表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

246/267

「美の国 王宮」お父様

いよいよ父と対面

「じゃあ、お父様と二人きりにさせて頂くわ」

そう言い残すと、国王である父の手を取り歩き出した。

その場に居合わせたほぼ全員が唖然とする中、颯爽と部屋を出るテレーザ。。


扉の向こうで、バタバタと大騒ぎする物音が聞こえてきたが、後ろを振りかえることすらしない。

ただ父とならんで廊下を歩く、堂々と前を見つめながら。


ふと見上げると、父も自分を見つめていることに気付くテレーザ。

父は少し驚いたような顔でテレーザを見つめた。

しかし、すぐに穏やかな笑顔を見せた。


こんなに真近で父の顔を見るのは初めてかもしれない。

今まで、テレーザは父と並んで歩いたことはない。

そもそも、二人きりになったことなど、あっただろうか。


王一家が揃う時のテレーザの立ち位置は、いつも一番隅っこ。

父の隣を歩いて良いのは、王妃である母、そして第一王女のフィオナ・クリスティーネだけだった。

それでも、他の姉や弟は、父や母と共に談笑などもしていたが、テレーザだけは蚊帳の外。

一緒に会話をした記憶はない。


いつも心の中で、周囲の花や木と話をしていたのだ。

城の中はいつも摘んできたばかりの花が飾られていた。

その花々は、テレーザの心に優しく寄り添ってくれたのだ。


「私たち、今朝まで森の中で咲いていたの」


「テレーザ、あなたが手入れをしてくれた花壇、とても居心地がよかったわ」


そんな花たちの声を聞き、テレーザも思わず笑みが漏れた。

しかし、一人でフッと笑っているテレーザを見た姉たちが、


「何よこの子ったら。また一人でニヤニヤして、気持ち悪い」

と決まってそう言った。


母は明らかに嫌悪な顔をしており、父はテレーザの存在そのものをまるで無視だ。

唯一、弟のジャン・ルドルフ王子だけが、


「ねえ、お姉さま、今何が見えていたの?」

とテレーザに声をかけた。


しかし、テレーザが答えるよりも先に、

「まあ、ルドルフちゃん。テレーザの相手なんかしてはいけませんよ。

貴方までおかしな子になってしまったら大変だわ」

と母がルドルフ王子をテレーザから遠ざけた。


「そんなこともあったな」

とテレーザは思う。

ここ、美の国に戻って以来、かつての美の国での自分はなんだか違う人のように感じる。


「でもこれはしきたり違反、ってとこね」

父と並んで歩きながら、テレーザはつぶやいた。

本来なら、自分のような王位継承下位の者が、国王に近寄るだなんて許されない、これが慣例だ。


「テレーザ、少し背が伸びたようだな」

と父が言った。

テレーザは慌てて思考を過去の思い出から今に戻す。


「はい」

とテレーザが答える。

実際、倭の国の都留田の家に世話になってから、以前から着ていたスカートの裾が短くなった気がしていた。

それにしても、父が自分の背の高さを知っていたとは驚きだ。


テレーザは父を城外へと連れだした。

付き添いは誰もおらず、二人きりだ。

国王と王女が、クリステルパレスの中庭を抜け、ベルデの森へと入る。


「お前はこの森が好きだな」

と父が言う。


ここベルデの森は小さなころからテレーザの恰好の遊び場だった。

ここで、花や木と戯れ、動物たちと触れ合う。

危険な魔獣も多いが、テレーザはいつも自分の力を使って切り抜けてきた。


「お父様、なぜ黙って付いて来て下さるの?」

とテレーザが言う。


2人きりで森へ行く。

言語道断な行為だ。


そもそも父がお供も付けずいいる。

それ自体が異例中の異例だ。

そんなことから、テレーザは国王に起きていること、を察することができた。


「お父様、こちらへ」

とテレーザが父を森の中の小さな小屋へと誘う。


ここは、テレーザが小さな頃、作ってもらったおままごとの家。

確か、7歳の誕生日のプレゼントだ。


「お姉さまたちは、ドレスやボディケア用品、自分を美しくするものが欲しいと言ったのに、

テレーザ、あなたはおままごとのおうちですか」

とテレーザの希望を聞いた母が呆れた顔をしながら言った。


「テレーザはおしゃれに興味がないのよ。だってこの子」

と二番目の姉、カタリナ・オルセウスが言う。


「この子」で言葉を止めたのは、フィオナ・クリスティーネだった。

その先に続く言葉を言わせないためだ。


「わかってるわよ、私は不細工だから、そんなことには興味がないんだ、無駄だから。とでも言いたかったんでしょ」

と昔の事に苛立ちながらテレーザは思った。


姉妹の誰もが、自分の誕生日には美を追求するもの、を希望するというのに、この子は。

そんな母の嘆きをぼんやりと聞いていたテレーザ。

何が悪いのか、全くわからなかった。


「それでは、森の片隅にでも建てましょう、そのおままごとの家を」

と母が投げやりに侍女たちに言いつけた。


それでも、そのおままごとの家は国一番の職人たちが携わった。

第一線で活躍する建築家による設計、人気のデザイナーが内装とインテリアを担当。

国一番の大工たちが、丁寧にその小さな家を建設したのだった。


そして、ダイナ夫妻がそのハウスに魔法をかける。

ここでは、いかなるときでも、自分に素直でいられる。

そんな魔法だった。


小さな丸太小屋の前で、テレーザと父、国王が立ち止まった。


「さあ、お父様、どうぞこちらへ」

とテレーザが父をその小屋に招き入れた。

応援していただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ