再会
ついに再会できました
しっかりと抱き合っている葵と、そして部屋にいたテレーザ。
「やっとみつけた」
と葵。
「大丈夫か?」
「来たぞ、ここまで」
と尊と駆も声をかけた。
そんな3人をテレーザは自分の部屋の奥まで連れてゆく。
テレーザの部屋、と言ってもそこには玄関ホール、居間、客間、衣裳部屋、化粧部屋、それから寝室。
と幾つもの部屋があるのだ。
都留田の家屋の数倍はある。
その一番奥、寝室の先にあるのが洗面室だ。
洗面室の扉を閉めるなり、歓喜の声をあげて抱き合う、葵とテレーザ。
ひとしきりの抱擁が終わると、
「ほんと、美の国の宮殿ってすごいのね、きんきらきん。もう目が痛くなるわ」
と葵。
「美の国だろ、イマイチ趣味悪くね?」
そういうのは駆、
「ちょっとイメージ狂ったかも」
と尊。
この3人をかわるがわる眺めながら、テレーザは改めて3人をぐっと抱き寄せた。
「会いたかった」
とむせぶように言いながら。
「ほんと、いきなり王女様ご帰国なんて」
「いやーすんげえセレモニーだったけどな」
「驚いたよ、きみが国に戻るなんて」
と3人が同時に話す。
「私だって、帰りたくはなかったけどあの時は黙って従った方がいいって思ったんだもの。
でも、本当に、よくここまで、来られたわね」
とテレーザが言う。
「こんなところまで来るなんて。誰かに見つからなかったなんて奇跡だわ。
普通、民間人がこんなとこうろついているだけで、収監されるわよ」
とテレーザが続けた。
「あんたがいつも話してくれてた城の裏道、隠れルート使ったのよ」
と葵が笑う。
「それに、協力してくれた人もいたしね」
と。
「その格好」
と尊と駆を見ながら笑いだすテレーザ。
葵はともかく、男子二人の従者スタイルは相当可笑しく映ったようだ。
「似合うって言ってあげてよ」
と葵。
「葵はお似合いよ。そのまま誰かの侍女になれるわ」
とテレーザ。
「は、ってなんだよ、葵は、って。俺たちだって似合うだろ、そのままここに仕えようか?」
と尊が言う。
「やめたほうがいいよ、ブラックだから」
とテレーザが笑う。
「で、協力者って、先生たちよね?」
とテレーザ
「そうなのよ、チョビがさ、ダイナ夫妻の昔の飼い犬の生まれ変わりだそうで、ついて来てるのよ。
それでダイナ夫妻の隠れ家に案内してくれて、それで一通りの事情は聴いたわ。
憶測も入っているけれど」
と葵。
「あのじじい、私が訪ねたときには雲隠れして居場所も教えてくれなかったのに」
とテレーザが不満げに言う。
「なにかお考えがあったのよ、じじいなんて言っちゃだめよ、テレーザ」
と葵がたしなめるが、テレーザはますますふくれっ面だ。
「でも、あの方たちオルト爺と同年代なんでしょ?ほんとなの?」
と葵。
「そうよ、魔法学校の同級生って聞いてるわ、何年まえだっけ、180年くらい前だっけな」
とテレーザがサラリという。
「え、そうなの?すごくかっこいいじゃない、なんか騎士みたいなマント羽織って、凛としてさ。
奥様だってすごい美人で」
「そうね。レイが美しいのは認めるわ。でもアルがかっこいいだなんてね、葵の悪趣味」
テレーザの見識とは違い、実のところ魔法使いのアルは長身でなかなかの美男子だった。これまた容姿端麗のレイと結婚したときには「最高の美男美女カップル」と宮廷内が大騒ぎしたほどだったそうだ。
今から3代前の国王が国を治めていた時代だ。
「このキンキラキンの内装も、そのひいひいおじい様の趣味なんですって。
その頃、城の大改修があってその時にこんなになったのよ」
「反対するやつはいなかったのかよ」
と駆
「アルは意見したらしいわよ。その場で1か月監獄に入れられたって」
とテレーザが言う。
「意見しただけで?それで牢屋にぶちこまれるの?そんな時代だったのか」
と尊。
「うん、アルだからそれで済んだけど、普通なら斬首よね。」
とさらりと言うテレーザ。
「まったく、美の国って王の権力すごいのね」
と葵が言う。
「王国なんてそんなもん、だったんだけどね。最近は違ってきてるみたいよ。
お父様はお母様に逆らえないしね」
とテレーザ。
テレーザの父と母、美の国現国王と王妃のことだ。
そこで我に返る3人。
「ねえ、テレーザ。あなたさ、ここで権力争いにっ巻き込まれようとしているのよね?」
と葵。
「王様軍と反乱軍が対立してるって」
「そいつらに、いいように利用されるんだろ?」
葵たちはアルたちから聞いた美の国で「いま起きていること」とテレーザに問いただした。
「まあ、そうね」
とテレーザ
「私の王家の魂ってのが欲しいみたいね」
と。
「私にはどうでもいいことよ、王家の魂があってもなくても。だからさっさと、引き渡してさっさと逃げようと思ってるの」
とテレーザが言う。
「そうか」
「それなら」
「話は簡単」
「ねえ、テレーザ、あなたの言う通り、その王家の魂っての誰かにあげちゃって、早く帰ろう。
私たちはそのために迎えに来たんだから」
と葵が言う。
テレーザの気持ちを確認した今、迷うことはない。
孝太郎たちも呼び寄せて、テレーザの心にあると言う「王家の魂」を引き渡し、
そしてテレーザを自由の身にしてもらおう。
「迎えに?」
とテレーザ。
「そうだよ」
「私、一緒に行っていいの?」
とテレーザが再度言う。
「当り前だ、お前の帰る場所は俺たちの家だから
と尊が言う。
「帰る」
とつぶやくテレーザ。
そうか、私は倭の国のあの都留田の家に「帰る」んだ。
そう思うと、心が躍る。
「私、帰る場所があるんだ」
その時、何やら外が騒がしいことに気付くテレーザたち。
すぐに、洗面室の扉が開かれた。
「ここにおいででしたか、王女」
そこには、テレーザを迎えに来たあの男が数人の「侍女」を従えて立っていた。
「ノックくらいしていただけないかしら」
とテレーザが言う。
「これは失礼を。で、そちらの方々は?」
と男は葵たちを見ながら言った。
「わからないの?私に仕える者たちです」
とテレーザがはっきりと言い放った。
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