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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国 王宮」散策

2人で散策、話題は?

ホイ王子の従者、ケインの鋭い視線に葵が身震いをしていた頃、

テレーザはホイと一緒にクリスタルパレスの裏庭を歩いていた。


テレーザにとっては馴染の場所。

片隅の花壇、所々に生える木々、どこも小さな頃から慣れ親しんだ自分の庭だ。


「こんなところに、かわいいですね」

とホイが言う。

花壇の隅で咲いている、小さな花を見つけたのだ。


テレーザは喜んで花壇を覗き込むホイの横顔をそっと見つめる。

花を眺めるホイの目は穏やで表情は優しい。

しばらくホイとテレーザは二人、花壇の花々を眺めながら少しばかり話をした。


「僕と君、以前の婚約者同士ですよね」

とホイが言う。


ホイがどこまで、自分を知っているのか。

これはそれを探るいい機会だ。


「覚えてるの?」

とテレーザ。


「ぼんやりと、いや。覚えてはいないんです。これはケインから聞かされたことで」

とホイが言った。


「じゃあ、記憶をなくしてしまっているの?」

とテレーザ聞いた。


「それもよくわからないくて。あなたと共にこの国を治める王となる、とどういうわけか刷り込まれているようなです。」

とホイ。


「ここに連れ出してくれてありがとう。ここでは少しだけ本来の自分でいられるようだよ」

と言うホイ。


やはり、何かの力が働いている。


そう直感したテレーザ。

ホイを託せるのは、あの先生たち(ダイナ夫妻)しかいない。


「ねえ、もう少し奥に行ってみましょうよ」

とさりげなくホイを誘い、ベルデの森へ行こうとするテレーザ。


ホイも素直にテレーザに従い、ベルデの森へと歩く二人。

クリスタルパレスの裏庭を抜けて森に入ると景色は一変する。

木々が生い茂り、日の光が遮られ薄暗い。


「なんだかワクワクしますね」

とホイが言う。

こんな怪しげな場所にいると言うのに、不安な様子はない。


「それは、きっと」

と言うホイ。


「きっと?」

と思わず聞き返すテレーザ。


「きっと、貴女と一緒だからだ」

とホイはそう言うと、テレーザの手をそっとつかんだ。


思いの他、温かく大きなホイの手。

その手をテレーザも握り返していた。


「私はあなたのことを前から知っているわ」

とテレーザが言う。


「これ、見覚えないかな?」

とテレーザが見せたのは、水族館でホイが買ってくれたキーホルダーだ。


「ごめん、覚えていない」

とホイ。


「これ、二つあるのは?」

とそのキーホルダーを手に取りながら言うホイ。


「カメは君のだ。そしてこっちの魚は」

ホイの顔は、何か懐かしい事でも思い出しているかのようだ。


ホイは自分より葵を気に入っていた。

そんな葵との思い出の品。

どうか思い出してほしい。


しかし、

「だめだ、思い出せない。なにかこれはとても大切な物のような気はするんだけど」

とホイがため息をつく。


「仕方ないよ、そう言う力がかかっているんだもの」

とテレーザ。


「そういう力か」

と肩を落とすホイ。


「情けないです」

と言いながら。


うなだれるホイの顔を見ながら、テレーザが言う、

「だから、これから本当の自分を取り戻しに行こう。わたしの先生たち(ダイナ夫妻)なら、それが出来るから」

と。


「僕は魔法の力で操作されているんだね」

とホイ。


これは重大な規約違反だ。

魔力によって、人の心を操る事、それは厳しく禁じられている。

魔法の力で、人を操れるようになれば魔力を持たない人と、魔法使いが共存することは不可能だ。


テレーザがこれからの「生きる道」にしようとしている心に語り掛ける行為とは紙一重ではあるが、

まったくその本質が異なっている。

本来の心を解き放つ行為と、心を操る行為。

それはまるで、善と悪だ。


このホイ王子には明らかに魔力の力で心を支配されている。

悪の力がその心に及んでいるのだ。


そしてこれはどういうことなのだろう。

5大王国、彩の国の王子の心を魔法で操る者がいる。

相当な魔法の使い手だ。


テレーザとホイは二人で手をつなぎ、ベルデの森を進む。

周囲の魔獣や魔鳥たちが、二人の姿を見守るようにその周りを徘徊していた。


「襲ってこないんですね」

と魔獣に気付いたホイが言う。


「大丈夫。みんな私の友達だから」

とテレーザ。


微笑みながら言うテレーザを見つめるホイ。

その表情が緩む。


「あなたがここの魔獣たちの親分みたいに、あいつらを手名付けている姿が思い浮かびますよ」

と言いながら、ホイの心には何か、とても懐かしいものがよぎる。


一瞬だが、心に現れたのは、


「テレーザ王女の絵」

だ。

あの「姫君格付コンテスト」のために、エマが描きPR動画として公開していたあの絵。

それの絵を眺めたホイはその姿に心惹かれていたのだ。


「なんだか、とてもうれしい気持ちだ。君の事を少しだけ思い出したから」

とホイが言った。


その頃、クリステルパレス、使用人のためのラウンジ。


「殿下と姫君が森に入ってしまわれた。あとを追いましょう」

といきなり立ち上がるケイン。

そのただならぬ表情に、葵は拒否することもできず、共にベルデの森へと向かった。

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