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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国 王宮」あとは待つだけ

テレーザの心中は?

「そうなのかな、そうなんだ」

一人つぶやくテレーザ。


葵から、父や姉は自分のことを案じている、家族から愛されている、そう聞かされて。

もちろん、今までそんな自覚はない。


でも、そう聞かされて悪い気はしない。

確かに、なんだかくすぐったい気分だが、心が温まるのを感じるテレーザだった。


「テレーザって、人の心は鋭く察するのに自分の心には鈍感だよね」

と葵。


「ついでに身内の心うちにもな」

と尊が追い打ちをかける。


「ひねくれ者なんだよ」

そう言うのは駆。


「そんなことないよ、道場の人たちから素直ですねって言われるもの」

と言い返すが、


「それは剣術のことだろ、雑念無く剣を振るから」

と尊。


「そっか、そう言うことね」

とテレーザ。


「こういうところは素直よ」

と葵が言う。

思わず顔を見合わせ声をたてて笑う、葵とテレーザ。


「まあ、決着がついたら美の国観光とかできるのかな?」

と駆。


駆の知る美の国。

それは教科書で習った、

「美に特化した王国。すべてが優雅で美しい」

その程度の知識だ。


「俺も、王宮以外を見物してみたいな」

と尊も言う。


「ほんとにどこも美しいのか確かめてみたいわね」

と葵。


「まあ、ここは王宮だし金ぴか優雅なのはわかるんだけど、普通の街並みとかどうなんだろう」

と尊。


「街はどんな感じなの?流行りのお店はどの辺にあるの?」


「みんな超美形って聞いてるけど、ほんとか?」


「イケメン会うのが楽しみ」


「会う、訳じゃないだろ。見るだけ、見るだけ」


葵たちがそんな話題で盛り上がるのだが、

テレーザは、


「私、街の様子とか何も知らなくて。ほとんど行ったことがないし。

訪問することもたまにはあったけど、普段の様子とは違うみたいで」

とポツリと言う。


「でも、みんな美しいわ。それは本当よ。私が例外なだけ」

その言葉に、


「だからテレーザは心の美しさを見つける力があるのよ」

と葵。


「もしテレーザが絶世の美女だったら、俺たち出会ってないだろ?」

と駆が言った。


「そっか」

とテレーザは笑った。


もしも、

自分が姉たちのように容姿に恵まれた美の国の王女だったら。

姫君格付けコンテストで上位に入賞していただろう。


そして、迷いもせずそのまま彩の国のホイ王子に嫁いでいたはずだ。

ホイが純朴で好青年なのは知っているが、どんな生活をすることになったのだろうか。


そもそも、自分が美女だったのならまるで外交の道具のように結婚させられたのだろうか。

でもこれは、4番目の王女であった以上避けられなかっただろうか。


「なに?変な顔して」

と葵に言われて、


「考えてみたの。もしも私がお姉さまみたいだったとしても、ホイとの婚姻は避けられなかった。

それでそのまま結婚して、倭の国に行くこともなくて、葵たちとも会えなくて、なりたい自分なんてこと考えることもなくて。

そんな人生を歩んでいたと思うと、なんだか恐ろしい気がするわ。

私、これでよかった」

とテレーザ。


―倭の国ー


オルト爺と婆の家


「そろそろ私たち行った方がいいのでは?」

と瑛子が孝太郎をせかすように言っている。


「いや、オルト爺さんがまだだと仰せだ。もう少しまとう」

と孝太郎。


「オルトさんたち、リアルタイムで状況を確認できているのかしら、心配だわ」

と瑛子が続ける。


孝太郎と瑛子がオルト爺と婆、この二人と親密に連絡を取り、

美の国、王宮でテレーザたちの身にに起きていることをしっかりと把握していた。


居ても立っても居らず、オルト爺と婆に家に押し掛けることもたびたび、いやほぼ毎日だ。

爺と婆が最新情報を確認している間、居間に二人きりでいる瑛子と孝太郎は気が気ではない。


自分たちではなく、葵たちを先に美の国へ行かせたこと。

これでよかったのだろうか。


居間に戻ったオルト爺と婆。

テレーザにも葵たちにも変わったことはない、そう伝える。

胸をなでおろす瑛子、孝太郎も表情が柔らかくなっている。


万一、葵たちに危険が迫ればオルト婆が強制的に連れ戻す。

そう言ってくれたのだが、それは婆に相当な負担となる。

それを知った以上、そうならない事を祈るしかない。


人を移動させる魔法というのは、それほどにリスクが高いのか。

心配した孝太郎がそれを訪ねると、


「まあね、でもね大丈夫。いきなり使うのと、前もって準備をしておくのでは違うから」

とオルト婆が言った。


「その時が来れば、二人揃って一瞬で美の国まですっ飛ばしてあげるから。

そっちこそ、気を張っていないとあっちで使いものにならないよ」

と笑うオルト婆。


テレーザが美の国からここに来た時、記憶の混濁があったように、

急に移動させられるというのはダメージもあるのだ。


「葵も尊も駆も、みんな元気みたいでとくに弊害は出なかったようでよかったわ。

尊は乗り物酔いしやすいから心配してたんだけどね」

と瑛子。


「一歩遅れて、何か症状が出るということは?あいつはいつもワンテンポずれてるやつだ。」

と孝太郎が言う。


葵たちと話が出来てから、色々なことが起きている。

それは瑛子も知っている。


「あの子たちは大丈夫よ、私がここでのほほんとしてるんだからね」

とオルト婆。


その言葉に思わず安堵の笑みを浮かべる瑛子、そして孝太郎。

その通りだ。


しかし、急に険しい表情になったオルト爺、婆も同様だ。

二人顔を見合わせ、


「道が塞がれた」

そう叫んだ。

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