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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国」宿命

葵たちの意気込みが。

「それじゃあ、あいつは」


「いくらなんでも理不尽だ」


「それって、あんまりじゃない」


レイの話を聞き終わるや否や、尊、葵、駆、が三人三様に言った。

その顔には、怒りに近いものがある。


「そうだな、お前さんたちの常識からすると、そう思っても仕方のないことだ。

けれどテレーザは王族なのだ。王の血を引く王女なんだよ」

とアルが言う。


「でも、身勝手すぎる。テレーザを何だと思っているの?あの子の気持ちはどうでもいいの?」

と葵は怒りを押し殺すように言う。


「そうだな、そうなんだよ。テレーザの気持ち、そんなものはどうでもいいんだ。あの子もそうやって育てられたはずだ」

とアルが言うと、


「それが王家の子供たちの宿命なのよ。追放されようが消滅させられかけようが、王家の血筋を持つ者の」

とレイも言う。


「いづれにせよ、お前さんたちの親御さんが乗り込んでこなくてよかった。これで少しは時間が稼げる」

とアル。

テレーザの心に宿ると言う「王家の魂」それをどうするにも、都留田幸太郎と瑛子の同意が必要だ。


「しかし、あいつらはそれを知らないらしいな。倭の国のしきたりまで周知していないんだ」

とアル。

倭の国では未成年の旅行者には後見人が必要となる。

テレーザの場合、滞在許可が下りると同時に孝太郎と瑛子が後継人となった。

そして、その旅行者の将来にかかわる決定には後見人の承諾が必要となるのだ。


「あせって、テレーザを美の国へ連れ戻したけど、このままだとどうにも出来ない、ってことだよな」

と駆が言う。


「なんか、ヌケヌケの計画よね、その新政府ってやつら」

と葵。


アルの話では、美の国に新たなる勢力が台頭し「新政府」と名乗り新たなる王を擁立しようとしている。

それがテレーザなのだと。


「テレーザの父ちゃんの軍隊がさっさとやっつければいいんだよな」

と駆が言う。

ここ数日、一気に緊張が高まり王族派と新政府派がにらみ合いを続けているのだ。


「内乱が起きちゃった、ってことでしょ?」

と葵。


「まあ、簡単に言うとそうことだ。俺たちはテレーザの師匠でもあり元宮廷魔法使いだ。王派にとっても新政府派にとっても都合のいい存在だ。だからここに隠れている」

とアルが言った。


「ここってやはり隠れ家なんですね。どうりで変な入口だと思いましたよ」

と尊が言う。

尊はテレーザから、ベルデの森の奥にあるダイナ夫妻の小屋の話をよく聞いていた。

その印象をあまりにかけ離れていたたたずまいで、不思議に思っていたのだ。


「テレーザの今の状況はだいたい分かったわ」

とアルの話を聞いた葵が言った。


「追い出されたのに、内乱に巻き込まれるなんてまっぴらゴメンだわ」

と葵が腹立たし気に言う。


「今のあの子には夢があるの、将来の夢。なりたい自分を見つけたの。それをこんなことでつぶされてたまるもんですか」

と葵が力を込めて言った。


「だよな、じゃさっさとテレーザを奪い返そう」

と駆。


「そんな事が可能なのか?これは国家の問題だぞ」

と尊が言う。

これはもう個人の問題ではない。

テレーザを奪い返して、そのまま倭の国に戻る、そんなことが出来るのか。

自分たちは何か大きな国家の絡んだ陰謀に巻き込まれているのではないか、尊はそう感じていた。


「まあ、お前さんたちにエラそうに語ったはいいが、実は俺にも詳しい事情はわからないんだ。俺たちは魔法使いだ、心を飛ばして様子を偵察することも可能だ。しかし、そうすればここがすぐに突き止められる。それはテレーザにとっていい事ではない」

とアルが言った。


その言葉に息をのむ3人。

この国で起きていること、それをアルとレイのような重鎮な魔法使いですら把握できていない。

それほど急に、密かに進んでいるのだ。


「まずはテレーザと接触することね」

と葵。


「そうだな、俺たちは旅行者としてここにいる。何も知らなくて当然だ。

なんとか王宮に侵入できないかな、好奇心で入り込んじゃったとかで」

と駆が言った。


「最初の門を通過するのも無理ね」

と、その言葉にレイが言う。


「そうだよな、テレーザがどこにいるのかもわからないし」

と尊。


「それでも忍び込むわ。ねえ、何とかして」

と葵が言い切った。


「まあ、そうしてもらわんと困るんだがな」

とアルも言った。


「じゃあ、チョビ、頼んだぞ」

と尊が居眠りをしているチョビに言う。

慌てて飛び起きるチョビ、まったく事情を分かっていない様子だ。


「おまえ、しっかりしてくれよ。俺たちの代りに葵たちを王宮まで連れて行ってくれ」

とアルが言う。


「頼んだわよ」

とレイも言う。


「なんだ、俺がお前たちとあの王宮に行くのか。気が進まねえなあ、俺あそこの猫にこっぴどい目にあわされたんだ」

とチョビがかつて、アルたちの元にいた時の事を思い出して言った。


「そんな猫、きっともういないわよ。何年前の話しなのよ」

と葵。


「テレーザを見つけたら、すぐにお前たちをここに呼び戻す」

とアルが言う。


「それに、あなたたちに危険が迫ってもすぐにここに戻すわ」

とレイ。

アルとレイも、高度な移動魔法が使えるのだ。


「オルトの婆さんよりも早くね」

とレイ。

アルもレイも、ここ美の国に送りこまれた子の3人に身の危険が迫った場合、オルト爺と婆が必ず即座に倭の国へ連れ戻すことをわかっていた。

しかも、それはオルト婆にしか使えない能力だ。

そして、オルト婆の身体は命と引き換えになるほどのダメージを受けることも承知している。


「美の国を追われたテレーザを、これ以上この国のイザコザに巻き込みたくはない。

テレーザをさっさと見つけて来てくれ」

とアル。


そう言うと、尊、葵、駆、そして犬のチョビに向かって、何かを唱えた。

それが移動魔法だ。

3人と一匹の姿がだんだんと霧のようになりそして消えて行った。

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