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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「倭の国」王家の魂って?

オルト爺は頼りになるの?

「結局、オルト爺の知ってることって、テレーザが美の国へ戻されるっことだけ?

それから、なんだっけ。王家の魂?そんなんがまだテレーザの心にあるって、それだけ?」

と葵が不満げに言う。


都留田家の面々としては、一番知りたいのはテレーザの安否、これからの事。

そして何の目的で美の国へ連れ戻されたのか、ということだ。


その情報を自分たちよりも知っていると思われたオルト爺と婆。

それが。


「いくら、テレーザが連れ戻されるって事前に連絡があったって、

それをこっちに知らせてくれるのが、今じゃねえ。もうアイツは行っちゃったんだし」

と尊も言う。

静かな話し方だが、心中穏やかではないことは明らかだ。


「お前さん方の話を聞いて推測するしかないんだが」

とオルト爺が言った。


オルト爺の「推測」これは普通の人間のそれとは違う。

爺の持つ力を駆使して探っているのは明らかだ。


「推測?」

と先ほどまでとは打って変わって興味津々で爺の側に歩み寄る葵たち。


「聞きたいか?」

と爺が言う。


「もちろん」

と葵。


「わしに不満もっとるくせに」

と小さく呟くオルト爺。


「爺さん、大人げない」

とそっぽを向く爺に言うオルト婆。


「だって、爺ちゃんしか頼れるひとがいないんだもん」

とすかさず言う葵。


「子供たちが失礼を、ぜひともお力をお借りしたい。お願いします」

とそこに割って入ったのは孝太郎だった。


「ああ、いやいや」

とオルト爺。

葵たちを少しからかっただけのつもりだったのだ。


「で、お前さん達」

とオルト爺が言う。


「テレーザを連れに来た連中だが、王宮の命により、と言ったんだな」

とクルーズ船に乗り込んできた美の国の使者の事を聞いた。


「そうだよ、間違いない」

と尊。


「ふむ、これは国王の命ではない、ということか」

とオルト爺が言った。


「それに、テレーザの知った顔はない様子だったんだな」

と続ける。


その言葉に頷いたのは瑛子だった。

あの時、瑛子はテレーザから一瞬たりとも目を離さなかった。

テレーザが、美の国からの使者を見つめたあの眼。

「美の国」という言葉に、懐かしさは感じていたようだが、まるで他人を見る眼だった。


「あれは、知らない人を見る眼だった」

と言い切る瑛子。


「そうよ、わざと知らん顔してたんじゃない。あれ誰?って言ってたし」

と葵も言う。

葵は、美の国の使者を見たテレーザがほんの小声で言ったのを聞き逃さなかった。


「もしも、王家からの迎えなら、テレーザの侍女が来るべきだろう」

とオルト爺が言う。


「それに、王の側近も必ず来るだろう」


「じゃあ、あれは誰だったんだ」

と尊が言う。


「美の国からの使者、それは間違いない。あれだけの陣営で正式に倭の国(ここ)に入国してきたようだ。しかし、王家の使いではなく王宮に仕える役人ということだろう」


オルト爺が言うには、


「テレーザが連れ戻されたのは、王の意思ではなく王宮の意思だ」


「どう違うの?」

と葵が声を上げた。


「いくつか考えられるが、

王に抗おうとする勢力が台頭している。その反体制の輩が、王家の魂を持ったまま流浪しているテレーザを新たな王にしようともくろんでいる、または」

ここまで言った爺に、


「あのさ、だったら別にテレーザじゃなくてもいいじゃない。美の国には他に王位継承権をもつ王女も王子もいるでしょ」

と葵が口を挟む。


「また、嬢ちゃんはやっぱりせっかちだな」

とオルト爺が言う。


「王女と王子が、反体制の意に添わず抵抗している。それとも」

ここでオルト爺の言葉は途切れた。


「なに、今度は邪魔しないからさ、先を聞かせてよ」

と葵。


「その王女や王子に、王を継ぐ資格が無いのかもしれん」

とポツリと言う爺。


「っていうことは、王様や王女たちの王家の魂ってのが無くなったってことか?」

と尊。


「王家の魂、それは王位継承権を持つ者の証だ。しかしそれは目に見えるものではない。

どういうわけか、ファンタジーワールド(この素晴らし世界)の王国では、

王位継承権を持つ者は王家の魂を心に宿している者、と定められている」

とオルト爺が言う。


「でも、テレーザは王位継承権第4位、4番目の子だから。上のお姉さんたちにも王家の魂があるっことよね」

と葵。


「公表されているのはな。王家の魂の事は世間では知られていない。

誰に王家の魂があって、誰にないのか、それはごく一部の王族関係者しか知らない」

とオルト爺が言う。


「ということは、テレーザの王位継承順位は4位じゃないかもしれないってことか」

と駆。


「そういうことになるな」

とオルト爺がつぶやいた。


「で、正式には何位なのか知ってるんですか?」

とそれまで黙っていた瑛子が言った。


「それは、あの、知らん」

とオルト爺が言った。


「テレーザが王家の魂を持っていること、これもダイナからの連絡で知った。ダイナはテレーザの魔法の師匠だったから、知ることが出来たんだろう。これをわしに伝えてきた。これがすべてな気がするんだ」

とオルト爺。


「テレーザに王家の魂があるってことが、その反体制の奴らにバレちゃったってことだよな」

と駆が言う。


「それじゃなきゃ、あいつが連れ戻されることはなかったんじゃ」

と。


「ああ、そうだろう。だが王家の魂について知っているのはごく一部の者だ。

今までも色々な王国で起きた内乱。新しい王を据えても、王家の魂を持っていないことも多かった。

それが、わざわざテレーザを呼び戻した。それも王家の魂を持っていると知ったうえで」


「やばいじゃん」

と駆。


「それがだな、奴らは大変なことを見落としているのだ」

とオルト爺が言う。


「大変なこと?」

と全員がその言葉にうなずく、


「そうだ、テレーザが正式に承認された旅行者だと言うことだ。

そして、その後見人が都留田夫妻、あんたたちだ。テレーザが持つ、王家の魂に何かをするためには、

あんたら都留田夫妻の承認が必要になる。

それをアイツらはわかっていないようだ」

とオルト爺。


「パパたちが?」

と葵。


「おれたち、美の国へ行けないだろうか?」

と尊が言った。


それは他の全員が口に出そうとしていたことだった。

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