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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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ここは、どこ?

ついにテレーザと瑛子が出会います。

一人立ちつくす人影。

それは若い女性、まだ少女のようだ。


長い髪、そして足首まで隠れるような長いスカートにガウンを着ている。

このあたりでは見かけない恰好だ。

しかし周囲に人の姿はなく、彼女は誰にも気づかれずポツンと一人で立っていた。

西の空が赤く染まり始めており、そろそろ日が暮れてしまう。


その西の空を見つめている少女。

すぐに暗くなることを察していた。

しかも、頬にポツリと何かが当たった、雨粒だ。


真上の空に雲が広がり急に雨が降り出した。

夕立というやつだ。


「このままじゃ濡れてしまう」

そうつぶやく少女。


その場からはなれる少女。

小走りでどこか雨がしのげる場所を探す。

やっと見つけたのは、民家の軒先だった。


「これは、家よね、こんなの初めて見たわ」

と少女。


トタン屋根で木造の古びた家、その軒下で雨を避ける少女。

気温が下がって来たのか肌寒い。


両手を組み、少しでも暖かくなるようにさすってみた。

服が雨に濡れて重たくなってきた。

それでも、ここにいればこれ以上濡れることはない、あと少しすれば雨はやむだろう。

夕方のスコールのような雨、夏場によくあった。

自分の故郷でも。


そう思った時、少女の顔が暗く沈んだ。

とても懐かしい気分、心がギュッとするようだ。

でも自分は、何故一人でここにいるんだろう。

ふと故郷と思ったけれど、私は何処から来たんだろう、

そしてここは、どこ?


少女は自分の身の起きたことを思い返していた。

自分は、そう、私は。

それ以上、何も思い出せない。

何かすごく重大なことが起きた気がする、でもそれはなんだったのか。

何も覚えていなかった。


「ねえ、あなた、こんなところでどうしたの?」

急に声をかけられた少女。

ふと我に返り、雨に濡れただ茫然としている自分に気付いた。


「濡れているじゃない、あなた、おうちはどこなの?」

と続けて声をかけてくる。


見ると、目の前に一人の女性が立っていた。

野暮ったい恰好のしている、初めて見るようなタイプだな、と少女は思った。


「こんなひと、いるんだ」

ハッキリとしない記憶だが、こんな風貌の女性を見たことがない、

それは思い出すことが出来た。


女性は少女の顔をみると、ハッとした表情をした。

何かに気付いた。

しかし、少女に問い詰めるようなことはせず、


「行く所がないの?それならうちに来る?」

と優しく言った。


その言葉にうなずき、女性とともに歩く少女。

しばらくすると、一軒の家に着いた。


その家には隣にもう一棟の建物がある。

他の民家と比べると、歴史があるように見えた。


「さ、どうぞ」

と女性が少女を家に上げる。


「すぐにお風呂がわくからね、そしたら入って」

と女性。


ダイニングテーブルの椅子に座り、周囲を見渡す少女。

物珍しそうに眺めている。


「あなた、名前は?」

と女性が聞く。


少女は少し戸惑う様子をみせたが、はっきりとした声で。


「私は、テレーザといいます」

と答えた。

名前、そう私の名前、テレーザだ。


「そう、私は瑛子、都留田瑛子。よろしくね」

と女性も名乗った。


やはりこの子はあのテレーザ王女だ。

瑛子は思った。


先日のWEBニュースで美の国、テレーザ王女が体調不良のため無期限の療養に入ったと流れていた。

その王女が目の前にいる。


ついこの前、「姫君格付けランキング」に参加していた王女。

瑛子の心に残ったその姿、風格。

間違いなく、本物の王女テレーザだ。


しかし、彼女は自分を

「美の国のテレーザ王女」とは言わなかった。

王女なら、王女であることを自覚しているなら、そう名乗るはずだ。

隠す必要でもあるのだろうか。


風呂の用意ができる間、温かいお茶とお菓子を出した。

お腹がすいていたのか、テレーザは出されたお菓子をむさぼるように食べていた。

だが、そのしぐさはどこか優雅で美しい。

両手でビスケットをつかみ一心不乱に口に運ぶ姿は一見あさましいようにも見えるが、白く長い指、薄いピンク色の唇、透けるような肌、上品な顔立ち、それだけでもただの庶民ではないことが一目瞭然だ。

本物の王女だ。


遠回しになぜここにいるのかを訪ねる瑛子。

しかしテレーザの答えは、


「わからない」

とそれだけだ。


何かあったのか、そう察した瑛子はそれ以上は聞かず静かにテレーザを見つめていた。

しばらくの沈黙の後、テレーザが瑛子に言った、


「あの、ここはどこなのでしょうか」

と。

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