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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国」洞穴の隠れ家

チョビの正体は?

「よく来たね」

木々の枝やツタに覆われていた洞窟の入り口が、いつのまにやらあらわになりその奥にあった人影が言った。


その姿がだんだんと葵たちに近づいてくる。

ものすごい気配を感じる。

思わず、身をかたくする葵たち3人。


「おいおい、そんなにビビるなよ」

と姿を現した、その人影が言った。


「俺は、アル・ダイナと言う。魔法使いだ」

男はそう名乗った。

その男、長身で体格がよく立っているだけで威厳のある風貌だ。

そうの後ろから、ひょいと顔を出した笑顔の女性がいた。


「私はね、レイといいます。アルの妻よ」

というレイ。

こちらも背が高く、優雅な感じを醸し出している。


「さ、こちらへ」

とレイに言われ洞窟の奥に進む葵たち。


岩の合間をそろそろと進んだその先に、急に広い空間が開けた。

そこはまるで、洞窟の中とは思えない家財道具が揃った部屋になったいた。


「さあ、どうぞ」

とソファを指さすレイ。

少し遅れてアルも部屋に入って来た。


「入り口を閉めてきた。何が入り込んでくるかわからんからな」

と言いながら。


「そうね、忘れたら大変よ」

とレイがお茶を入れながら言う。


温かい飲み物が入ったカップを3人の配るレイ。

その顔がはっきりと見えた。

とてつもなく、美しい。


そして、ドスンと椅子にこ腰掛けながら、履いていた長靴を脱ぐアル。

こちらも、端正な顔立ちをしている。


「まあ、改めて自己紹介といこう。

俺はアル、アル・ダイナ。元宮廷魔法使いだ。いまはこんな森の奥地でひっそりと隠居生活を送っているがな。知っているとは思うが、テレーザ王女の師匠でもある」

とアルが言い、


「私はレイよ。同じく元宮廷魔法使い。アルとは一緒に魔法を習ったの、小さなころからの知り合いでね、もうアルが私にぞっこんでね、それで熱烈アプローチされて夫婦になったのよ」

とレイ。

側にいるアルが、気恥ずかしそうにレイの肩をつついた。


「あら、おしゃべりが過ぎたわね。で、あなたたちはテレーザを追ってここまで来たのよね?」

とレイが続けた。


「それはそうなんだけど。ここはどこなの?、それでなんでチョビがいるの?」

と葵が聞いた。


「おい、チョビ助、お前何も説明していないのか。まったく役に立たん奴だ」

と片隅にいたチョビに言うアル。

チョビは、慌てて葵の膝に駆け上った。


「だって、ボクだって急に言われてきたんだもん」

と葵にすがりつきながら言うチョビ。


「おい、さっきまでとは態度が違うぞ、さっきまであんなに偉そうだったのに」

と駆に言われるチョビ。


するとチョビは急に、いつもの犬に戻ったかのように、クィーンと鳴き声をあげて葵にますますすり寄っている。


「まあ、そんなこと言っても。ね、チョビちゃん」

と葵はチョビの頭を撫でてやる。


「チョビ、大切にしてもらっているのね」

とレイが言った。


「どういうことですか?」

と尊が口を挟んだ。

まるでチョビの事を前から知っているような言い方のレイに疑問を持ったのだ。


「そうね、チョビはね、元々私たちの飼い犬。私たちの魔犬だったの。

もう何年も前に死んでしまったんだけど、生まれかっわったのを知ったのよ、倭の国で」

とレイが言った。


「お前さんたちの家にもらわれたのは偶然だったがな」

とアル。


チョビは瑛子が仕事仲間から譲りうけた。

仕事仲間の飼い犬が生んだ子犬の一匹だった。


「この犬を飼う」

そう瑛子に孝太郎は猛反対をした。


「ただでさえ、まだまだ世話の必要な子供らがいるのに犬など飼っている余裕があるのか」

と言いながら。


「どうしても飼うというなら、お前が責任を持って世話をしろ。

俺は一切、手を出さないぞ。

それから餌代やこいつにかかる費用を家計から出すことは許さん。

それでもいいなら好きにしろ」

と冷たく言い放った孝太郎。


その言葉通り、チョビの世話はほぼすべて瑛子がやっていた。

時々は葵も手伝ったが、それはごく最近になってからだ。


孝太郎はもちろん、尊も駆もチョビにはほぼ関わらることがなく、瑛子はチョビをただただ可愛がりすっかりわかままな駄犬となっていたのだ。

かつては、宮廷魔法使いダイナ夫妻自慢の名犬だった自分をすっかり忘れて。


それが、テレーザが来てからは少しずつ変わっていったチョビ。

懐かしい美の国の匂いでかつての自分がよみがえって来た。


そして、目の前にいるこの異国の娘、テレーザからなぜか目が離せない。

自分が守らなけれは、そんな使命にかられていたのだ。


その様子に孝太郎も少しずつ態度を変えていった。

散歩に連れて行くようになり、その道すがら色々と話しかけてくれた。

チョビはこの都留田一家の一員となった気がしていたのだ。


「この家族とテレーザのためにこの身を捧げる」

そう思っていた。


「あんたってそんな立派な犬の生まれ変わりだったんだ」

と葵がチョビを抱き上げながら言う。

チョビはいつものように、葵の鼻先をペロリとなめた。


「さあ、これからが本題だ。

テレーザの身に起きていること、これを話さないといけないな」

とアルが、姿勢を正し葵たちの方に向きなおった。

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