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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国」待っていたのは

待っていたのは、意外な人物

「きみがテレーザだね」

そう言いながら現れた人影。

周囲を明るくなりその姿がはっきりと見えた。


思わず顔を見合わせるテレーザと葵。

後ろにいた尊と駆も同様だ。


「まずは僕の自己紹介を。僕はホイ王子。よろしくね」

とその人影が言った。


そう、テレーザの前に現れたのは、彩の国のホイ王子だ。

テレーザの元婚約者。

倭の国に極秘で滞在をしていた、あのホイ王子が目の前にいるのだ。

しかも、まるで初めて会ったかのようにテレーザに接している。

そんなホイ王子に葵も怪訝な顔をした。


「これはテレーザ王女。お会いできて光栄でございます」

とホイについていた側近が声をかけた。


「わたくしは、ホイ王子のお世話をしております、従者のケインと申します。どうぞお見知りおきを」

とその男が言った。


「ケイン?」

とテレーザ。


この男、ホイの侍従だ。

そして、自分とホイを結婚させるために奔走した人物だ。


そう言えば、レイアが陰でこそっと言っていた、

あの侍従、腹黒そうだ、って。


「こちらの方々は?」

とケインが尊たちを見て言った。

見知らぬ顔が、まるでテレーザの側近のような振舞いをしているのが疑問のようだ。

しかも、この侍女はテレーザの隣に並んでいる。


「私の侍従と侍女です」

とテレーザが言う。


「ほう、そうでございましたか。見かけない方々でしたので」

とケイン。


「バレル殿、それでよろしいので?」

とケインがバレルに言った。


「王女がそうおっしゃられるのだ」

とバレルが言う。


「ならばそう言うことで」

とケインが葵たちに言った。


テレーザが今いるのは、国王の執務室だ。

父である国王が、役人や側近を集めて会議をしている場を何度か見たことがある。


正面には何枚かの肖像画が掲げられており、その中央に「美の国」の紋章が刺繍された大きな旗が掛かっている。


部屋の真ん中には大きな円卓が置かれている。

ここには、王の座る玉座はなく、国王は役人たちを同じ視線で同じテーブルに着き、この国についてをあれこれと話し合うのだ。


今は誰も座っていない、この大きな丸いテーブル。

ここで熱い議論が行われているところを、何度か扉の隙間からのぞき見をした。

小さなころは、何を話しているのかよくわからず、父もみんなも怒っている、とハラハラしたものだ。


ある程度も物事が分かるようになると、話し合われている内容はいつも美の国をより良き国にする、そんな事ばかりで、テレーザの議論を夢中になって聞いていた。


ある時、こっそりと覗いていたはずなのに、白熱した議論につい、


「私もそう思うわ」

と声を上げてしまったことがある。


ここ、王の執務室は二重扉になっており、扉には重たいカーテンが付いている。

そのカーテンに包まるように隠れていたテレーザ。


「そこにいるのはテレーザか?」

と父の声がした。


仕方なく、父の前に進み出るテレーザ。

もう寝る時間はとっくに過ぎている、これは怒られるに違いない。

そう覚悟をしたテレーザだったが、


「テレーザよ、そなたはこんな議論を聞いていて楽しいのか?」

と父が聞いた。


「とても楽しいわ。美の国の事をみなさんがこんなに考えているなんて。

私も皆さんとこんな風にお話がしてみたい」

とテレーザが言う。


まだうまく自分の気持ちを伝えられない年齢だったが、

この時のテレーザは、美の国のために何かがしたい、と純粋にそう考えていたのだ。


「そうか、その心がけはとても良い。誇りにおもうぞ。しかしそなたにはまだ早い。もっと大きくなってから、この国のために尽くしてほしい、王女として」

と父が言った。


この時の父は、母や姉たちが一緒の時と違って、テレーザを自分の娘であり美の国の王女として接してくれたような気がした。


テレーザはその後、父の従者に付き添われて、自分の侍女に引き渡された。

そして、寝室を勝手に抜け出してことをこっぴどく叱られて、渋々ベッドに入り眠りについたのだ。


「さあ、こちらへ」

とホイ王子の従者、ケインがテレーザに声をかけた。


昔の事を思い出していたテレーザは、ハッと我に返る。

この執務室、使っていいのは父だけだ。

なぜ、ホイがここにいる?


テレーザの心に怒りがわいてきていた。


「お父様はどこ?」

と思わずケインに叫ぶテレーザ。


「まあ、王女、まずはこちらの話を聞いていただきたい。御父上とお会いになるのはその後、ということで」

とケイン。


「ねえ、テレーザ。驚かせてごめんね」

とケインに代わってホイが言う。


「テレーザ、ぼくと一緒にこの国を治めてみない?」

と。


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