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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国 王宮」フィオナ・クリスティーネ王女

フィオナ・クリスティーネ王女と葵たち

「まずい事を言ってしまった」

とうなだれる葵。


目の前にいる、フィオナ・クリスティーネ王女に、「意見」した葵。

フィオナが自分の侍女の事を「あれ」と呼んだのがどうしても許せなかったのだ。


テレーザならそんな言い方はしない


と葵は思う。

まだ会ってほんのわずかしか経っていない、このフィオナ・クリスティーネ王女。

テレーザと姉妹でありながら、同じ美の国の王女でありながら、何かが違う。


いや、何もかもが違う。

この違和感はなんだろう。


うつむきながら、葵はそんなことで頭がいっぱいになってる。

テレーザはもっと、人間らしい。

しかし、このフィオナ・クリスティーネ王女は何処までも美しい、まるで陶器の人形の様だ。

そんな容姿だけの違いなら、こんなに違和感はないはずだ。

美の国の王女たるもの、絶世の美女であっても不思議ではない。


フィオナの心から、何も音が聞こえない。

それが一番の違和感だ。


テレーザの心を引き出す力のお陰で、葵も他人の心の声を少しは聞き分けられるようになっていた。

母、瑛子に施していた修行に便乗させてもらうこともあったから。


フィオナは確かに、侍女のことを「あれ」呼ばわりしたが、悪意はないようだ。

それは葵も感じることが出来た。

かといって、親愛の情もない。

何も思わずに「あれ」と言っている。


「やはり、おかしいわよね」

とフィオナ・クリスティーネ王女が言った。


「顔を上げてちょうだい。あなた、お名前は?」

とフィオナ。


「あの、私はアオイといいます。テレーザ王女とは」

と緊張しながら言う葵。

フィオナ・クリスティーネ王女は笑顔で葵を見つめている。


「ごめんなさいね。わたくしはそういう感覚が少しずれているようで。

テレーザにもよく言われたわ。

お姉さまは感情がないのね、って」

とフィオナが言う。


「笑っちゃうでしょう?あのテレーザがわたくしに言うのよ」

と続けるフィオナ。


「テレーザは自分の意見をはっきりと言う子です」

と葵。


また、言ってしまった。

再び、うつむく葵。


そんな葵にフィオナはただほほ笑み、そして、

「テレーザ、会いたいわ」

とポツリと言った。


「あの、テレーザもここに来ようとしたんですけれど」

と葵が言うと、


「邪魔がはいったのよね」

とフィオナが言う。

このと事情は分かっているようだ。


「テレーザに伝えてちょうだい。満月の日に会いましょうって」

とフィオナが言う。


戸惑ったように顔を見合わせる葵たち3人。


「この場所を見つけてくれた、それだけでいいのよ。

もう、あとは満月を待つだけ」

とフィオナ。


葵には、いや尊と駆にも真意はわからなかったが、何かすでに取り決めでもあるのだろう。

穏やかな口調ながら有無を言わせぬフィオナの言葉に、葵たちは頷くしかなかった。


「テレーザはいいお仲間に会ったのね」

とフィオナが言った。

この目には安堵の様子がうかがえる。


「でも、そろそろ戻った方がいいわ。あまりここに長くいるのは危険だから」

とフィオナ。


「あの、あの侍女の名前、ちゃんと覚えておくわね」

とフィオナが続けた。


「ルナ・ルイーズよね」

と。


「恐れ多いです、王女」

と葵が言うと、


「貴女は王女などとは言い慣れていない様子ね。お国は王国ではないのかしら。

テレーザ行った先、流石はダイナたちね」

とフィオナ。

そう言いながら、チョビを部屋の奥へと連れて行った。


「さあ、こちらへ」

とフィオナが葵たちにも声をかける。


「ここから、上層階へと戻れるわ」

と小さな小部屋を指さした。


「こんなことろがあるなら、戻ればいいじゃん」

と駆が思わず口を出した。


「上層階へと直行できる」のなら、何故フィオナ・クリスティーネ王女は戻ろうとしないのか。

それは疑問だ。


「これ以上の犠牲を出したくないからよ。わたくしがここにじっとしていれば、周囲も安泰なの」

とフィオナが答える。


「でも、こんなところに王女が閉じ込められているなんて」

とどうも腑に落ちない駆が言う。


「あなたはお優しいのね。でも次の満月までだから」

とフィオナ。


「あなたがたが、わたくしを見つけてくれたおかげよ」

と再び言うフィオナ。


「では、満月の日、必ずここからお出になってください」

と駆。


この部屋の中、何もかもが十分すぎるほど揃ってはいるが、侍女や従者の姿がない。

それは王族からしたらあり得ないことだ。


「どうかそれまで、ご無事で」

と続ける駆。


「あなたはお優しいのね」

と再びフィオナが駆に言う。


「モテるでしょう?」

とおどけたように笑うフィオナ・クリスティーネ王女。

その笑顔は先ほどまでとは異なり、普通の若い女性そのままだった。

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