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しるこ地獄  作者: gojo
第四部 しるこ地獄
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七十一、導入の侵入

(こちら『黒猫』。白玉総一郎は裏口から町役場を出て、車で西へ向かいました)


(こちら『ペリカン』。窓口の職員は何人か休憩に行った。客は数人いる)


 無線機から声が聞こえる。僕達の計画の新たな参加者だ。



 数日前、しるこババアに新しい無線機を作って貰い、早速使用してみたところ、こるし屋の生き残り二人からの連絡を受信したのだ。

 『黒猫』も『ペリカン』も東町での親衛隊との戦いの場にはいなかった。彼らが現場に着いた時、全ては終わった後だったのだ。

 二人には現実世界の話は伏せて計画の詳細を伝え、協力して貰うことになった。


 差し当たっての計画は簡単だ。町役場からシルコロシアムの鍵を盗む。それだけだ。

 シルコロシアムに神をおびき出すにしても、現在そこは戦士達がほぼ溶かされてしまったために封鎖状態にある。

 鉄筋を大量に使用して作られた鍋型の建物。鍋に弱いしるこ力では入口を破壊しての侵入も不可能だ。何より封印する鍋に穴を開ける訳にはいかない。

 結局、鍵を管理する町役場に盗みに入ることになったのだ。



 僕と『ペリカン』が正面入口側、しるこババア、ジョニー、『黒猫』が裏口側にいる。


(こちら『ババア』。念の為、今一度占ってみたところ、鍵の場所が見えん。今朝までは確かに事務室に保管されていたのじゃが……やはり千里眼は使えんのか?)



 計画を考える段階で、しるこババアと僕はこんな会話をした。


「お主は夢で離れた所の様子を見ることがあると言うが、ここは既に夢の中なのじゃから正確には夢の視点が変わっただけじゃろ? いわば千里眼じゃ。その能力を使えば、鍵もすぐ見つかる。見張りも不要じゃ。どうじゃ?」


「お婆々様の言う通りなのですが、感覚としては、やはり夢の中の夢と言う方がしっくりします……見たいものを見たい時に見られる訳ではないですから。作戦には活用出来ないですよ」


 その後もしるこババアは千里眼にこだわっていた。決行する今日に至ってもだ。



「こちら『小太郎』。千里眼は無理ですって。話し合って決めたじゃないですか。どうしてそんなにこだわるんですか? それより今がチャンスです。やりますよ」


 今回の計画で唯一の問題は役場に寝泊りしている白玉の存在だった。

 彼はなぜかしるこ化能力を持っている。その力の度合いか判然としないのだ。ゾンビ程度ならば脅威ではないが、もし神と同等だったら僕達に勝ち目はない。いずれにしても彼と対峙するのは得策ではないので不在の時を狙って役場に侵入することにした。

 そして、今まさに不在なのだ。


(こちら『ペリカン』。決行するぞ)


 そう言って、強面の『ペリカン』が受付窓口に行き、女性職員に話し掛けた。


「あのさ、家族が名誉町民になったんで報奨金貰えんだろ。今はしるこ支給? どっちでも良いから出せよ。警察で証明書を貰えだあ? てめえ疑うのか。かみさんは神のためにゾンビに身を捧げたんだぞ! 役人が名誉町民を愚弄するとはどういうことだ! 他の奴いるか。てめえじゃ話になんねえ! おい、そこのお前! お前も来い…………」


 『ペリカン』が職員を引き付けている間に、僕は窓口の後ろの扉に忍び込んだ。



「こちら『小太郎』。侵入成功しました……」


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