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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国 王宮」侍女たち

儀式が終わり

「テレーザ王女、お仕え出来ましたことを本当に誇りに思います」

とカロリナが言う。


バレルたちの差し金で「テレーザ王女の侍女」として彩の国からやってきたカロリナ。

王族の世話などしたことがない。

テレーザにはそれがすぐにわかった。


今の自分は何から何まで侍女の手を借りなくても、自分で出来るから。

大勢の侍女は必要ない。

そもそも、本来の侍女たちはどうしているのだろうか。


それでも、この「侍女」たちはあれやこれやとテレーザの世話をしてくれている。

王位が承継される満月の夜まで、あと数日。

それまではこの「侍女」たちに世話を頼むことにするか。

テレーザの心は少しずつ変わっていた。


「譲渡の儀」のためのドレスを脱ぎ、部屋着に着替えたテレーザ。

マルグリッタが部屋着への着替え、そして髪をとかしている間に、

カロリナは衣装室でドレスを片付けていた。


衣装室でふと手を止めるカロリナ。

たくさんの衣装が詰まっているクローゼット。

どれも最高級の品だ。


今まで見てきた富豪たちの家の衣裳部屋、それがかすんで見えるほどのテレーザ衣装。

王族との格の違いを思い知らされていた。


「満月の日まで、お静かにお過ごしくださいとバレル様からのご伝言です」

と衣装室から戻ったカロリナがテレーザに伝えた。


「では、わたくしたちは」

そう言うとカロリナはマルグリッタを伴って、部屋を出ようとした。

他の侍女は既に部屋にはおらず、ここに居るのはカロリナとマルグリッタだけのようだ。


「なんでだろう」

と首をかしげるテレーザ。


あの「侍女」たちが自分を独りきりにしてくれるらしい。

今までと何か違う。

少し前まではまるで見張りでもしているかのように、つねに張り付きだがっていたのに。


自分から言い出さなくても、部屋に一人となったテレーザ。

さあ、葵たちを探さないと。

とテレーザ。


思い当たる居所を考えるテレーザ。

どこかの隠し部屋だろうか、ベルデの森にでも行っているのか。

そんなことが頭を駆け巡った。


するとほどなく、窓の外で物音がした。

居間の大きな窓、これを開けるとバルコニーに出ることが出来る。

今は分厚いカーテンが引かれており、外の様子を伺い知ることはできない。


窓が開けられたのか、カーテンが揺れた。

思わず身構えるテレーザ。

ここには自分ひとりしかいない。

万一、不審者でも侵入すれば、カロリナやマルグリッタが罰を受けることになる。


本来、すぐに可決かられる場所にいなくてはいけない侍女たちが王女の側を離れ、部屋に一人にしているのだから、万一、王女に身の危険が迫るような事があればそれは侍女の落ち度だ。


大きなソファに隠れるテレーザ。

もしも、誰かが侵入してきたら、すぐにここから逃げ出そう、

間に合わなければ、自力で戦うか。

壁に飾られていた、剣に手を伸ばす。


「剣術ならすこしは自信があるわ。倭剣術の修行をしておいてよかった」

そう思いながら。


カーテンの揺れがますます大きくなり、ガタガタと音がした、人の気配もますます大きくなる。

誰かがここに入ろうとしている。

そう確信するテレーザ、その身を固くして固唾をのんだ。


「あれ?」


「テレーザ?」


「いないの?」


と聞き覚えのある声がする。

そして、誰かわからなかった「人の気配」それがすーっと親しみのある気配に変わっていった。


「なんだ、葵達か」

とソファの陰から身を起こしながら言うテレーザ。


「なんだ、って。わからなかった?私たちのこと」

と葵。


「お前が侍女引き連れて戻ってきたから、あわててバルコニーに出て隠れてたんだ」

と駆が言う。


「気配感じてくれてるかと思ったんだけどな」

そういうのは尊だ。


「そうなの、今はいつも通りに戻ったんだけど、人の気配はしたんだけと、尊たちだとは思わなくて」

とテレーザが言う。


「なんでよ?忘れちゃったの?私たちの気配」

と葵に言われて、


「アルとレイの力がここにまで及んでいるのよ。

私たちを最大限の力で守ってくれている」

とテレーザが言う。


「すげえなあ、あの二人」

その言葉に関心したように言う駆。


葵も尊もうなずくが、


「そうね、でも、それだけ強い力を使っているから、あっちの魔法使いにはもう気付かれているでしょうね」

とテレーザ。


「なぎさ公園では、良い人だったんだけどね」

とテレーザに同意を求めるように言う葵。


かつて一緒にバーベキューをしたのに、

今では敵となっている。

それが葵には少し切なく感じていた。


「でも、バルコニーに隠れるなんて、これもレイの指示なのかしら?」

とテレーザ。


「だな、バルコニーの掃除用具があるあたり、あの辺にいろって言われた」

と尊。


「おかげで、お前にも、一緒に侍女にも気付かれることはなかったってわけ。

俺たち、忍者みたいだろ」

と誇らしげな駆。


「あら、気付かれていたわよ。テレーザについていた侍女さんに」

と葵が言う。


「あの、青白い顔の子、部屋に入った時から私たちに気付いていた。

でも、黙っていてくれたの」

と続ける葵。


マルグリッタだ。


葵たちと同じ、倭の国が故郷だというマルグリッタ。

同郷の同族に、なにか感じるものでもあったのかもしれない。


すべてが終わったら、マルグリッタに葵たちを会わせてあげたい。

そして、自分も倭の国に行ったことがある、そう伝えてみたい。


テレーザは心でそう思っていた。

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