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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国 王宮」父と娘

ままごとの家でどんな話をする?

「じゃあ、そろそろ私たちは行くね」

と葵。

尊と駆も立ち上がっている。


「俺たち、こっそりと城にもどるよ。ここを出て、隠し通路を使えばすぐだってダイナさんに教えてもらってる」

と尊が言う。


「それで、儀式が終わるまで待機だ。お前の部屋で待たせてもらうぞ」

と駆。


「だよね、威厳の間には入れてもらえないだろうし、私と一緒にいるところを見られるのもよくないよ」

とテレーザが言った。


「じゃあ、私とお父様は時間差でここを出るわ」

と続ける。


「陛下、それでよろしいでしょうか」

と尊。

急に改まったその姿に、思わず笑いだすテレーザ。


「いいわよね、お父様」

とテレーザが笑顔で父に聞いた。


「それが妥当だな」

と父が言う。


「チョビ?どこにいるの?」

とテレーザが小屋の中を探すと、寝室から出てくるチョビ。


「なに、居眠りしてたの?」

と葵が言う。


「違うぞ、寝室には懐かしい匂いがたくさんあったから、つい」

とチョビ。


「そうね、寝室で使っている家具は、ひいひいおばあ様の愛用されていた品だって聞いているわ。

だから、おばあ様の匂いが残っているのね」

とテレーザが言う。


このままごとの家を作った際、家具調度品のいくつかは、使いまわしの品だった。

母である、エリアルド王妃がそうするように要請したのだ。


「テレーザのお誕生日のために、どれも新品を用意するなんて国民へ示しがつかない」

そう言って。


「まあ、税金の無駄遣いって言いたかったのよね」

と言うテレーザに、


「お母様を悪く言うものではないよ、テレーザ。

国民からの非難がお前に向かないようにという配慮からなのだから」

と父がとりなす。


その言葉には納得できない、と言った表情のテレーザだったが、


「もう昔の話だろ」


「いいじゃん、そのお古のおかげでチョビが喜んでるんだし」


「ひいひい祖母ちゃん、お前に似てるっばあちゃんだよな。これも縁だなあ」


など葵たちが口ぐに言った。

その言葉に思わず頷くテレーザ。


「そうよね」

と。


「じゃあ、俺たちはそろそろ行く」

と言うと、葵と尊、駆がチョビを連れて小屋を出て行った。


出掛けに、チョビが、

「あと少し、ここは守られるから、あまり長居しないでテレーザたちも城に戻ってね」

と言い残した。


葵たちが去り、この居間に父と二人きりになったテレーザ。

あまり時間はない、父と二人だけでいられるうちに話せることを話し、聞きたいことを聞いておきたい。


まず、気になっていることを。


「お父様、お母様たちは何処にいるの?」

と聞いた。

第一王女、フィオナ・クリスティーネの居所はわかったが、他の姉や母と弟はどうしているのだろうか。


「母上とルドルフ、そしてユリアナ・マーガレットは秘密の経路を通って、中立エリアに逃れている」

と父が言う。


そでれは、第二王女、カタリナ・オルセウスは?


「それが」

と父が表情を曇らせた。


「行方が分からない」

とポツリと言う父。


「やっぱり、カタリナお姉さまが何か絡んでいるのね」

とテレーザが言う。


「信じたくはないが」

と父。


美の国、第二王女、カタリナ・オルセウス

テレーザと同様に魔法の力を持つ王女だ。


しかし、テレーザほど際立った力ではなかったため、正式に魔法を学ぶことはしていない。

そんな場合、魔力は成長と共に失われてしまう。


それが、自分の力に気付いたカタリナは、独学で魔法を取得したのだ。

王家の者の場合、大勢の侍女や従者に囲まれた生活を送っている。

その者たちに知られずに、魔法を習得するなど、あり得ない事なのだがカタリナはそれをやってのけたのだ。


「カタリナお姉さまが私を、倭の国へと飛ばしたのよ」

とテレーザ。


「そうだったな。それはフィオナ・クリスティーネから聞いた。

フィオナはカタリナが魔法を使えることを知っていた。誰にも言わなかったが。

それが、フィオナとの喧嘩の原因だ」

と父が言う。


美の国、王家ではフィオナ・クリスティーネ王女の次期女王としてのお披露目を検討していた。

そうなると、その際、国王は王家の魂を「整理」することが出来る。

国を治める可能性のない、王子や王女の持つ「王家の魂」を没収するのだ。


「美の国の後継者はフィオナ・クリスティーネ、そしてもしもの際の代理としてテレーザ、お前を選んだ」

と父。


「選んだって、お父様。私の事を消滅したと思っていたんでしょう?」

とテレーザは少し混乱した様子で言う。


「そうだね、しかしお前は生き延びて倭の国にいた。わたしの専属魔法使いがそれを察知していたのだ」

と父が言う。


「でも、私は二度と戻らないつもりだったのに」

とテレーザ。


「だからこそ、お前の持つ王家の魂を残した。

予備は安全な場所にあったほうがいい」

と父、その顔は父ではなく王の顔だ。


「カタリナお姉さまとユリアナお姉さまの王家の魂は取り上げたのに、私のはそのままだったから、

お姉さまたちが怒ったのね」

とテレーザが言う。


「いや、あの二人は元々王家の魂を持っていない」

と父。


「女王の両腕となる第二、第三王女には王家の魂は必要ないからだ」

と続ける父


「それで、カタリナお姉さまは拗ねちゃったってことね。

でも、それがフィオナお姉さまとの喧嘩の発端なの?」

とテレーザ。


「いや、フィオナはお前を「予備」扱いしたことに腹を立てていた。

それで、嫌ならお前の王家の魂も取り上げることが出来るんだ、ついそんなことを言って、

そして」

と父が少しだけ下を向いた。


「そして、取り上げちゃったのね」

とテレーザが言う。


「ということだ。その瞬間をつけこまれた。反体制の奴らはそのチャンスを見逃さなかったんだ」

と父。


「ほんとに、よくある親子喧嘩だったはずなんだが。

そのせいで王家の危機だ。お前まで巻き込んでしまって」

と父は小さな声で言う。


国王たるもの、ただ一度の過ちも許されない。

些細なことが、大きな変化につながりかねない。


そんなことは父であるジャン・グレゴリー国王たるもの、重々承知のはずだ。

それなのに。


「そんなこともあるわよ、お父様。人間なんだから。

確かに、めんどくさい事態ではあるけど、お陰で私はもう一度美の国に戻ることが出来た。

どんなことにも、良い事はあるわ」

とテレーザ。


テレーザがこんなに、ハキハキと自分の意見を言っている。

こんな姿を見るのは、初めての事だろう。


父の心に、テレーザを誇らしく思う気持ちが芽生えようとしていた。


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