成長したけどブラコンでした。
2章帝国編開始です。
ここで少しネタを話しておくと、1章の終わりでこの世界のルールを作った邪神がこの世界にいるという話をしましたが、予定ではその存在がでてくるのは当分先の予定です。 予定としては、2章帝国編、3章王国編、4章、新大陸創造編、を挟み5章あたりから出す予定です。
だったらそんなにすぐ出さなくてもいいだろ・・・と思う方もおられるかもしれませんが、エース君が今後世界に出て行く上で必要な設定だと思うのですよ・・。
なので、当分邪心の設定は出て来ないものと思っていただければ・・・ところどころ影的な意味ではだすかもですけどね・・。
さらにうれしい報告が。
なんと、日刊ランク85位にランクインしていましたありがとうございます。
これも一重にみなさまのおかげですので、今後はもっと上を目指して頑張りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
外との時間から切り離された訓練場に剣の打ち合う音が響く。
そこには二人の青年が剣を交えていた。
1人は銀の髪を短髪にした170前後の男。 全体的に華奢な体付きをしていて、肌の色素も女性のように白い。 さらにその童顔な顔つきが、彼を余計に男の娘として際立たせて保護よくを掻き立てる。
そう、彼こそ成長したエースである。 現在17歳だ。
そしてもう1人・・。
エースと同じ銀の色をした肩より少し長い髪を後ろで結んだ男。 身長はエースより少し高くて180cmくらいか・・。 服の上からでも分かる、全身筋肉で引き締まった体に、男らしく少し小麦色の焼けた肌にまるで王子様のように整った顔立ち。
そう、彼はエースの弟のジャックであった。 現在16歳。
成長したジャックはまさに男らしくなったのにも関わらず、俺ときたら体は成長してもまるで筋肉がつかないし、日焼けしようと思っても肌の色が全然変わらないんだよ・・。 おまけに元々が女の子みたいな顔だからって、クインの奴が女物の服を着せようとしてくるし・・・。
せめてもの反抗で、髪だけは男らしく短髪にしているけどそれもこの顔だと逆に活発な女の子みたいに見えるらしく逆効果で・・・・・俺の男の娘度が上がる一方なのです。
早く男になりたい・・。
「はぁっ!」
「せいっ!」
ジャックの放ったアーツを俺は別のアーツをぶつけて相殺する。
その隙をついて、ジャックは俺に接近し打ち込んでくる。
その瞬間俺は持っていた武器をジャックに投げつけ、そのままジャックへと向かう。
ジャックが剣を弾いたときには、俺はすでにジャックの懐に潜り込んでいて、
「猛虎落地星!」
ジャックの膝裏部分に蹴りを打ち込み体勢が僅かに前のめりになった瞬間、後ろへと回りこんで腕を取って足を払う。
ジャックは片腕を背中の後ろで固められた状態で、地面にうつ伏せになって倒れこむ。
「くっ、参りました兄さん」
ジャックから降参の声があがる。
俺は拘束を解いて立ち上がり、手を差し伸べる。
ジャックはその手を掴み立ち上がると、
「ありがとうございます兄さん。 やっぱり兄さんには、まだまだ勝てませんね」
爽やかなイケメンスマイルを向けてくる。
くっ、その笑顔が眩しすぎて俺には直視できないぜ・・。
これがイケメンが放つというリア充オーラだとでもいうのか・・。
認めん。
俺は認めんぞ!
俺だって男(の娘)なんだからね!
まぁ、それはおいといてだ・・。
「おほん、ジャックもかなり腕を上げたみたいだけど、まだまだジャックは目先のことに頼りすぎてるみたいだから、もっと相手の先を読んで動くようにするといいぞ。 まぁ、技術的なことって言うよりもジャックには戦闘経験が足りないだけだから、場数を踏めば自然ともっと強くなれるはずだぞ」
「そうですね・・ムサイさんと戦ったときに、うすうす自分でも気づいていたんですけど・・・・・どうしてもステータス頼みの動きが抜けなくて・・」
「まぁ、ここを出たらムサイにそこらへんのことは聞いたらいいさ。 ムサイは実践の中で生きる奴だからな」
適材適所って奴だな。
俺では技術的なことは教えてやれるが、それ以外となると俺の知識はゲーム頼みのもので偏りすぎてるからな・・。
特に戦闘経験に関しては、俺は地球にいた頃には喧嘩なんかしたことなかったから、教えれることがほとんどないしな。
「そうですね。 ここを出たら、またムサイさんに鍛えてもらいます」
「ジャックならすぐに俺なんかより強くなれるさ」
「はい。 もっともっと強くなって、兄さんをどんな奴からも守って見せます」
うん。 年はとってもブラコンは健在だ。
まったく、頼もしい弟だよお前は。
「さぁ、今日はこの辺りで・・・「兄さん、ジャック、今日の訓練はもう終わったのですか?」」
ちょうど今日の訓練を終わろうとしたとき、まるでタイミングを見計らっていたかのように訓練場の隅に併設された休憩スペースからひょっこりと顔覗かせる少女が・・。
銀の長い髪を右側でサイドテールに結んだ、160cm前後の女の子。
大きなアイスブルーの瞳、ぷっくらとした桜色の唇。 ハリも形も完璧な胸(推定D)、流れるようなボディーラインは抱けば折れてしまう細さをしていて、スカートから見える扇情的な足が男の心を掴んで離さない。
きっと、美の女神がいるのなら彼女のことを言うのだろう。
そう、彼女はクイン。 エースのもう1人の大切な兄妹だ。 現在16歳。
クインはすっかりと女性らしくなった。
兄としては妹の成長が誇らしいよ。
きっと、外を出歩けばクインの姿を見て振り向かない男はいないだろうな・・。
それだけクインは綺麗になったと思う。
だけど、そうなることで俺は気づいてしまったのだよ・・。
ジャックは王子。
クインは女神。
そして俺は男の娘。
何この格差兄弟は・・。
俺だけモブ感がハンパなくない。
一応同じ魂から作られてるんですよ俺も・・。
泣いちゃうよ俺・・。
「ちょうど今、今日の訓練が終わったところだぞ」
「そうですか。 ならこちらも丁度、夕飯の支度が終わったとこでしたのでそのままご飯になさいますか?」
「いや、クインのおいしい料理を汚い体のままでいただくのも悪いから、先に風呂で汗をながしてからにするよ」
「そうですか・・・・でしたら私もご一緒に・・」
「それはダメだっていつも言ってるだろ」
「ブゥ~ どうして一緒に入ってはダメなのですか。 昔は毎日一緒に入っていたというのに・・」
「それはお互い子供だったからだろうが・・。 今の俺たちは大人になったんだから、一緒に入るのはいろいろと不味いだろうが」
忘れないように言っておくが、この空間で俺たちは12年もの時を過ごしていることになっているのだ。
外の現実時間では3ヶ月だが、この空間には時間操作が掛かっているので外とは時間の進みが違うのだ。
あれから俺たちは成長して大人になっている。
その過程で、二人が10歳になる頃までは一緒にお風呂にも入り、一緒の布団で寝ていたのだが、クインの女らしい成長を目の当たりにして俺はこれ以上は襲ってしまいかねないと判断し、調度俺が12歳を迎えた頃から風呂も部屋も1人ずつにしている。
クインとしてはそれが不満で、ことあるごとにこうして一緒にしようとしてくるのだが、そこはブラコン兄妹の片割れ・・・兄の言いつけには逆らえないのであった。
誤解のないように言っておくが、決してクインに魅力がないわけじゃないぞ。
むしろ、クインを襲いたい衝動に耐えることが辛いくらいだ・・。
「兄さんは私のことが嫌いになったんですか・・・」
「なんでそうなるんだよ・・俺は昔も今も、お前達二人のことは大好きだぞ」
この気持ちに偽りはない。
だがそれは恋人としてではなく、あくまでも兄妹としてだ。
「なら結婚してくれますか?」
むむ、こやつうまく話を誘導しようとしているな・・。
「何故そうなる・・・それとこれとは別な話だろう?!」
「いいえ兄さん。 これは私にとってとても大切なことなのです。 これから兄さんは、外の世界に出てたくさんの女性の方と出会うことになるでしょう。 私は兄さんのことが大好きですけど、寂しがり屋ですごく嫉妬深い女です。 兄さんが私以外の女性の方と仲良くしている姿を思うだけで、私は嫉妬に狂って兄さんを襲ってしまうかもしれません」
えーっと、それは性的な意味でかな・・・それならうれしいんだけど、もし物理的な意味でだとしたら・・・・・・・嫉妬に狂ったクインを止められる自信はありませんね・・。
というか、今日はやけにぐいぐい来るな・・。
「いやまぁ、クインやエレン以外の女の人とも出会うだろうけど、それでその人が俺に好意を寄せてくれるとは限らないわけだし、俺が他の女性に恋するかもわからないだろ?」
「いいえ、兄さんはもっとご自分の容姿に自信を持つべきです。 兄さんはジャックのように決してイケメンではありませんが、兄さんの容姿は保護欲を掻き立て守ってあげたいと思うほどにかわいらしいのですから」
それって俺に男としての魅力がないってことじゃないだろうか・・。
いや、可愛らしいといわれるのが悪いわけじゃないのだが、俺だって男だ・・・・・かっこいいって女の人に言われたいんだよ。
「本当ならば兄さんを外の世界になど出さずにここで私が守ってあげたいところなのですが、兄さんにはやるべきことがあるのでそれは無理だと分かっています。 ですから私は、他の女性が現れる前に兄さんと特別な関係になっておきたいのです。 そうすることできっと私は、嫉妬に狂って兄さんを襲うことはなく兄さんを守っていけると思うのです」
その気持ちはすごくありがたいよ。
クインみたいな美少女に好きって言われてうれしくないわけがないよ。
これがもし、身内じゃなければ喜んでいいことなんだろうけど・・・・・クインは俺の大切な妹だ。
簡単に結論を出すわけにはいかないと思うんだ・・。
俺がヘタレじゃなければ、ちゃんとクインの気持ちを受け止めてあげることが出来るんだろうけど・・・・・今の俺にはまだ気持ちの整理がつかないよ。
ただ、今の自分の気持ちだけははっきり伝えたい。
「俺は、俺もクインのことが好きだよ。 妹としても一人の女の子としてもね・・」
その言葉にクインは喜びの顔を見せる。
「・・・ただ、どうしてもまだ妹としての印象が強くてクインを完全な一人の女の子として見ることはできない」
「・・・それはつまり、私とは結婚できないということでしょうか?」
一転して表情が悲しいものに変わる。
「今すぐにはね。 だけどこれはあくまで俺の気持ちの問題だから、決してクインのことが嫌いなわけじゃないからね」
「・・・そうですか」
「うん。 だから結婚は出来ない・・・・・・・けど、婚約という形でどうだろうか?」
「はい? 婚約ですか?」
「よく考えたらさ、結婚ってあまりにもいきなり過ぎるし、普通こういうのって恋人から初めてお互いのことが分かり合ったからするもんじゃないのかな・・。 それにほら、クインを妹としてしか見れないのは、クインの女の子の一面を見ていないからだと思うんだよね・・」
実際問題地球にいた頃の俺は女の子と接点を持ったことなど一度もないのだから・・。
「つまり、婚約という形の恋人から始めて、それで兄さんが私のことを女として見れるようになったら結婚してくれるということですか?」
「そういうことなんだけど・・・・・・ダメかな・・・」
クインは静かに何かを考えるようにめを閉じる。
そして考えが纏まったのか目を開くと、
「分かりました。 ぜひ、私を兄さんの恋人にして下さい」
満面の笑みでそう答えた。
そしてさらに、
「でも、例え他の女性が出来たとしても正妻は私ですからね♡」
そう言って俺の頬にクインはキスをする。
クインはほんのりと頬を染め笑顔で去っていった。
いきなりのことでビックリしたが、キスされた頬に手をやりながら俺は、
「これで良かったのかなぁ・・」
自分の考えに自信が持てないでいる。
ただ、俺の心臓はいまでもドクドクと激しい音を鳴らしている・・。
「兄さんも大変ですねぇ」
と、ことの成り行きを見守っていたジャックが。
「何人事みたいなこと言ってんだよ、お前だって外の世界に行けばクインみたいな女の子がたくさん寄って来るんだぞきっと・・」
ジャックのイケメンからしたら、俺以上に女の子を惹きつけることだろう・・。
「例えそうなったとしても、僕は兄さんとは違ってきっぱりと女性は遠ざけますよ。 僕の一番は兄さんを守ることですからね」
安定のブラコンですね。
いや、ありがたいことだけどそれだとやっぱり、俺男に見られなくなるよね・・。
王子に守られる男って・・・・俺の立ち位置は一体なんなんだろうね・・。
というか、ジャックはああ言ってるが世の女性はジャックを絶対に放っておかないと思うぞ。
だって、女の人は怖えぇんだぞ・・・。
何はともあれ、成長してもブラコンは直りませんでしたね・・・。
「兎に角、早く風呂に入ってご飯にしましょうよ。 僕お腹空いて仕方ないんですよ」
「それもそうだな」
俺とジャックはその足で風呂へと向かうのだった。
というか、何故いきなりこんな話になっていたのだろうか・・。
俺は普通に風呂に入りたかっただけなのに・・・・。
今日俺に嫁(妹)が出来ました。
その後風呂から上がりご飯を食べたのだが、やたらと豪華なメニューの食事に終始ご機嫌のクインがとても可愛く見えたのは内緒の話だ・・。
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