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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国 王宮」国王

いよいよ儀式の間へ

美の国、王宮クリステルパレス。

その荘厳な廊下を歩くテレーザ。

後ろには、マルグリッタとカロリナ、そして数名の侍女が従っている。


葵たちは、城の地下に行ったきりまだ戻ってこない。

地下5階まで行けば、そう簡単には戻っては来られないだろう。

自分が行かなくてよかったのかもしれない。

そんな思いと同時に、何か心が弾むのを感じるテレーザ。


「もうすぐ、お父様に会える」

テレーザの胸が少し高鳴る。

自分は、父に会うことを楽しみにしているんだ。


美の国に戻って以来、まだ身内には会っていない。

国王夫妻である両親はもちろん、姉と弟、誰にもだ。


城外の様子を知ることも出来ない。

街はどうなっているのだろうか。


わずかに会うことが出来た、「顔を知る者」ルナ・ルイーズはごく普通の日常生活を送っている様子だった。

この「譲渡の儀」も執り行われること自体極秘の様だ。


「王女、いかがなさいましたか?」

といきなり声をかけられて、思わず振り向くテレーザ。

いつの間にか、バレルがテレーザの側にいた。


「お友達は、いらっしゃらないのですね」

と耳元でささやくバレル。

ここに、葵たちがいれば彼は何かと理由を付けて同行を阻止したのだろう。


バレルの問いに応えることはなく、テレーザはただ真っすぐに前を見ながら歩く。

いつのまにやら、王女たちの部屋がある居住エリアから、王が公務を行う際に使用する部屋が並ぶエリアに入っていた。


そういえば、週に一度行われる「報告の儀」これもこのエリアの一室を使っていた。

話題の中心はいつも姉か弟、つまり自分以外。

テレーザ王女、という名が聞こえるときは、「良くない出来事」に関することばかりだった。


「よく我慢してたよね、私」

とテレーザ。


姉たちと弟が、もてはやされ、賛美を受ける中、いつも自分は空気のような扱い、そうでなければ、否定的な事ばかりで名が挙がる。


「実際、そうだったからねえ」

と昔を思い出すテレーザ。

何もやる気もなく、ただただ侍女の言いなりでしか行動しなかった。


「でも、存在が迷惑、それはないわよ」

とかつて、自分に浴びせられた言葉が今頃になって心を突き刺す。


「随分と昔の事の様だわ」

この地を離れ、まだそれほどの時が経ってはないはずだ。

それでも、毎週の報告の儀、それに最後に出た時がすでに懐かしい。


「さあ、こちらへ」

とバレルに言われて向かった先に、ホイ王子が待っていた


思わず顔を見合わせる二人。

この二人が会うのは、ベルデの森の散策以来だ。


「さあ、ここでしばらくお待ちを」

とバレルが言う、そこは大きな扉の前。

ここが、「威厳の間」だ。


バレルがその扉を数回叩く。

すると、扉が静かに開いた。


「さあ」

とホイがテレーザを促す。


二人並んで、威厳の間へと入る。

テレーザの目に、正面にいる父、ジャン・グレゴリー国王の姿が飛び込んできた。


思わず駆け寄りたくなる衝動を抑えて、ホイと歩調を合わせて国王の前に進み出た。

そして、二人膝まずき頭を下げた。

今この時はまだ、美の国国王は、目の前のジャン・グレゴリーなのだ。


テレーザもホイも、その場にいるすべて者が、ジャン・グレゴリー国王に最大の敬意を払う。

これは義務だ。

バレルも、ケインも同様に膝まずいている。


「外で待たせることにして正解だったわね」

とテレーザが思う。

それは、マルグリッタたちテレーザに同行している侍女のことだ。


誰もが王族の侍女の経験がないらしい、こう言う場での行儀作法はわからないだろう。

彼女たちが知らずにやってしまうことが、とてつもない無礼と受け取られる可能性もある。

それはテレーザの不利にもなるのだ。


下を向きながら、そんなことを考えていると、

「面をあげよ」

と国王の声がした。


目の前にいる、父を改めてじっくりと見つめるテレーザ。

王も、テレーザを見つめている。


「お父様」

とテレーザが国王に呼びかけるが、その声をかき消すかのように国王が話し始めた。


「まずはテレーザ王女より、帰国の報告があるべき」

と国王が言う。


王国の王子や王女が外国から帰国すると、まずは王と王妃に帰国の挨拶をする、

それが習わしだ。

テレーザも何度も、そう意見したが聞き入れられなかったのだ。


「では、お父様、あちらにてご報告をさせていただきます」

とテレーザが国王の元へ行き、王の手を取り部屋を出ようとする。


「どちらへ」

とバレルが慌てて言うが、振り向きもしないテレーザ。


「まずはご報告を済ませてから、国王のお達しです」

とテレーザがバレルにはっきりと言う。


「ですから、ご報告ならこの場でも」

とバレルが食い下がるように言うが、


「あなたはわたくしに意見できる立場ではありません」

とキッパリと言うテレーザ。

そして、王の手を取ると、部屋を出て行ってしまった。


残されたホイ王子とバレルたち数人の従者。

皆、いやホイを除く皆が呆然と立ち尽くしている。


「テレーザ王女はご自分の意見をおっしゃることがあるのか」

とバレルがつぶやいた。


その言葉を聞いたホイ、

「テレーザは、もう昔のテレーザではないでんですよ」

そう思いながら少し得意げにほほ笑んだ。

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