第6話 救出? いいえ、楽園型軟禁です♡
❄ベルゼリアの精神演算領域から現実へ戻った勇者。
「……なんとか生還」
そう思った瞬間。
ふわり。
白い羽が舞う。
光に包まれ、勇者は別空間へ転移。
目を開けると
青空。
花畑。
柔らかな風。天使の歌声。
「ここは……天国?」
背後から優しい声。
次女:ルミエラ・スパイシア
天使顔。常時微笑み。
完璧な癒しオーラ。
「勇者様、怖いお姉様から救ってあげました♡」
勇者、感動しかける。
「ルミエラ……お前だけは、まともだっ」
足元、カチリ。
光の鎖が優しく巻きつく。
勇者「ん?」
ルミエラ、にこり。
「安心してください♡ ここ、完全隔離空間です」
勇者「軟禁じゃねぇか!!」
上空は天界の青。
足元の花畑はふかふか。
だが遠くには、赤黒い地平線。
空の一部がひび割れ、そこから炎。
天国と地獄が同時存在。
ルミエラ、微笑みのまま。
「勇者様がすぐ逃げるから、外界を消しました♡」
勇者「規模がでかい!!」
〜実況席(強制転送)〜
悪魔の杖
「うわぁ……これは怖い」
悪魔の剣
「笑顔で空間改変してる」
悪魔の槍
「長女よりヤバい」
悪魔の斧
「天国?地獄?」
聖剣、低く。
『……本物の策士だ』
ルミエラ、勇者の前にしゃがむ。
「勇者様は優しいから、追い詰められると可哀想でしょ?」
天使のような瞳。
その背後で地獄の炎が噴き上がる。
「だから、選択肢を減らしました♡」
勇者「それ一番怖い理論!!」
「私といるか、私といるか、私といるか、
もしくは、
私といるか♡私といるか♡私といるか♡」
勇者「三択が同じ!!」
天界の光が勇者を包む。
同時に、足元から黒い影が絡む。
幸福感と恐怖が同時に脳を刺激。
勇者「感情バグる!!」
ルミエラ、頬に手を当てる。
「天国だけだと退屈でしょう?少しだけスパイスを♡」
空の半分が崩れ、雷鳴。
地面から炎柱。
花畑はそのまま。
視覚が混乱。
実況席、ドン引き
悪魔の杖
「これが極高危険度……」
悪魔の剣
「優しい声で支配してる!!」
悪魔の槍
「戦争起こせる女の意味理解」
悪魔の斧
「笑ってるのに怖い」
聖剣
『……愛の形を誤るとこうなる』
ルミエラ、そっと勇者の頬に触れる。
「勇者様が他の姉妹と笑うの、嫌なんです」
にこり。
空が真っ赤に染まる。
「だから、ここで私と幸せになりましょう♡」
勇者「怖い怖い怖い!!」
「ここは天界です♡」
足元、マグマ。
勇者「どこが!?」
聖剣、強く光る。
『主よ、正気を保て。
甘美と恐怖の同時刺激は依存を生む』
実況席ざわめく。
悪魔の杖
「聖剣、冷静分析!」
悪魔の剣
「これ洗脳一歩手前!」
悪魔の槍
「腹黒確定」
悪魔の斧
「腹黒の次女こわい」
ルミエラ、目を細める。
「……聖剣、邪魔ですね?」
一瞬。
天界の光が刃を締め付ける。
地獄の鎖が巻きつく。
聖剣、軋む。
聖剣
『……それでも言う』
強く、静かに。
『恋は閉じ込めるものではない』
ルミエラ、微笑みがほんの一瞬だけ消える。
空が揺らぐ。
天界と地獄の境界が不安定に。
勇者、叫ぶ。
「俺は選ぶ!!閉じ込められてじゃなく!!」
その瞬間。
空間にヒビ。
天国と地獄が衝突。
白と黒が爆ぜる。
ルミエラの微笑みが、わずかに寂しげになる。
「……ずるいですね、勇者様」
光が収束。
空間が崩壊。
実況席、総括。
悪魔の杖
「救出と見せかけた完全支配!!」
悪魔の剣
「次女、最恐説!」
悪魔の槍
「天界型監禁」
悪魔の斧
「やっぱ地獄だった」
聖剣、静かに。
『優しさの仮面ほど、鋭い刃はない』
悪魔の武器一同
「名言また出た!!!!」
崩れゆく白黒空間の中。
ルミエラ、最後に微笑む。
「次は、逃がしませんよ♡」
危険度:極高。
恋愛戦争、さらに深層へ。




