第4話
雨は、まだ止んでいなかった。
配信を終えたあと、
私はヘッドホンを外してキーボードの横に置き、
しばらくそのまま座り込んでいた。
窓ガラスを叩く雨音が、
まるで落ち着こうとしない心臓の鼓動みたいに響いている。
「お菓子、切れてる……」
小さく呟いて、
レインコートを掴み、
少し離れたコンビニへ向かった。
白いネオンが、
雨に濡れた道路とくっきり対比を描く。
自動ドアが「ピン」と音を立てて開いた――
その瞬間。
私は、彼を見た。
梶くん。
飲み物コーナーの前に立ち、
片手にペットボトル、
もう片方の手はポケットに入れたまま、
いつも通りの静かな佇まい。
少し濡れた髪が額に張り付き、
眼鏡のフレームには、
店内灯の光が細い線となって反射している。
心臓が、
予告なしに跳ねた。
『……なんで、今ここで会うの……』
私は慌てて隣の棚へ身を隠し、
お菓子を手に取るふりをしながら、
視線だけをこっそり彼に向ける。
梶くんは少し動き、
別の飲み物に手を伸ばして――
そして止まった。
私の位置から見ると、
まるで二つの選択肢の間で、
真剣に悩んでいるように見える。
……たかが飲み物なのに。
なのに、どうしてこんなに意味深に見えるんだろう。
『いやいや、考えすぎだって、アカネ』
――そのとき。
小さな男の子が店内を走り抜け、
雨で濡れた床に足を滑らせ、
転びそうになった。
私は思わず声を上げかけた。
でも――その前に。
梶くんが、動いた。
たった一歩。
完璧なタイミングで身を屈め、
伸ばした手が、
宙で男の子の腕を正確に掴む。
まるで、
その瞬間を知っていたかのように。
男の子は転ばず、泣きもせず、
驚いた顔で梶くんを見上げる。
「気をつけろよ、坊主」
その声は、とても静かで、
自由に吹き抜ける風みたいだった。
男の子は大きく頷き、
母親のもとへ駆け戻っていく。
すべては一瞬。
あまりにも自然で、
まるで――
そんな出来事が最初から“予定されていた”かのように。
私は、お菓子棚の影から、
その一部始終を見ていた。
梶くんは、
何事もなかったかのように元の位置に戻り、
最初に手に取っていたボトルを掴み、
レジへ向かう。
私は大きなお菓子袋で顔を半分隠しながら、
深呼吸してから、
同じレジに並んだ。
レジの音が鳴る。
梶くんは、
店員さんがボトルを袋に入れようとするのを見て、
何か言いかけるように手を伸ばした。
でも次の瞬間、
彼はそのボトルを受け取り、
くるりと振り返る。
――ちょうど、
私と目が合った。
ほんの一瞬。
それなのに、
彼は小さく頷いた。
まるで、
何かを知っているみたいに。
……でも私にとっては、
その瞬間、
世界が止まったみたいだった。
「雨、ひどいな。
帰り、気をつけろよ」
低く、静かな声。
そう言い残して、
彼は自動ドアの向こうへ歩いていく。
「ディン」という音とともに、
ドアが閉まる。
私はその場に立ち尽くし、
雨のカーテンの向こうへ消えていく背中を、
ただ見つめていた。
『……梶くん』
ねえ、知ってる?
あなたが、
何事もなかったみたいな顔で、
そんなことするから――
それが、
とんでもなくカッコよすぎるんだよ。
ぼんやりと考え込んでいると、
店員さんの声が、私を現実に引き戻した。
「ほかに何かございますか?」
「……あ、はいっ!?」
こんに!。
もし直すところがあれば、遠慮なく直してください。それでも、これからも書き続けようと思います。正直なところ、今の主人公はもっとかっこよくしたいんですが、どうやって理想の展開につなげればいいのか、まだ手探りの状態です。それでも、自分の中にある構想を物語として結びつける方法を、少しずつ考えています。
今はまだ「自分自身が戦うべきテーマ」みたいなものを探している途中で、どうすれば物語としても、キャラクターとしてもかっこよくなるのか悩んでいます。この作品はファンタジーで異世界ものなので、その世界観とも自然に噛み合う形にしたいんですが……なかなか難しいですね。
それでも、読んでくれて本当にありがとうございます。
何かアドバイスがあれば、ぜひ教えてください。僕もまだまだ未熟なので。




