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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「満月の下で」もう一つの再会

王族も集結

「お久しぶりね。あなたの事を思い出したわ。今更だけど」

ベルデの森の神殿にやってきたテレーザが、待ち構えていたバレルに言った。


倭の国、ロベル・リゾートでの家族旅行。

その最後のクルーズ船での遊覧中に、いきなり自分を「美の国の王女」として迎えに来たこの男。

ずっと王宮の誰かだと思っていた。その姿に見覚えはなかったのだ。


しかし、美の国に戻りだんだんと心を落ち着かせるにしたがって、古い記憶がよみがえって来た。

小さな頃、会ったことがある。

食糧倉庫を管理していた、澄んだ目をした青年バレルと。


そのだ瞳は今の彼に見ることは出来なかった。

鈍い光を放ってがいるが、どこか濁った彼の目。

あのころとはずいぶん変わってしまったようだ。


「あなたは、私を王位に就けたいの?本当に今更だけど」

とテレーザ。


「もちろんでございます。王女こそこの国の君主になるべくお方、美の国を治めるにふさわしいお心の持ち主ですから」

とバレルはうやうやしく言う。


この期に及んで自分が、父からの王位の承継を拒むとは思っていないだろう。

しかし、目の前のこの男はどこまで自分を君主として認めているのだろうか。


テレーザはバレルが自分と父の思惑に、気付いていないと確信していた。

バレルから見れば、いまだにテレーザは王と王妃から疎んじられている「ついでの王女」だ。

それでも、「王家の魂」をもつ唯一の後継者。

このままテレーザを君主とし、傀儡として美の国の王とする。

王サイドはそう考えているだろう。

それがバレルたち、「反体制派」の考えだ。


「しかし、彼女を操るのは我々だ」

とバレル。


あの時とはまるで別人ね。

とテレーザは思った。

バレルの心にある、とても嫌な気配をずっと感じている。


「もう、あの頃に戻ることはない、そう言うことね」

とテレーザが心で言った。


その頃、クリステルパレス、王の部屋


「お呼びと思えば」

と、いかにも不満げに言うのは、エリアルド王妃だ。


王の部屋に、王妃と第三王女、ユリアナ・マーガレットそしてジャン・ルドルフ王子がいる。

しばらく、中立エリアに避難していたのだが王によりここ王宮にお呼び戻されたのだ。

王に状況を聞かされた王妃、全く想定外の事態に事が進行していることに、表情が険しくなるばかりだ。


「お母様、どうしたの?」

とそんな王妃をみたジャン・ルドルフ王子が言う。


「なんでもないのよ、ルドルフちゃん」

王子の言葉に慌てて笑顔で応える王妃。


「そうか、なんだかお母様、怒っているみたいだよ。僕、なんで自分のお部屋に行けないの?」

とルドルフ。

王宮に戻ったものの、この部屋から出ることは許されてはいない。

それが不思議でたまらないルドルフ王子。


「ルドルフ、我がまま言わないの」

と声をかける第三王女、ユリアナ。


そう言うと、ユリアナはルドルフを別室へと誘った。

ここは、王の部屋。

と言ってもいわゆる王の私室ではない。

幾つもある部屋の一つだ。その部屋には居間、客間とたくさんの小部屋がある。


居間に集まっていた王と王妃、そして王女と王子。

母、王妃が父である王に何か言いたげなのを察したユリアナが、弟と共に別室に行ったのだ。

これで父と母、二人きりで思い切り本音が言えるはずだ。


「あなた」

と王妃。

部屋には王と自分だけ。

言いたいことは山のようにある。

それを何も言わないまま、儀式の望む事など出来るはずがない。


「わたくしの言いたいことはお分かりですよね」

と王に詰め寄るエリアルド王妃。


「なぜ、テレーザなのですか?わたくしは理解に苦しみます」

と不満をぶちまけるように言う。


王は「王家の魂」をなくしてしまった第一王女フィオナ・クリスティーネの代りに、

第四王女、テレーザに王位を譲る。

とだけ伝えているのだ。


ここ、クリステルパレスの王の部屋にはダイナ夫妻の魔法の力がほぼ及ばない。

本当の事を言えば、マルクたち反体制派に筒抜けになる。


それに、この王妃にはできれば真相は話したくはない。

その方が、この計画が上手く進むと判断したのだ。


「テレーザを君主に据えるだなんて。それに、ホイ王子との婚儀も予定通りで、なぜこんなことに」

と王妃。


「それがおぼしめした」

と歯切れの悪い返答をする王。

それに王妃が納得するわけがない。


「そもそも、王家の魂を選別したとき、何故テレーザには残したのですか?」

と王妃が言う。


「ルドルフに持たせてやりたかった」

と王妃が言う。

王妃は唯一の息子であるジャン・ルドルフ王子を特別に溺愛している。


「ルドルフに与えなかったのは、ルドルフに王家の魂があればそなた暴走しそうだったからだ。

ルドルフを次期国王にと。それは意に反することだ」

と王が言う。


「テレーザはあくまでも予備だった。あの追放劇がなくてもテレーザは国外に出ることが決まっていたから、いざという時に一番安全に王家の魂を隠しておけるのだ。フィオナに権利がない今テレーザがいただけでもありがたいと思わねば。これで美の国の君主を我ら一族に引き継ぐことができるのだ。

事が落ち着けば、またテレーザから王位を奪えばいいだけだ」

と、続ける国王。


いつものようにテレーザをぞんざいに扱おうとする国王。

いつも王妃はテレーザを虐げるような事をすることを好んだ。

こう言っておけば、王妃は納得するだろう。


王はそう考えたのだ。

あと少し、儀式が終わるまで。


しかし、当の王妃は

「テレーザを道具のように使うなんて」

とポツリと言った。

それは今までテレーザに関しては見せたことがない「母の顔」だった。

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