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もう一つのプロローグ
……ある時、一人の老婆がしるこを作っていた。
すると、しるこの鍋の中から男の子が顕われた。老婆はその子をしるこ太郎と名付け、育てることにした。
その様子を見て、しるこの神は思った。
「おお、これはどういうことだろう。女の力を借りずにしるこから命が生まれるとは。世界は安定を失いつつある。作り直さなければならない」
そして、神は人々をしるこに戻していった。
「お婆さん、僕がしるこの神様と戦いましょう」
そう言って、しるこ太郎は旅立った。
戦いは幾日も続いた。
やがて、地上から天へ星が流れた時、しるこ太郎はしるこの神を巨大な鍋に封印した……
――――しるこ伝説より




