表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しるこ地獄  作者: gojo
第二部 しるこ祭り
40/93

三十九、祭りの始まり

 町役場の駐車場には特設会場が設けられていた。入口の垂れ幕には、『夏休みキャンペーン、しるこの神祭り』と書かれている。

 大きなテントの下に長テーブルを連ねた福引会場が設置され、その奥には野外ステージがあった。

 そのステージ中央、煌びやかな椅子には、しるこの神が座っている。


 しるこ町主催の催しとはなっているが、実際は町長、白玉総一郎が独断で決行したもののようだ。立ち並ぶ屋台は全て白玉のしるこ屋の臨時出張所であるし、何よりメインイベントの抽選会が職権乱用以外の何物でもない。白玉のしるこ屋で食事をすると一店舗毎に一スタンプが貰え、そのスタンプが三つ集まると一回福引が出来るというものなのだ。

 福引の景品は、三等しるこギフトセット、二等しるこ海岸ホテル宿泊券、そして一等、名誉町民になる権利、となっている。



 ガラガラ、ガラガラと回転抽選器の音が休みなく鳴っている。連日大盛況だ。


「おめでとうございます! 一等の名誉町民になる権利です! 銀座二丁目の木下さんが名誉町民になる権利を得ました! 皆さん、拍手をお願いします!」


 大袈裟に騒ぐ司会者の言葉を聞いて、隣にいる赤褐色が愚痴を零した。


「また、一等賞だよ。一等賞しか出ねえんじゃねえか?」


「聞いた話だと、しるこになった人の身元を確認するのが大変なので、抽選会の名を借りて管理をしているみたいですよ。あ、また即権利執行みたいですね」


「くそ。見たくねえな」


 一等を得た女が嬉しそうにステージに上がる。同時に、偉そうにふんぞり返っていたしるこの神が立ち上がる。


「おめでとー」


 軽薄な笑みを浮かべながら、神は手を差し出した。その手を握った女の形は瞬時に歪んだ。


「ああ、感激。感激が、溢れる、あふ、溢れ、る、る、るべばびぼー……」


 女の口から、鼻から、目から、黒い液体が大量に溢れ出す。

 しるこの神は嬉しそうだ。


 腕時計は十七時を示していた。しるこの神祭りの終了時刻だ。

 司会者が、「また明日」と手を振り、係員が片付けを始めた。その様子を見て、僕は無線のマイクに向かって喋った。


「こちら追跡班。しるこの神祭り終了しました。後を追います」


(了解!)


 複数の声が返ってくる。



 一仕事終えた神は一人で町役場を後にした。ゆっくりとしるこヶ丘方面へ歩いていく。僕と赤褐色は気付かれないように尾行した。


「……間もなく三丁目に入ります。予定通り『F』の道を通りそうです」


(コチラシルコ。分カリマシタ。『F5』デ待機シマース)


(こちら錆色。『G6』は任しとけ)


 神が本町三丁目に入って四つ目の十字路に達した時、僕達は姿を晒した。

 神の背後に僕と赤褐色、正面にシルコ、左側に錆色、三方向から囲まれた神は戸惑っている。


 神の正面に立つシルコがおたまを構えながらこう言った。


「サア、しるこノ神サーン、本当ノオ祭リノ始マリデース……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ