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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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到着そして再会

美の国到着

「あれ?あなたチョビ?チョビじゃないの」

一瞬、輝いた森の木々の間から、二人の人影が見えた。

その片方が、地面近くにいる小さな生き物に声をかけた。


「ママァ~」

その生き者、小さなチョビは甘えた声を上げて一目散にその人影に駆け寄った。

次第にはっきりとしてくる人影、孝太郎と瑛子だ。


さっきまでの、一応は威厳を保とうとしていたチョビのこの態度の変わり様に、唖然としそして呆れながら、マルグリッタが二人に言う。


「あの、倭の国からいらした方々ですよね?」

と。


「そうよ、今到着したわ」

と瑛子がチョビを抱きかかえながら言う。


「私、マルグリッタと言います。あなた方をテレーザ王女の元にお連れするようにと」

と、ただの愛玩動物と化しているチョビの代りに事の次第を説明するマルグリッタ。


「ああ、聞いているよ。よろしく頼む」

と孝太郎。


そして、

「おい、チョビいい加減に下りないか。いつまでも甘えているな」

そう言いながら、瑛子にすがりついているチョビを地面に下した。


「だって、ママに会いたかったんだもん」

そういながら渋々瑛子の腕の中から自力で立ち上がるチョビ。


「で、これからどうすればいい?」

と孝太郎がチョビに言う。


「今から、王宮に入ってテレーザ部屋に行く。そして、そのまま儀式の場に同行してもらいたい」

とチョビ。


「あの、あの子たちは?」

と瑛子が葵たちの事を尋ねる。


チョビは瑛子に小さな声でとアイコンタクトを送り、

そして二人の耳元で、

「みんな元気で、そして大活躍だよ。今は儀式のためにそれぞれ自分に任務を遂行しているところだ。

今頃は葵たち3人で、城の地下5階まで行っているだろう」

とこっそりと囁いた。


「まあ、それならよかった」

と孝太郎が同じく小さな声で言う。


それから、マルグリッタに導かれてベルデの森を進む孝太郎と瑛子。

何気に周囲を見渡す。


ここは、なんと広大な森なんだ。

まるで、どこか秘境の地にでもいるようだ。

これが王宮のすぐ隣にあるだなんて。


テレーザがよく話ていた、ここベルデの森。

実際に足を踏み入れると、聞いていた以上に壮大な自然が広がっていることに驚く二人。


チョビと共に先頭を歩くマルグリッタ、慎重にその歩みを進めている。

見るからに、ここには慣れていない様子だ。


「あの、あなた」

と背後から声をかける瑛子。


「こんなことを聞いていいのかしら」

そう前置きしたうえで、


「あなた、もしかしたら倭の国のご出身かしら?」

と聞いた。


明るい色の髪、マルグリッタという名。

それは倭の国とは縁遠いが、その顔立ちがどこか同郷を思わせたのだ。


「わかるんですか?」

と振り返り言うマルグリッタ。


「そうなんです。私は倭の国の出身です。幼い頃母に連れられて国を出ました。

そして、5大王国でも通じるようにと、マルグリッタと名を代えたんです。

本当の名前は、オオヤマ マイ と言います」

とマルグリッタが言う。


「オオヤマ?」

と孝太郎と瑛子が同時に口に出した。


「はい、オオヤママイです。倭の国に残った父は倭剣術の達人だったと聞いています、

道場の閉鎖で、行き場を失って荒れてしまい、母とはそのまま離縁したそうです」


そういうマルグリッタの言葉に、顔を見合わせる二人。

オオヤマ、そうだ、倭剣術、鳳凰館の元門下生、一番弟子だったオオヤマだ。


「あなたのお父さんを知っている」

今はそれを伝えるのはよそう。

孝太郎と瑛子がお互いの視線でそう決めた。


「そう、お父様には会ってみたい?」

と瑛子。


「そうですね、でもわかりません。私は母と姉と3人で幸せに暮らしていますから」

とマルグリッタは静かに言った。


「真実を伝えるのは、彼女の事をもう少し知ってからの方がよさそうだ。」

マルグリッタの言葉に改めて思う孝太郎と瑛子だった。


「そういえば、テレーザ王女に付き添っているよくわからない人たちがいるんですが、

彼らも倭の国の人みたいです。

王女も倭の国の流行りのお洋服をお持ちでしたから、倭の国とご関係があるんでしょうね」

とマルグリッタ。


「よくわからない人たち」


そう、葵たちの事だ。

このマルグリッタ、葵たちの正体をまだ知らないのだ。

先程、葵たちの様子を尋ねた時の、チョビのヒソヒソ話の訳はこれだったのだ。


「あれ、おかしいわ」

と急にマルグリッタが叫んだ。


ベルデの森の出口付近まで来ていたマルグリッタたち。

森を抜け、城に入るところに衛兵の姿があるのだ。

今まではなかったことだ。


ベルデの森への出入りは基本自由だ。

森全体、強力な魔法の力で守られており、テレーザのような王族がお付きもなく動き回ることが出来る。


しかし、そこには魔獣や魔鳥、毒のある植物など危険の生き物も多く、

普通は簡単に散策することさえ難しい。

そして、自信の防衛能力が低い者は森に一歩足を踏み入れただけで、体調に異変をきたしその場を逃げるように立ち去ることになる。


こういうわけで、ベルデの森と王宮の境目に番人がいることはなかったのだ。

しかし、今が数人の衛兵がその出入りを厳しく見張っているようだ。


「やばいな、これでは城に入れない」

とチョビ。


「私が一人で先に行って、様子を見てくるわ」

とマルグリッタが言うと、そ知らぬ顔をしながら衛兵の元へ歩み寄って行った。


その様子を身を隠して見守る、孝太郎と瑛子、そしてチョビ。

マルグリッタが引きつらせた笑顔で何かを話している。


そして、

マルグリッタはそのまま衛兵に両脇を抱えられるように、そのまま城の中に連れていかれてしまった。


「行っちゃったわね」

と、その様子を見ていた瑛子がポツリと言った。

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