた金だけどな。
そんなわけでここでの用事も終わったので帰ろうとしたんだけど、
「おい、そこのお前待て!」
俺たちはギルドでたところで呼び止められた。
確認するとそいつは・・・・
「お前Fランクのくせに良い女連れてるじゃないか。 お前には勿体ないから俺様が貰ってやるよw」
そいつは身形のいい服を着て、護衛を連れた男だ。
そう、城門の審査の時俺たちの後ろに並んでいたあのお坊ちゃま君だった。




