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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国」作戦会議は必須

これからどうする?

「え?」

目の前に現れたホイ王子の言葉に思わず声が出るテレーザ。


「だからさ、きみとぼくで、この国の王になろうよ」

ともう一度言うホイ。

屈託のない笑顔で、テレーザを見つめている。


「ここは、美の国。現国王は父以外にあり得ない」

とテレーザは口に出しかけたその言葉を、あえてのみこんだ。


「どう反応すればいい?」

とテレーザは思う。


そっと葵を見ると、同じように動揺をひた隠し冷静を保っているように見える。

後ろにいる尊と駆はどうだろうか。

様子を知りたいが、振り向くわけにはいかない。


今、自分たちの前にいるのは確かに彩の国のホイ王子だ。

自分たちと一緒に倭の国で過ごしたあのホイと同一人物とは思えない。

しかし、テレーザの事を認識はしているようだ。


葵の事をちらりと見たが、まるで他人を見る目だ。

一緒になぎさ公園で「デート」した時のホイではない。

ホイは何か記憶でも操作されているのだろうか。


だとしたら、何を覚えていて何を忘れているのか。

それを探らなくては。


魔法の力が及んでいないか、それを探すことはテレーザにもできる。

しかし、ここでそんな力をつかってしまうのはどうしたものか。

周囲にある程度能力の高い魔法使いがいたなら、すぐにわかってしまう。


葵と尊と駆と、話がしたい。

これからどうしよう、どうすればいいのだろう。

独りじゃ決められない、

不安でたまらない。


テレーザの心は穏やかではない。

そんな彼女の心中を察した葵。


「あの、王女は静養から戻られたばかりで、まだお疲れが残っておいでです。

こういう大切なお話の前に少しお休みさせてはいただけないでしょうか」

と葵がホイの従者、ケインに言った。


「そうですか、もうすっかりお身体は回復していると伺ったのですが、まだ無理は禁物ですね。

失礼をいたしました。しばらくお部屋でお休みください」

とケインが言う。


ケインはテレーザが静養先の「ロイヤルサナトリウム」から戻ったばかり、そう思っているようだ。

テレーザがちらりと自分の従者だと言うバレルを見る。

思わず目を背けるバレル。


バレルは、テレーザを「ロイヤルサナトリウム」ではなく倭の国まで迎えに来た。

居所を知っていたということだ。


「そうさせていただくわ」

とテレーザがケインを見ながら言う。


「では、失礼を」

そう言って王の執務室を出るテレーザ。

葵たちとバレルも後に続いた。


「それではしばらく休ませていただくわ。誰も邪魔しないで」

と自分の部屋の前でテレーザが言う。

テレーザに付き添い、テレーザ王女の部屋に入ることが出来たのは葵だけだった。


テレーザ王女の部屋、その居間で。

「ああ、もう何なのよ。あいつらが美の国を乗っ取ったってわけ?」

とテレーザが言う。

身に着けていたドレスを脱ぎ捨てながら。


「あー久しぶりに着ると、苦しい」

とテレーザ。


「あ、イヤリングとネックレスは外したらちょうだい。これかなり高価よ。ちゃんとしまっておかないと」

と葵が言う。

テレーザが放り投げたドレスを拾い上げ、イヤリングとネックレスをもって衣装室へと向かう葵。


テレーザの普段着を手に、葵が戻って来た。

葵自身も、侍女の衣装からいつもの恰好に着替えていた。


「そんなのあったんだ?」

とテレーザが葵の姿を見て言った。


「衣裳部屋の戸棚の片隅にあったわよ」

と葵。


「あら、あそこにあるのはすべてテレーザ王女の衣装よ、勝手に着ちゃだめじゃない。」

とテレーザが言う。


「でも、私の方が似合うでしょ」

と葵。


「私だって、そういう服好きだもん」

テレーザが言うと、


「好きと似合うは違うのよ。あんたにはゴテゴテのドレスがお似合いよ」

と葵。


「そもそも、王女の衣装を勝手に着るだなんて、侍女がそんなことしたら厳罰だからね」

とテレーザも言い返す。


「いつ私があんたの侍女になったのよ」

と葵も言う。


「ここでは私の侍女侍女じゃない。なんなら私の特別な存在(大切な侍女)にしてあげようか??」


「うわーーお断りだわ」


そして、二人で顔を見合わせて大笑いをした。

やはり、一緒にいると安心だ、こんな状況なのに。


その時、

「え、何?」

といきなり振り向いたテレーザ。

笑っていても些細な異変に敏感になっている。

凝視しているのは、バルコニーの隣の大きな窓だ。


観音開きの大きな窓。それに重厚なドレープのカーテンが掛かっている。

そのカーテンが揺れ、窓がガタガタと音をたてた。


「テレーザはそこにいて」

と葵が窓の様子を見に近寄る。

かなり慎重に。


テレーザが何かを察したのと、葵がカーテンを確認したのと、ほぼ同時に、


「いやー、この窓開けんのたいへんだった」

とぼそぼそという声が聞こえた。


テレーザも窓に駆け寄った。

そこには、窓から忍び込んできた尊と駆がいた。


二人とも、外壁をつたってこの窓までやってきたらしく、服が泥とホコリで汚れていた。

尊の上着の袖は、何かに引っ掛けたのかやぶれている。


「ここに来るのに、そんなに大変だった?二人ともボロボロじゃない」

とテレーザが言う。


この窓から出入りする経路はテレーザがよく使う抜け道だ。

つい先ほども、ここから抜け出して、ベルデの森までいったのだ。


「そんなこと言われたって、兄い、どんくさいんだもん」

と駆。

確かに、駆はあまり汚れていないようだ。


「ここを平気で昇り降りするなんて。テレーザ、きみが意外とお転婆だってよくわかったよ」

とホコリを払いながら尊が言った。


「もうお部屋を汚さないでよね。王女のお部屋をきれいに保つのも私たち侍女の役目ですからね」

と葵が言う。


テレーザ王女の居間に4人がそろった。

互いに顔を見合わせ、そして何かを決意したようにうなずく。


「さあ、作戦会議をはじめようか」

そう言いながら。




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