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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国」助っ人

やっと城の潜入と思いきや

「おい、お前たち。ここで何をしている」

と声がした。

明らかに葵たちに向けて発せられたその声。


恐る恐る3人はその声の方を見る。

するとそこには、見るからにいかつい装備を付けた衛兵が立っていた。


「城の護衛兵か?」

と尊がつぶやく。


その男は従者の恰好をした尊たちとは異なり、まるで戦士のような鎧を身に着けていた。

腰には大きな剣をさしている。

どこから見ても、友好的ないで立ちではない。


「あの私たちは」

と葵が作り笑いでその衛兵に言うが、その言葉を無視するように、


「おい、お前所属は?」

と冷たく言う。


「所属?」

と葵。


「あの、私たちは」

と再度言う葵。


「所属だよ、早く言わないか、お前たち」

と衛兵が詰め寄る。


「私は侍女で、こっちは従者」

と葵。


「その恰好、確かに王女様方付きの侍女だ」

と衛兵が言う。


その迫力に、葵がたじろぎながら、

「そうよ、王女様の侍女と従者よ、私たちは」

とうろたえながら言った。


「ならば、どの王女の侍女なのだ?」

と衛兵が大きな声で言った。


「そりゃ、そう聞くよな」

と尊がポツリとつぶやく。


「あいつ、咄嗟の切り返しが下手くそだな」

と駆。


葵の背中が苛立ってゆくのを感じた、尊と駆、それ以上は何も言わずにいた。

その時だ、


「この人たちは確かに王女様方の侍女よ、私が保証するわ」

と背後から声がした。


「あなたは」

と衛兵が声の方を見ながら言った。

そこには、葵と同じ制服を着た一人の少女が立っていた。


「私は、フィオナ・クリスティーネ王女の侍女、ルナ・ルイーズです。この人たちはまだ着任したばかりで、所属は決まっていないのよ」

とその少女、ルナ・ルイーズが言った。


「これは大変失礼を。第一王女の侍女殿、貴女が言うなら間違いない。王女様方の侍女、従者殿。

ご無礼をお許しください」

と急に態度を変え頭を下げる衛兵。


「この方たちは、私がお連れするので、あなたは下がっていいわ」

とルナ。

衛兵は再度一礼をすると、足早にその場を立ち去った。


衛兵が見えなくなるると同時に、

「よかった」

と葵が安堵のため息をつきながら言った。


「助かった」

と駆。


「で、あなた、ありがとう。助けてくれて」

と葵がルナ・ルイーズに頭を下げながら言う。

もちろん、尊と駆もだ。


「いえいえ、お気になさらないで。あなた方、どちらからいらしたの?

美の国のお方ではないでしょう?」

とルナ。


おもわず顔を見合わせる3人。

どこまで話て良いのか、そんな表情を浮かべながら。


「僕たちは、遠い国からやって来ました。野暮用があってね、この城に潜入中なんだよ」

と駆。

壁際に立つルナの顔のすぐ横に、手をつきルナの目をまっすぐ見ながら言う駆。

因みに、もう一方の手はポケットに入れられている。


ルナも駆を見つめる。

視線を逸らせない様だ。

そして、その頬がだんだんと赤く染まっていた。


「あーあ、駆のやつ」

と葵が尊をつつきながら言った。


「野暮用ですか?」

と頬を赤らめながら言うルナ。


「そうだよ、特別な任務のためた。この城には知り合いもいなくてね、きみ、ぼくに協力してくれないかな?」

と相変わらずルナの目を見つめながら言う駆。


「もちろんよ」

とルナ、その頬はますます赤くなっていた。


「じゃ、お願いなんだけど」

その言葉を聞いた葵がすかさずルナに言う。


「え、あなた?」

とルナが少々不満げだが、葵は気にする様子はなく、


「あの、私たちテレーザを、いえテレーザ王女を探しているの」

と葵。


「探してる?んですか?」

とルナが驚いたように言う。


「そうなんだ、テレーザ、いやテレーザ王女はどこにいるか知ってる?」

と駆。


先程と同様、ルナの目をがっちり見ながら言っているが、ルナの方は少し表情が違う。

頬の赤らめはそのままだが、夢見つような目つき、ではなくなっていた。


「王女にお会いになりたい、そうなのですね?」

とつぶやくルナ。


「あなた方、何者なんですか?」

と小声で言うルナ。


ルナにはこの3人が、王女の侍女と従者だとは思っていなかった。

任務だかと言ってはいるが、どこかの国から来た旅行者だろう。

その顔立ち、かなり遠い国だ。


「この人たちをどうしよう」

と心で思うルナ。


美の国王宮の指定制服を着ているこの3人。

王族に仕える者専用のものだ。これを着ていれば、宮廷内での行動はある程度自由だ。

先程の衛兵に呼び止められたのは、想定外だったかもしれないが。


誰か、協力者はいるのだろう、自分が関わる必要があるのだろうか。

厄介事はごめんだ。

自分の身が危ない。


「お願いだよ、きみだけが頼りなんだ」

と尊が言った。


それでも、ルナの心は動かない。

この王宮で生きていくには他人を信じない事、それがルナの信念だ。


それでも、この人たちは困っている。

ここで、この人たちを「見捨てる」のは簡単だ。

しかし、この人たちはこれからどうするのだろう、いや、それは自分が心配することではない。

制服を調達してくれた協力者でも頼ればいい、

そんな事が一瞬頭に浮かんだが、


「でも他の誰かがこの人の助けになるのは嫌、この人が、私じゃない誰かを頼るなんて、そんなの許せない」

と強く思うルナ。

その視線の先には、駆の姿があった。

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