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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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満月の夜

儀式の時間が近付きました

美の国、王宮クリステルパレス、その地下5階。

誰も知らない地下空間にある部屋は、暗くかび臭い中で異彩を放つ。

想像も付かない優美な内装と豪華な調度品が美しい、「王女の部屋」だ。


そこにただ一人でいる、フィオナ・クリスティーネ王女。

その姿は何処までも美しい。


「あなたたちも支度をしないとね」

とフィオナを連れ出すべく、地下に潜入した葵たちに言う。


「支度、ですか?」

と尊。

葵と駆も顔を見合わせる。


「あなたたちも同席なさるんでしょう?」

とフィオナが言う。


同席、儀式の場に立ち会うということだ。

そのためにはある程度、正装している必要がある。


「私たちは、あの場にいなくても」

と葵。

葵たちは、儀式に場に出るとは思ってはおらずどこかで待っているか、遠くから見守っている、

そう考えていたのだ。


「だよな、まあ部外者だし」

そう言うのは駆。


「そもそも、我々の参加なんて阻止されるんじゃ」

と尊も言う。


「儀式では何が起こるかわからない。テレーザお側にいた方がいいわ」

葵たちの言い分を聞いたフィオナが言った。

そして、今の奥をちらりと見るとそこから人影が近付いた。


―この人はー


「あなたは」

と葵が声を上げた。


「レイアさん?」

と尊。


間の前に現れてたのは、テレーザの第一次侍女のレイアだった。

葵たちが美の国へ来てすぐ、城に侵入しやすいようにと侍女と従者の制服を貸してくれたレイアだ。


「あら、またお会いしましたね。さあ、こちらへ」

とレイアが葵を部屋の奥へと呼び寄せた。


あっという間に連れていかれた葵。

尊と駆はその後姿を呆然と見つめるだけだ。


「彼女の後はあなた方よ」

とフィオナが笑顔で言う。


「なぜ、テレーザの侍女がここに?」

茶目っ気を含ませながら笑うフィオナに尊が言った。


「自分の侍女はどうした?」

と駆。


「あのレイアはテレーザが生まれた時から世話をしている侍女よ。

テレーザの一大事、側にいないなんてあり得ないでしょう?」

とフィオナは言う。


「あんただって一大事だ」

と駆が思わず言った。


「私の第一侍女は、あのレイアほど私に忠誠を尽くしてはくれないわ」

とフィオナ。


「私にはね、テレーザの5倍の人数の侍女たちがいるわ。それでも私に心から尽くしてくれる侍女はいない。私の侍女の希望者は多いわよ。美の国、第一王女の侍女、その肩書が欲しいのね、でもそれだけ。

私はね、テレーザがうらやましいの」

と言うフィオナ・クリスティーネ王女。


「テレーザの侍女になると、みんな辞退するって。

あいつそう言ってたぜ」

と駆が言う。


「そうね、確かに。辞退者も多いわよ。

でもそんななかでもテレーザの元に残る侍女たち。

みんなテレーザの為ならなんでやるわ」

フィオナは少しうつむきながら言った。


「うらやましい?」

と駆。


「あんたにも、あんたを崇拝している侍女がいるじゃないか」

と続ける。

あのルナ・ルイーズが脳裏をよぎる駆。


「あんたにあこがれて、あんたに尽くしたい、そんな侍女はたくさんいる。

あんたがそれに気付いていないだけだ」

そう言い切る駆に、フィオナは少し考え込む。


「そうね、これからは気を付けるわ」

とフィオナ。


「だからさ、気を付けるとかじゃなくて、なんというかもっと心を開けばいいんじゃいの?」

と駆が言う。


「そう。頑張ってみるわ」


「あんたなら、出来ると思うよ。テレーザの姉ちゃんだもんな」


そんな駆とフィオナの会話を聞きながら内心ハラハラしている尊。

目の前にいるのは、美の国、第一王女だ。

テレーザとはわけが違う。


そんな王女にこんなに馴れ馴れしく。

駆のやつ。


「あら、そちらのお兄様、ご心配は無用よ。

彼の態度を咎めたりはしないわ」

とフィオナが尊に向かって言った。


「だから、そんなに不服そうなお顔はなさらないで」

と。


「兄い、フィオナの言う通りだ。もっと穏やかに」

と駆。


「おい、王女だぞ。まったく、ご無礼を」

と尊が慌てた様子で言った。


「あら、何かあったの?」

そこに戻って来た葵が言った。


なんだか、この場の空気が白熱している。

尊は少し顔を紅潮させているし、フィオナ・クリスティーネ王女は声を上げて笑っている。


「さあ、次はそこの殿方、こちらへ」

とレイアに言われて、尊と駆が部屋の奥へと消えて行った。


「テレーザはあなた方と一緒に過ごすことが出来て、なんて幸せなんでしょう」

二人を見送りながらフィオナが言った。


「テレーザを倭の国へ飛ばしたのは、計画的だったんですか?」

と葵が聞いた。

以前から疑問に思っていたのだ。


「どうかしら」

とフィオナ・クリスティーネ王女。


倭の国であれば、テレーザがごく普通の女の子として生活することが可能だ。

フィオナ・クリスティーネ王女はそれを見越していた。

葵はフィオナの笑顔を見ながらそう確信していた。

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