これだけ
これは一応ファンタジーという枠であるのだが去年、また10年ほど前にもちょっとしたニュースとして報じられたフォークリフト資格を一度与えた後に不正が発覚し(いずれも学科試験に合格していないのもかかわらず合格にしたというものであったが)、補習や再受験などをすることになったというのを知ったので私も一つ……。フォークリフトの技能講習というものは、講習は全国どこでも既定のカリキュラムが統一されている。
修了済みの特別教育の実務経験の有無などにより所要時間は異なる。原則は35時間なのだが、これは保有資格によって免除されるものがあり、たとえば大型特殊免許を所持している場合には、大型特殊自動車免許(二種を含む、カタピラを有する自動車のみを運転することを免許の条件とするものを除く)を有する場合は、学科の走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識(4時間)及び実技である走行の操作(20時間)が免除となり、11時間となる。また大型自動車免許、中型自動車免許、準中型自動車免許、普通自動車免許(いずれも二種を含む)又は大型特殊自動車免許(カタピラを有する自動車のみを運転することを免許の条件とするものに限る)を有し、3か月以上フォークリフトの運転の業務に従事した経験を有する者も同じく11時間だ。そして自分もなのだが普通免許等を所持している場合には大型自動車免許、中型自動車免許、準中型自動車免許、普通自動車免許(いずれも二種を含む)又は大型特殊自動車免許(カタピラを有する自動車のみを運転することを免許の条件とするものに限る)を有する場合は、学科である走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識(4時間)のみが免除となり、31時間となるらしい。最後にこれは関係ないのだが6か月以上フォークリフトの運転の業務に従事した経験を有する場合は、実技である走行の操作(20時間)、15時間だそうだ。私というか私の住む国のほとんどが上に書いたように学科4時間免除のみの31時間コースを受けることになり実際そこの教習所でもそのコースのみが開校されていたのだった……。
そして学科・実技とも、既定の受講時間が終わり次第修了試験が課されるのである。そう、それは既定の教習時間とは別にである……あれはもう10年ほど前になるのだが私がそれを受けたときのことである。その教習所ではまず学科を丸一日かけて、たしか朝の8時頃から昼休憩をはさんで夕方の5時前後あたりまで座学を受けた後に少し準備をしてからテストを受けた。試験時間は40分だったか1時間だったか正確には覚えていない。あまりに簡単すぎたため見直しを2~3回やっても5分もかからないほどだったからである。まあそれは特にどうということはなかったのだが問題は次からの実技であった。そこではほかの多くの教習所と違い、実技の日程を規定期間内であれば自分で自由に教習時間を選ぶことができる珍しいシステムを採用していた。とはいっても車の教習のように1時間ずつ選べるわけではないのだが、一日に朝から昼過ぎまでのクラスと夕方から夜までのクラスが二つ設けられていた。ちなみに通常の教習所のカリキュラムでは学科を一日目に終了させた後、二日目から四日目で規定の実技24時間をそのまま3で割った8時間ずつ朝から夕方あたりまで行い、三日目の規定時間が終了後、実技試験を行い合格者に(と言ってもほぼ全員が一発で合格するのが当たり前なのだが)修了証をパパッと渡して終わり! というのが通例なのである。だが……。
ここでは朝クラスと夜クラスが各6時間ずつ取られているため、一日に1クラスずつ受ければ実技の合計終了期間は4日(これが最長期間コースとなる)、一日に二クラスずつ受けるのを二日分やれば最短2日で実技を終わらせることができるというのを売りにしていたのだった。そして私もたしか三日間だか四日間のクラスだったかのどっちかを受講して修了証を手にしたのを覚えている。その修了証をもらう際に教官に言われたことは今でも忘れられない。
「これで全日程全時間終了しました。テストにも合格されたため修了証をお渡しします。ですが……」
……よくよく考えて見ればこれを言うのはおかしいと思った……なにせ今日の受講予定時間は6時間、まだその6時間は完全には過ぎていない……つまり6時間のうちに試験も終わったということで修了証を配り始めていたからである。
「あの最後に皆さんが乗られてテストさながらの模擬試験を行ってもらったときのことなんですが実はあれが本試験を兼ねていたのです」
な、なぁあああにぃいいいいいいいいいどういうことだああああああああああああああああああ!?
「本当はアレなのですが……この教習所は車通学が禁止されていることはご存じですよね、皆さん普通免許取得者
コースを受講されているのになんですが、まあ駐車場がないので控えてもらった下ります。もちろん自転車やバイクとか徒歩で来てもらう分には問題ないのですけど、ただここはコースが選べることだけではなく受講料もリーズナブルなためか電車で遠くからお越しいただいている方も多数おられまして……」
確かに最寄りの地下鉄の駅から数分で通える上に受講料は相場の1割から2割くらい安かった……。
「昼間に終わるクラスで終了するのなら関係ないんですけど、夜クラスが終わるのは夜の本当に遅い時間になる
んですよね、そしてそのあとに試験を行うとなると……」
教官が言った通り夜のクラスが終わるのは10時すぎ、そしてフォークリフトは1台につき10人まで教習を行えるというのが決まっている。試験には時間制限があるもののせいぜい一人10分、乗り換わる時間や最後の手続きなどを考えると試験が終わり帰れるようになるまで最大でそこから2時間くらいかかる……ということは……。
「もう日付が変わるくらいの時間となると終電に間に合わない方も出てこられるんですよ、さすがにそれは忍びないというか、ということでそれなら昼に終わるクラスでもおなじようにしないと不公平なので……まあそういうことだからできるだけこの話は内密に。もしこのお話を公表したらあなた方の修了証は無効になるだけではなく我々は不正に技能講習の修了証を渡していたということで受講許可を取り上げられるでしょうね。」
教官は冗談半分に言っていたように思えたが実際この話が本当だとしたら私が地元の労働局に密告すればかなりまずいことになるのではないのだろうか?
幸い自分はその後一度もフォークリフトに乗務することなく生きているわけでこれを失ったところでたいした問題ではないのだが会社に取りに行かされたり、この後実際使用する職について今もバンバン実務で乗っている人たちがこれを取り消されるようなことがあったら……そしてその人たちにこの教習機関が訴えられたら……と考えると恐ろしい話ではないかと思う。まあほかにも似たようなことをやっているところもあるのだろうけれど……。




