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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国」夫婦げんか

家族が揃い始めてきた

「お父様~、お母様~もうふうふげんかは終わったの?」

と大きな声を上げたジャン・ルドルフ王子。


そろそろ父母のいる部屋へ、とその扉の外で様子を伺っていたユリアナ・マーガレットは

思わず、顔をこわばらせてルドルフを見た。


「何を言ってるのよ」

と思わず声を出すユリアナ、思わず険しい表情になっている。


ルドルフはというと、ユリアナの顔をみて驚いているようだ。

自分の言ったことが、そんなに怒らせるだなんて想像もしていなかったからだ。


するとほどなく、部屋の中から笑い声がした。

同時に扉が開けられた。

そこには王と王妃が立っており、扉は王自らが開けてくれたのだ。


「まあ、ルドルフちゃん、夫婦喧嘩だなんて、どこで覚えたの?そんな言葉」

と王妃がルドルフ王子を抱きしめるように言う。


「ルドルフ、父上は母上と喧嘩をしていたわけではない。

大切なお話があっただけだ」

と国王も言う。


「でもね、ふうふげんかって、仲がいいから喧嘩するんでしょ?」

とルドルフ。


「なんだっけ、いぬもくわない?」

ルドルフが首をかしげながらい言う。

その姿があまりに愛らしく、王と王妃そしてユリアナは思わず笑い声をあげた。


「ユリアナね、ルドルフちゃんに変な言葉を教えたのは」

と王妃が言う。


「違うわ、私じゃ」

そう言いかけたユリアナ。

それを遮ったのはルドルフだ。


「ちがうよ、お姉さまじゃないよ。母上じゃない、教えてくれたのは」

とルドルフ。

そう言われた母、王妃は思わず手を頬に当て顔を赤らめていた。


「ルドルフちゃん、何を言うのよ」

と小さく呟きながら。


この王と王妃、国民の前では腕を組み、お互いを慈しむしぐさをみせるなど、表向きは仲睦まじい夫婦だ。

しかし実際には。

いとも、とげとげしい雰囲気で、形式ばっていてどこかよそよそしい。

「家族」だけの時には、言い争うこともある。

王妃が一方的に王に厳しい言葉を浴びせることも多い。


そんな様子を見ていた王女と王子。

少なくとも4人の王女は見て見ぬふりを貫いた。


しかし、素直な王子は率直に母に疑問をぶつけていたようだ。

王女たちに比べ、母と二人の時間が多いジャン・ルドルフ王子。

「末っ子とは出来るだけ一緒に過ごしたい。」

王妃がそう願ったためだ。


ある時、いつものように王妃の居間で午後のひと時を共にしていた王妃と末息子、ジャン・ルドルフ王子。

ふとルドルフが言った。

「ねえ、母上、なんで父上とそんなに怖いお顔でお話をするの?」

と。


その日の朝食の席でも、王と王妃は言い争いをしていた。

母の厳しい言葉が食卓でこだまし、父はなんとか言い逃れをしている。

そんな様子を、姉たちは聞こえていないかのように知らん顔をしながら、もくもくと食事をしていた。


まあ、テレーザだけは、窓の外に広がる青空と遠くに見えているベルデの森を夢中になって眺めており、

両親の言い争いなど全く耳に入っていない様子だったのだが。


母と二人きりになると、さっそく聞いてみたルドルフ王子。

あれが、「けんか」なのだと言うことはなんとなくわかっていた。

でも、けんかはしてはいけない、いつもそう言われている王子にとって。

父と母がけんかをしているだなんて、認める訳にはいなない事だ。


「母上、あれはけんかなんでしょう?」

と思い切ってきくルドルフ。


その問いに、


「そうよ、お父様とはね、けんかをしていたの」

と答える母。


なんで、けんかを。

あっさりと認めた母を、いぶかし気に見つめるルドルフ。


「それはね、仲が良いからよ」

と母。


「お父様とは仲がいいの。だからなんでも話ができるのよ。楽しそうじゃなく見えるかもしれないけど、

本当の気持ちを話しているからそう見えるだけよ」

と母が言う。

ルドルフにはその意味が分かるような、分からないような。


「だからね、ルドルフ、夫婦喧嘩は犬も食わぬって言うの。

犬もそっぽを向いて相手にしないくらいなことなのよ」

と母が笑いながら言った。


「そっか、だから、お食事中、ジャスミンは床に寝転んだままだったんだね」

とルドルフ。

王一家の愛犬、宮廷犬のジャスミンが、一家の食事の際はいつも床に付している。

むやみに歩き回らないように、躾けられているだけなのだが、ルドルフにとってはまるで、母の言葉を証明する姿にしか思えなかった。


「あなたにはまだ少し難しいわね」

と頭を撫でながら母が言う。

どうやら、母はルドルフ王子の前では意外な本音を漏らしているようだ。

それは、王妃でも、母でもなくジャン・グレゴリーの妻の顔だった。


少しだけ、頬を赤らめた母、がしかしすぐにその顔はいつものように、凛としたものになっていた。

母の顔、ぼくと二人だけの時とは違うんだ。

とルドルフはその時はっきりとそう理解した。


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