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成敗することにしました。

本日は1話更新です。


 森を歩き続けること数時間、すでに太陽の位置が真上に来ていることからちょうどお昼時くらいの時間だ。

 俺たちの目の前には森と外の境界線が見えてきて、長かった森の散歩も終わりを迎える。

 その境目の先に銀の髪をした俺たちと同じくらいの年の子供が、こちらに向かって大きく手を振っている。 そうジャックだった。

 1ヶ月ぶり、正確には何度か報告をしに戻ってきて顔を合わせているのだが、こうして一緒に行動すのは1ヶ月ぶりになる。


「兄さ~ん!」


 俺たちに気づいたジャックが物凄い勢いでこちらに駆けてくる。

 ボフッと音がするくらいの勢いでジャックが俺の胸に飛び込んできたので、俺はそれに負け1歩、2歩と後ろに下がりながらジャックを受け止めた。


「久しぶりだなぁ~ジャック。 いろいろ大変なこと押し付けちゃって悪かったね」


 俺はジャックの頭に手を置いてやさしく撫で回す。

 いつもならここで、クインがジッと睨んでくるとこなのだが、流石にクインもジャックがこの1ヶ月俺に甘えられなかったのは知っているので今回はやさしい目で見てくれている。 エレンはエレンで「ホントに仲のいい兄妹だねぇ」とか言いながら首を横に振っている。 この1ヶ月で俺がクインを撫で回すのを散々見せられているからね・・・仕方ないよ。

 それとクインさんや、いつもそうしていてくれると俺も安心出来るんですけどねぇ・・・嫉妬が怖いですからね・・。 とは言え、睨まれるだけで何もされないんだけどね。

 ジャックは俺に撫でられながら胸に顔スリスリ、とてもうれしそうだ。

 だが何時までもこうしているわけにはいかない・・。


「さてジャック、その後変わった様子はあったかい?」


「いいえ。 特に変わった動きはしていませんでした。 ですが、帝国からあの村に来ている連中はこそこそと何か動いている節はありましたので、僕らの情報が何処までかは分かりませんが奴らに伝わっているのは確実かと思います」


「うん。 向こうの戦力は4人のままなんだね?」


「はい。 帝国に連絡した様子もありませんでしたから、4人のままだと思います。 おそらく僕らが子供だと聞いているので、そこまでの警戒をしていないんだと思います」


「そうだね。 ジャックの言うとおり、向こうはこっちの事を格下と見て油断してるんだろうね。 向こうの出方次第になると思うけど、最悪村に行った瞬間戦闘になるかもだね」


 村にいる連中が短気なアホならそうなるかな。

 まぁ、どの道人の事見下して碌に対策も練ってないようじゃ頭の方はたかが知れてるんだけどね・・。

 さてさて、それでも念には念を入れて罠を張っておきますかね。


「で、ジャックあれは仕掛けてあるんだよね」


「はい。 ちゃんと言われたとおり仕掛けてあります」


「よし。 なら後は、イレギュラーさえなければどっちに転んでも問題ないな」


 イレギュラー何てそれも考えにくいんだけどね今回は・・。

 さてさて、向こうはどう動いてくるかな?

 交渉か? それとも戦闘か? はてさてどう出てくるか楽しみだねぇ。


「それじゃ、ボチボチ村に向かいますか。 一応こっちはエレンを貰う交渉に行くわけだから、二人とも何かあるまでは暴れるなよ」


「「はい。 兄さん」」


 そう言っとかいないと、ブラコン兄妹は暴走しかねないからね。 慕われるのはうれしいけど、マジで怖いですブラコン。





 森を抜け、歩くこと1時間足らずでエレン達が身を寄せる村が見えてきた。

 外から見る分には、何ら変わりのない普通の村である。

 近づき、村の入り口に来たところで門の警備の人に声を掛けられる。


「お前達この村に何の用だ?」


「俺たちは先日森でコボルトに襲われた連中を助けた者だ。 今日は、先日の約束どおり1月エレンを借りたので返しにきた」


 俺はそう言って後ろにいたエレンを前に出す。


「エレン! そうか・・・・君達が奴らの言っていた・・確かに子供かそれもまだこんなに小さい・・。 坊主達、悪いことは言わねぇ今すぐここから逃げろ。 あいつ等はお前たちを・・「おい、テメェそこで何してやがる!」・・・くっ、遅かったか・・」


 門番さんが悔しそうな顔をする後ろから、金髪に装飾品で身を固めた男がジャラジャラと金属の音を鳴らしながら近づいてくる。


「テメェ門番! 仕事サボってくっちゃべってんじゃねぇぞコラ。 これだからランクの低い人間は・・・・・って、お、何だ誰かと思えばエレンじゃねぇかよ。 相変わらずいい体してんなおい・・・どうだ?そろそろ俺様に抱かれるきになったか」


 金髪野郎はニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべ、エレンに近づこうとするので俺がその間に割って入る。


「あぁ? 何だガキ俺様の邪魔すんじゃねぇよ。 大人しくどいてろよクズが」


 その言葉に反応したジャックとクインが、それぞれ武器に手を掛けようとする。

 はいはい、お二人さん怒らないのよ約束したでしょうが。 俺は二人に目で合図して静止を促す。

 ったく、お前なんかより俺は二人の方が怖いんだから、あんま怒らせるようなことすんなよな・・。

 これだから馬鹿は嫌だよ。


「それはこちらのセリフですね。 相手の実力も測れないようなクズが、俺のエレンに話しかけないで貰えますかね」


「んだとガキ、いっちょ前に男気取りか? 10年早えぇんだよすっこんでろ。 それとも俺様が痛い目を見せて教育してやろうかw」


「うわ、キモッ! 自分のこと俺様とか言っちゃってるよこの人・・。 ナルシスト気どるなら自分の面見てからにしろよおっさん。 ブサ男がイケメン気どってもキモイだけだぜ」


「あぁ! クソガキがほざくじゃねぇかよ・・・ぶっ殺す!」


 金髪野郎改め、ナルシストブサ男が腰に差していた剣を鞘から抜いて俺に突きつけてくる。


「やめなデュロス。 この子はアタイ達を助けてくれた恩人なんだ、勝手に手をだすんじゃないよ」


 ナルシストブサ男はデュロスというらしい。

 うん、鑑定で確認したけどこいつCランクだ・・・・俺の相手じゃないなこいつは。


「助けただ? つうとあれか、ベローズが言ってた高ランクのガキ共ってのはお前のことか・・・。 チッ、命拾いしたなガキ」


「だからそれはこちらのセリフだと言ってるだろうが・・。 お前らのボスに伝えとけ、もうすぐ俺たちが制裁を加えに行くってな」


 うん、エレンの村に手をだしたお前らは許すつもりないからね・・。

 それにこいつのキモさには最早救いようが・・・・・・安らかに・・。


 デュロスは剣を鞘に戻しフンと鼻を鳴らし去っていった。

 どうやら上からは俺たちに手を出すなとでも言われているようで、すぐに戦闘とはならなかった。

 そうなって来ると、折角罠を仕掛けておいたのが無駄になったしまったな・・・まぁ、どの道戦うことにはなるだろうけどね。


「坊主達大丈夫だったか?」


 門番のおじさんが話しかけてくる。


「見てたなら分かると思うけど、何もされてないから心配ないさ」


「そうか。 エレンも無事に戻ってこれたみたいだな」


「まぁね。 ガートンのおっさんも元気そうで良かったよ。 アタイがいなくなって、あいつらに文句言える奴が他にいないから心配してたんだよ」


「何、ワシ等が大人しくしてればあいつ等も大したことはして来んさ。 それより、他のやつ等からエレンが捕まったって聞いてたんだが・・・その分だと酷いことはされてないようだな」


「当たり前だろ。 それどころか、この1ヶ月アタイはこいつらに良くしてもらってたから、みんなより遥かにいい生活をしてたと思うよ。 こいつ等は帝国の連中なんかと違って、ランクで差別したりもしないからね・・・・それにほら、こうして約束を守ってアタイを村に連れてきてくれたわけだしさ」


「うむ、お前がそう言うんだ彼らは信じられる奴なんだろうな・・・。 だが、帝国の連中も黙っているわけじゃないぞ」


「分かってるさ。 あの子達が森で何があったかベローズに報告してるんだろ・・」


「あぁ、奴らからはエレンが戻ってきたら知らせるように言われている。 あいつ等もエレンからそいつ等のことを聞き出そうと思ったんだろうが、まさか本人達の方から来るとは・・」


 普通はそのまま隠れて姿なんか見せないわな。

 だが俺は断る。

 力には屈しないのだ。


「で、門番のおじさんこの村を仕切ってる帝国のお偉いさんは何処よ? 話し合いに来てんだからこっちから行ってあげないとな」


 ナルシストブサ男が黙って引いたことから、俺たちが来たことを知らせてるだろうしな・・・今更隠れる必要もないし正面から行きますか。


「正気かお前・・・相手はBランクの帝国軍人だぞ。 子供のお前がどうこうできる相手じゃないぞ・・・」


「心配すんなよおじさん。 俺がこの村を帝国から開放してやるから黙ってみてろよな。 エレン、ボスのところに案内してくれ」


「分かった」


「それとおじさん、戦闘になるだろうから村の連中を避難させておけよ」


 俺は門番のおじさんに手を振って別れ、エレンの案内で村の中を進む。

 そして、一際大きな屋敷の前でエレンが止まる。

 見るからに偉そうなやつが住んでる屋敷だ。


「はてさて、どんな馬鹿者が出てくるか楽しみだねぇ」


 俺は屋敷のドアを蹴破り中に入る。

 

「やってることが賊とかわりゃしないじゃないかこれじゃぁ・・・もっと大人しくは出来ないのかいアンタは」


「いや、こういのはノリと勢いが大切だろ?」


「はぁ・・・アタイは何でこんなのについていこうとしるんだろうねぇ・・・」


 失礼な、これでも俺は紳士的な男だぞ。

 ただちょっと、空気が読めないだけだい。


「兄さん、お見えになられたようですよ」


「それもかなりお怒りのようです」


「無理ないねぇ、話し合いに来たとかいいつつ、自分からそれを壊してたんじゃ世話ないよ」


 すいません調子にのりました。

 ホント、空気読めなくてごめんなさい。

 ジャック、クインそんなかわいそうな子を見る目で俺をみないで!

 エレンはそれ以上溜息をつくんじゃありません!


 はぁ、そうこうしているうちにやってきました4人です。

 一人はさっきの金髪ブサ男で、その隣・・・・説明がめんどいのでデブと筋肉という見た目で呼ぶよ。

 で、3人の前にいるこいつがベローズだな。

 身長は180前後で、顔にやたらと傷が多い見かけ威圧感満載のおっさんだ。

 背中に自分の身長ほどある大剣を背負い、額に青筋を立てながら俺たちのことを睨んでいる。


「よう、あんたがベローズさんでいいのか? 俺はエース、聞いてると思うがエレン達を助けたのは俺だ。 今日はそのことで話し合いに来た、大人しく俺の話を聞いてくれ」


 うん、我ながら空気を読まない物言いだ。


「何が話を聞いてくれだ小僧! 人様の屋敷に踏み入っただけでなく、その傲慢な物言い・・・貴様ただで済むと思うなよ!」


「ありゃ、何か怒っていらっしゃるようで・・」


「当たり前だろ、あれだけの事をしておいてどの口がそんな事いうんだい」


「兄さん流石にこれは・・」


「計画が台無しです。 向こうの出方を見るつもりが、こちらから仕掛けてどうするんですか・・」


「空気読まずにやった、これからも俺は空気を読まない」


「「「反省しろ(して下さい)」」」


 フッ、最早過ぎたことはどうしようもないのさ。

 元は俺が原因だけどな・・・・。


「何をつべこべと・・・・・もういい! デュロス・デップル・ムサイお前達はそっちの3人を殺れ! 俺はこのクソガキを始末する!」


「ベローズさん殺っちまっていいんですか? 捕らえて本国に連れて行くはずじゃ」


「構わん。 礼儀も知らんガキなど帝国には必要ないわ!」


「へっ、なら女は好きにしても?」


「構わん。 どうせ最後には始末するんだ、最後にいい夢でも見せてやれ」


「ヒヒっ、流石はベローズさんだぜ。 おい、俺はエレンの奴をやる。 お前らはガキのほうをやれ」


「ぶほっ、デュロスのくせに命令しないでほしいんだな。 でも、あの銀髪幼女ちゃんはかわいいんだな・・・・ブヒヒ、あの子はおい等のおもちゃにしてあげるんだな」


「ふむ、ならば俺はもう一人の小僧か・・」




「向こうも話し合いはすんだようだな」


「結局アタイまで戦うのかい・・・」


「当然だろ。 エレン、負けたらブサ男に女を奪われるぞ死ぬ気でがんばれよ」


「あんな奴に抱かれるくらいなら死んだほうがマシだねぇ・・・ったく、やればいいんだろやれば」


「クインも気をつけろよ、相手はロリコンデブだ。 体触られないようにしろよ」


「大丈夫ですよ兄さん。 私の体に触れていいのは兄さんだけですからね♡」


 うん、今一瞬クインの後ろにハートが見えたような・・・・・・ま、まぁクインなら大丈夫だろう・・・いろいろと。


「ジャック、あの3人の中ではあいつが一番強いと思うから注意しろよ」


「はい。 ですが心配いりませんよ兄さん。 僕だって、この1ヶ月でさらに強くなっているんですからね。 兄さんにさらに強くなった僕をお見せします」


 頼もしいなジャックは。

 1ヶ月前でもそれなりに強かったのに、これ以上強くなったらどうなるんだろうねぇ・・・。

 そのうちジャックが世界最強に育ちそうだ。


 兎に角、3人はそれぞれに頑張ってもらうとして俺も本気でやらないとな。


「さてさて、ベローズさんとやら今ならごめんなさいですましてあげますけど、どうしますか?」


「ふん、口の減らないガキだな。 本気で俺に勝てると思っているのか・・・ジックリと痛ぶってから殺してやるから覚悟しろ!」


「そうですか・・・残念です。 俺も大切なものを守るため、自分の道を進むために、本気でやらせて貰いますよ」


 俺は再度ベローズ睨みつけ言い放つ。


「さぁ、最強を決める時間だ」


 本気になった俺の戦いの火蓋がいま切られる。 

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