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異世界来て現状を確認することにしました。

「・・さん・・・兄さん起きてください」


「うっ・・・・はっ! 何処だここ?」


 俺はクインの呼ぶ声により目が覚める。

 外からは微かに太陽の光が入り込んできていて辺りを照らしている。 

 薄暗い部屋の中は、ごつごつした岩の壁に囲まれ黒く湿った土が靴の裏に張り付いてくる。 どうやら俺は洞窟の中で目を覚ましたようだ。

 そこでクインが、俺の背中に手を回して体を起こすのを手伝ってくれる。


「ちゃんと転移できたのか・・」

 

 その答えはこの情況を見れば明らかだろう。

 見える範囲の自分の体は5歳児の体で、となりには俺と同じくらいの年をした女の子、そして見たこともない場所とくれば・・・。

 

「あれ? そう言えばジャックの姿が見えないみたいだけど・・」


「はい、私たちは兄さんが目覚めるよりも先に目覚めましたので、ジャックは周辺の探索と情報を集めに外に私は兄さんが目覚めるまでの護衛をしていました」


 俺が何も言わなくてもそこまでやってくれるとはな・・・流石は俺の兄妹だ。 褒めてあげよう。

 俺はクインの頭に手を伸ばして、「ありがとう」と言って頭を撫でてやる。 人を育てるときには、こういったスキンシップや相手を褒めることを忘れてはいけないし、こういったコミュニケーションの積み重ねで、信頼関係は築いていくのが大切なのだ。 クインはうれしそうに撫でられている。


「ああ! クイン何やってるんだよ羨ましい!」


 そうこうしていると、洞窟の外に出でいたジャックが帰ってきて俺に頭を撫でられてご機嫌のクインを見て怒鳴っている。


「お帰りジャック。 悪かったね俺が寝てる間にいろいろとさせちゃって」


 俺はそう言って、戻ってきたジャックに労いの言葉をかける。


「いえ、兄さんのお役に立てたのなら、僕はうれしいですから」


「ありがとう」


 そう言って俺はジャックの頭を撫でてやる。 相手に対して感謝の気持ちを忘れてはいけない。 いい事をしたときはしっかりと褒めてあげなければ、人はその行動に自信がもてなくなってしまう。 他人から認められることで、人は一歩成長できる。 これも俺が人を育てる上で大切にしていることだ。

 

 そうしてジャックを褒めてやっていると、クインが横で物ほしそうな顔をするので、反対の手をクインの頭に伸ばして撫でてやる。 しばらくの間そうして撫でてやってから手を放すと、二人は残念そうな顔をするが、褒めるのはあくまで頑張ったときだけだ。 初めのうちはあんまり甘やかすのは良くない。 けじめはきちんとつけるべきだからね。


「それでジャック、外の様子はどうだったの?」


「はい。 洞窟の外は深い森になっていて、僕が見てきた範囲で何度か魔物と遭遇もしました」


「おいおい、それでジャックは大丈夫だったのかい?」


「はい。 僕は見てのとおり身軽ですから、魔物に見つかっても直ぐに逃げて戦闘はしてませんから」


 たしかにジャックにはこれといった怪我の跡は見当たらない。

 そう言えば、二人のステータスはどうなってるんだろう・・。

 俺は二人に許可を取ってから二人に鑑定を掛ける。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前 ジャック   

 年齢:4才

 ランク:Ex

 ジョブ(∞):   

 種族:人間

 体力:20

 魔力:20

 腕力:20

 防御:20

 俊敏:20


 スキル:超隠蔽Lv1 鑑定 

 SP:0p

 称号:最高神の加護を受けし者 エースの眷属  ブラコン兄妹  


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前 クイン   

 年齢:4才

 ランク:Ex

 ジョブ(∞):   

 種族:人間

 体力:20

 魔力:20

 腕力:20

 防御:20

 俊敏:20


 スキル:超隠蔽Lv1 鑑定 

 SP:0p

 称号:最高神の加護を受けし者 エースの眷属  ブラコン兄妹  


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 二人にはジョブがついていなかった。 その代わり、同じ魂から作られたはずなのに二人のステータス値が俺の倍ある。 スキルも最高神様がくれたもの以外二人は持っていない。 まぁ、俺のスキルはジョブに就いているから出ているので、ジョブなしなら俺も二人と同じスキル構成になるはずだ。 

 後、何故か二人は最初から眷属化されていて称号がついていた。 元々二人は眷属化はするつもりでいたのでそれはいいが、ブラコン兄妹って・・・。

  

「それで、森では食べられそうな果物を見つけて持ち帰ってきました。 また、洞窟の側には川が流れていて魚がいることも確認しました」


 そう言ってジャックは森で採ってきた果物を入れた袋を渡してくる。

 俺はそれを受け取って袋から一つ果物を取り出す。 赤い色づいたリンゴのような果物を手に持って鑑定をかける。


 ポポンの実:食べると甘い味がする。 


 うん、異世界の食べ物だね。

 一口齧ってみると確かに甘い味がした。 

 俺は袋の中からもう2つ取り出して二人1個ずつ渡す。

 三人でそれを齧りながら、今後のことについて話し合う。

 俺としては、直ぐにでも最弱っ子を探して育て上げたいところだが、見てのとおり今は5歳児の姿だこの姿では自由に外を出歩くことは難しい。 それに、最高神様も言っていたことを信じるならこの世界はランクがすべての世界だ。 力のないまま外を出歩くのは大きな危険が伴う。 そして、俺のランクは加護のおかげでこの世界にはいないだろうExランクになっている。 仮に今の状態でこのことが知られれば、間違いなく俺はトラブルに巻き込まれることになるだろう。 そうならないために、しばらくは自身の成長に時間をかけることがいいだろう。 幸いにも、今いる場所は人目にもつきにくい場所だし、俺には最高神様からいただいた異空間拠点があるので生活にも困ることはないだろう。

 外の森には魔物がいるということなので、力がついたら森に出て魔物を狩ってみるのもいいかもしれない。

 この辺りのこともその内調べてみたいな・・。

 二人にそのことを言うと、二人は「兄さんの考えに従います」と声を揃えていう。二人の信頼が高すぎる気がする。 これもブラコン兄妹の称号の影響だろうか・・・。


 とりあえず俺は、二人を連れ洞窟内の散策を開始する。 異空間拠点があるとはいえ、拠点を構える場所がどこでもいいと言うわけではなくて、万が一にも人に見つかりにくい場所でなくてはいけない。

 洞窟の中は思っていたよりも狭く、入り口から入って分かれ道が3つ。 一つは大きめの空間に繋がっていて、残りの二つはそこよりも小さい空間となっていた。 

 俺たちは、小さい空間の一つに拠点を構えることを決めて、異空間拠点を発動させる。

 すると、何もない空間から扉が現れる。 扉を開けて中を覗いてみると、かなりの広さの玄関ホールにつながっていた。 拠点の中に入ると、外のドアが消えてなくなるので万が一にも人に見つかることはないだろう。


「しかし、これだけ広いとなぁ・・」


「そうですね、流石に三人で棲むにしても広すぎますね」


「お掃除が大変かもです」


「まぁ、広いのも今だけさ。 そのうち嫌でも人を増やして行くんだから、今のうち俺たちでここを満喫しよう」


 そう、そのうち眷属化した最弱っ子たちでこの拠点も溢れかえらせて見せるさ。

 俺たちは拠点の中を調べて周る。

 各部屋にはベッドや小物が備え付けられ、個室風呂を完備している充実ぶり。 食料も三人で食べる分には十分すぎる量が用意されていて、食器や調理道具などもすべてが新品。

 さらに地下には、訓練場・鍛冶場・調合室といった様々な施設が完備されている。

 まさに、拠点としては言うことない完璧な拠点だ。

 で、屋敷を調べていて制御室みたいなのを見つけて分かったんだけど、どうやらこの屋敷はダンジョンと同じような扱いになっているみたいで、制御室にコアが置いてあってそれに魔力を注ぎ込むと、屋敷の広さだったり物なんかを増やしたり大きくしたりできるみたいなんだ。 つまり、この屋敷は俺たちの思い通りに改造することができるようなんです。 まさに、快適な生活が約束された理想の拠点というわけです。 こんなものをくれた最高神様には感謝の気持ちでいっぱいです。


 といった辺りで、俺はリビングのソファーに腰掛け最高神様から渡されたこの世界の情報が書かれた本を読むことにした。 

 よくよく考えたら、この世界の名前とか知らなかったしね。

 ちなみに、ジャックとクインは訓練場で遊んでるよ。

 俺が一人で静かに本を読みたいっていったらさ、二人ともすごく悲しそうな顔をするもんだから、好きにしてていいよって言ったら「強くなって兄さんを守ります」とか言って訓練場に行っちゃった。 慕ってくれるのはうれしいんだけど、ブラコン兄妹の称号やばいよ・・・そのうち俺襲われないよね・・性的な意味で・・・・。

 その前にまずは自分のステータスを確認しておくか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前 エース    

 年齢:5才

 ランク:Ex

 ジョブ(∞):育成師Lv1   

 種族:人間

 体力:5

 魔力:15

 腕力:10

 防御:10

 俊敏:10


 スキル: 指導Lv1 解説Lv1 超隠蔽Lv1 眷属化 スキル成長速度2倍 ジョブ成長速度2倍 獲得SPスキルポイント2倍 鑑定 

 SP:0p

 称号:最高神の加護を受けし者  異世界を越えし者  ユニークジョブ使い  育て上手  教え上手 聞き上手  理想の先生 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 うん、ではもっと詳しく見ていこう。

 まずはジョブから。


 育成師Lv1: 他者を育てることに長けた職業。

          ジョブ特性:Lvアップ時眷属の数×ジョブレベル分全ステータスが上昇する。

                 現在の眷属の数 2人  


 ジョブの説明はすごくシンプルだ。

 ジョブ特性は流石はユニークジョブ、眷属が増えれば増えるほど俺も強くなれるらしい。


 次はスキル。


 指導Lv1:眷属に対してスキル保持者が自ら教えることで眷属のランク・ステータス値を成長させることができる。 

    

 解説Lv1:眷属に対してスキル保持者が自ら教えることで眷属のジョブ・スキルの習得速度をあげることができる。


 超隠蔽Lv1:自らのステータスを隠すことが出来る。 これを破るには、上位の解析スキルでなければ見破ることは出来ない。


 眷属化:対象を自らの眷属にすることでスキル保持者に眷属が隷属する。 眷属化した眷属はスキル保持者の持つスキルの恩恵を受けることができるようになりSPも共有される。ただし、共有されたSPはスキル保持者のみ使用でき、眷属は自らのSPしか使用することはできない。


 指導・解説はまさに育成師ならではのスキルだ。 

 さらに、眷属化するとSPまで共有され、共有されたSPは俺だけが使うことができる。 つまり、俺は人のSPで勝手に自分を強くすることが出来るのだ。 


 そして最後に称号。


 最高神の加護を受けし者:最高神の加護を受けたことで世界の理を超えたExランクの力を得る。


 異世界を越えし者:この世界とは違う世界より来たりし者。 すべての言語が使えるようになる。


 ユニークジョブ使い:ユニークジョブに着いたもの。 ジョブ・スキル・SPの成長が2倍になる。

 

 育て上手:他者を強くすることが好き。 称号保持者に育てられた者の成長力上昇


 教え上手:他者に教えるのが好き。  称号保持者に教えられた者の成長力上昇


 聞き上手:他者の話を聞くのが好き。 称号保持者に相談した者の親愛度が上昇


 理想の先生:他者から好かれる人。 称号保持者に対する親愛度が常時上昇              

  

 何だかんだで人を成長させる効果を持つ称号が多いのは俺の特徴だね。

 改めて確認すると、俺自身はそんなに強くはないんだなってことがよくわかったよ。

 これから頑張って俺も強くならないと・・。


 ステータスの説明はこれぐらいにして、本から得た情報を簡単に整理していこう。

 まずこの世界の名前はダイヤノーズというらしい。 エントとオルスタン2つの大きな大陸に、人間・獣人・エルフ・ドワーフ・妖精族・海洋族・魔族と多くの種族が生活している。

 両大陸にはそれぞれの大陸を収める国が存在していて、エント大陸にはアルテシア王国がオルスタン大陸にはイングラム帝国がそれぞれ大陸を治めてている。

 アルテシアは大陸内でも比較的争いが少ない国だ、逆にイングラムは魔族を中心に実力主義国家なので大陸内では戦争が絶えないそうだ。

 そして、肝心のランクについてだが最高神様から事前に聞いていたとおり、この世界でランクは絶対的なもののようで低ランクに生まれた者はかなり辛い生活をおくっているようだ。

 特にイングラム帝国では、Fランクに生まれると人としての尊厳をすべて奪われ奴隷としてかなり酷い扱いを受けているようだ。 いずれそれも何とかしてあげたいな・・。 

 で、現在二つの大陸にはSクラスの者が3人ずついるそうで全員が国仕えをしている。

 基本的に、このランク制度で生まれる子供のランクはランダムなので、Aランク同士の子供だからと言ってAランクが生まれるわけではない、そのためCランク以上の数もさほど多くはなくて、F・Eランクと言った低ランクの者の数のほうが圧倒的に多い。

 ちなみに、各ランクの基本ステータスは、F=平均5 ジョブ・スキルなし E=平均50 ジョブ2 D=平均100 ジョブ4 C=平均300 ジョブ6 B=平均500 ジョブ10 A=平均1000 ジョブ25 S=平均1000以上 ジョブ∞ となる。

 こうしてみると、俺のスタータスが低いと思われるかもしれないが、俺は5歳児でジョブも1つしか今はないから仕方ないのだろう。 普通はEランクの子供とはいえ、ジョブに就けるのは15歳の成人の儀を終えてからなのだ・・・それに比べれば俺のステータスは破格と言っていいだろう。 ちなみに、生まれた子供には生後1ヶ月以内にランクを計る機械でランクを調べて国に報告するって決まりがあるらしい。 国としては、高いランクの人材はどうしてもほしいということだろうね・・。

 この数値はあくまでジョブの数を上限まで就いたときのものだ。 ジョブに就くと、そのジョブ特性に合わせたステータスが上昇する。 そして、ジョブのLvが上がるとランクに応じてジョブ特性のステータスが上昇するのだ。 つまり、ジョブに就いた数が多いほどステータスは高くなるということで、ジョブに就かない限りステータスもスキルも得ることができないのだ。 Fランクが最弱と言われる由縁はこれだ・・・どこまで行ってもジョブに就けずスキルも得られない。 ステータス値はゴミ屑以下で逆らうことも抗うこともできない。 この世界では、ランクは絶対的なものであり、Fランクの存在はまさに最弱としか言いえないのだ。


 ふぅ、俺は読んでいた本を閉じて机の上に置く。

 これだけ読んでも分かったが、この世界のランク主義は異常だ。

 強いものはより強くなる。 弱いものが成長して強くなるという俺の好きな展開がこの世界にはないのだ。


「この世界を創った人はあれだね、人の強さの何たるかを本当に理解してないね」


 こんな下克上もないような世界面白くないよな。

 本当に面白い世界っていうのは、マンガみたいに絶対に勝てないような相手に、弱者が成長してそれを撃ち破るような世界だ。

 この世界はおもしろくない。 

 なら、俺が面白くしてやろうじゃないか。

 最弱を最強に育てて俺がこの世界をおもしろくしてやんよ。

 

「ここなら、いくらでも育成出来そうだ」


 見せてやるよ・・・最弱が最強に変わる瞬間ってやつをな。 

 そうと決まれば俺も訓練場で特訓だ。

長たらしく世界観を説明して見ました。

次回はちょっとだけ育成回になりますが、主人公が強くなっていくはまだ先です。

たくさんの感想・評価ありがとうございます。

これを励みに今後とも頑張っていきますのよろしくおねがいします。





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