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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国」さあ、どうする?

美の国に集合

「あらら、行っちゃった」


「まるで、連行だな」


孝太郎と瑛子がそれぞれポツリとつぶやいた。


森から城へ入る入り口、普段はフリーパス。

自由に往来できるこの場所に、衛兵が待ち構えていた。


様子を見る、そのつもりで衛兵に近づいたマルグリッタ。

そのまま、衛兵に伴われて城内へと消えて行った。


美の国、ベルデの森に取り残された二人。


ここはもう出口に近いとはいえ、森の中であることは確かだ。

いつ魔獣が襲いかかってくるかわからない。

思わず顔を見合わせ


「この先、どうする?」

とため息交じりに声を上げた。

孝太郎と瑛子の2人では、このまま城内に入れたとしても、数歩進んだところで衛兵か侍従たちに呼び止められることだろう。


「我が、おろう」

と地面すれすれから声がした。


チョビだ。

シッポをゆっくりと振りながら、孝太郎たちの周囲を歩き回り、


「我、チョビがこういうときには頼りになるのだ」

と首を持ち上げて言う。

その態度はなんだか「エラそう」だ。


「何を威張っている?」

と孝太郎。


「ホントは怖いんじゃないの?あんただって」

そう瑛子に言われると、チョビは思わず瑛子の腕に飛びついた。


「そんなことはない、そんなことはない」

そう言いながら、瑛子の腕の中に納まるチョビ。

身体が震えている。


「お前にとっても想定外か」

その姿を見た孝太郎が言った。


「仕方ない、隠れ家へ行こう」

チョビはそう言うと、森の中のダイナ夫妻の元へ行くことを決めた。


「マルグリッタに案内してもらって、先にテレーザと葵たちに会えるようにと思ったんだけど、

へたにマルグリッタを追いかけて、彼女が何か疑われたら困るでしょ。

あの子は今回の計画には無関係だしね」

と瑛子の腕から降りて、森を歩きながらチョビが言う。


「そうね、でも全てが済んだら、オオヤマさんの事を話してあげたいわね」

と瑛子が言う。


どうやら、マルグリッタはオオヤマ マイ という鳳凰館元門下生のオオヤマの娘のようだ。

オオヤマ自身、以前妻が幼い娘を連れて自分の元を去って行った、と話していた。


「あの子次第だな」

と孝太郎は慎重に言う。


「そうね」

と瑛子。

瑛子は、マルグリッタにゆっくりと事情を話し、彼女の意向を聞けたらそれに従う、そう考えた。


チョビが恐る恐る森の小道を進んでいく。

その後を歩く孝太郎と瑛子。


周りからは、何やら気配が。

怪しい唸り声、鳥の鳴き声が聞こえている。


「だ、だ、大丈夫だ。ここの魔獣たちはみなテレーザのしもべも同然。

我たちはテレーザの仲間と知っているはずだから、襲ってきたりはしない」

とチョビが言う。


「だといいわね。さあ、急ぎましょう」

と瑛子。

その背後に小さくてもどう猛な野獣、ガザエルが数匹うろついている。


しかし、瑛子に恐れる様子はない。

一番怯えているのはチョビのようだ。


「ママ、平気なの?」

とびくびくしながらチョビが言う。


「大丈夫よ、あの子たちの事、テレーザからよく話を聞いていたわ。

それに、みんな私たちを歓迎してくれているの」

と瑛子。


「わかるんだ」

そう言うチョビに、


「テレーザの修行の成果かしら。私にも心が感じられることがあるのよ」

と瑛子が言う。


「ダイナ夫妻だ」

とチョビは思った。


確かに、テレーザの施した修行のお陰で、瑛子の人の心を察する能力はとても研ぎ澄まされている。

それに加えて、ダイナ夫妻が隠れ家から特別な力を送っているのだ。

これならば、安全にたどり着くことが出来る。


「もうすぐだよ」

そう言いながらチョビが歩みを早めた。


ダイナ夫妻の隠れ家に着くと、自動的に扉が開いた。

まるで、チョビが瑛子たちを連れてくるを事前に知っていたようだ。


周囲に人の気配などありはしないが、素早く扉をくぐるとそのままチョビの後を追い、

部屋の奥に進む瑛子と孝太郎。


ここに出入りするのを誰かに見られるのはマズい。

そう察したからだ。


部屋の奥の居間に、ダイナ夫妻が待っていた。


「あなた方が、都留田さんですね」

とアルが言う。


「お会いしたかったわ」

とレイ。


孝太郎たちもこのダイナ夫妻の事は、以前からテレーザの話によく登場していた。

ぜひとも会っておきたい、そんな人物だ。


ゆっくりと自己紹介でもしたいところだが、と言いながら、

アルがまずは今の状況、そして今後の計画を孝太郎と瑛子に話した。


「あなた方は、儀式の時間に我々が送り届ける。一番いいタイミングでね」

とレイ画言う。


「あと少しですね。今、お子さんたちが城の地下に潜って、第一王女を連れ出そうとしている。

彼らなら、無事に王女を儀式の場へと連れてくるだろう。

頼もしいものだ」

とアル。


「本当に、あの子たちがいなければどうなっていたことやら。

素晴らしいお子さん達ね」

とレイも言う。


それから、しばしテレーザの倭の国での様子を孝太郎と瑛子が語った。


「テレーザが、そんなことまで自分で」

とレイが驚きの声をあげた。


「道場のお掃除だなんて」


「一人で着替えをしているのか」

アルも言う。


「自分の事は自分で、そう言う方針なんです。

テレーザもいつまで私たちの元にいられるかはわからない。

一人で生きていくことになっても困らないようにと」

と瑛子が言った。


「王女と知りながら、普通の娘のように扱っている我々は罪に問われるんでしょうね」

と孝太郎。


「あなた方はあの子のために、そうして下さった。善意からでしょう?

罪なわけがないわ」

とレイが言う。


「なら、テレーザは一人になっても心配はないな。

実は、我々はテレーザからある願いを託されている」

とアルが神妙な面持ちで言った。

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