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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「倭の国」訪問者

テレーザのいない都留田家

倭の国、都留田家。


テレーザがいなくなったこの家。

なんだか静かだ。

そして、ガランとしている。

たった一人、いないだけなのに。


居間に、瑛子と葵、尊そして駆が集まっていた。

ロベル・リゾートから戻って、それぞれしばらくの間独りきりになってこの状況と向き合った。

テレーザが突如、祖国に呼び戻されていなくなった、今の現状を。

そして誰からともなく、居間に集まって来たのだ。


しばらくの沈黙の後、

「このまま放っておくの?」

と葵が言った。


その言葉を皮切りに、尊も駆も堰を切ったよう口を開いた。

皆、思うことは同じ。

テレーザの事を放置するわけにはいかない。


「助けに行こうよ」


「テレーザが国に戻って安泰でいられるわけがない」


「何かの陰謀に巻き込まれるんじゃ」


そしてたどり着く結論は、


「美の国へ乗り込もう」

と意気込む葵たち。


その様子を瑛子は冷静に見守っていた。

瑛子にとってもテレーザはかけがえのない存在。

すぐにでも、呼び戻したいのはやまやまだ。


しかし、大人の見解として自分たちが美の国へ行ったとしても、出来ることは何もない。

それだけは確かだ。


「じゃあ、ここでじっとしていろっていうの?」

と葵が語気を強めて言う。


その時、勤務先の役所に行っていた孝太郎が帰って来た。

険しい顔をしながら。


「パパ?」

その表情を見るなり、葵が不安そうに声をかける。


「ちょっと待っくれ、せめて着替くらいさせてくれ」

そう言うと自室に消える孝太郎。

しばらくして部屋着姿の孝太郎が、みなが待ち構える居間にやって来た。


「調べてきた」

と開口一番に言う。

もちろん、テレーザのことだ。


孝太郎は表向きは、急な訪問をしたビィラ王国のエステル王女に付いての報告のため、職場に向かったのだが、同時にテレーザの情報についても色々と調べてきたのだ。


「新しい情報は何もない。公式、非公式ともにかなり調べたんだが」

と孝太郎。


孝太郎の勤め先では、各国に関する重要機密を見ることが出来る。

もちろん、限られた権限を持つ者だけだが。

幸い、管理職でもある孝太郎はほぼすべての情報を閲覧する権利があるのだ。


「テレーザが帰国した、ということも、王宮で何かが起きているということも、どう調べても何も出てこなかった」

と孝太郎が言う。


「隠されているの?」

と瑛子が聞いた。


情報は白紙、その陰で何か大きな事態が起きている、そう思わざるを得ない。

そうでないなら、せめて


「テレーザ王女、休養から復帰」

などの発表があってもよさそうなものだ。


それどころか、ここ1週間ほど美の国の王室に関する情報が、

すべて、


「通常と変わらず」

となっているのだ。

それもおかしなことだ。


そして、美の国の王室メンバーの個別情報も閲覧したが、

テレーザに関しては、「静養に入ります」以来何も情報は追加されてはいなかった、

がしかし、情報の最終更新日があのテレーザが呼び戻された一日前に変わっていたのだ。

だれかが、テレーザの情報ページに何か操作をしたのは明らかだった。


「もう、謎だらけだなあ」

と尊は言うが、孝太郎にはわかっているようだ。


テレーザの帰国、それが極秘事項であるということ。

大抵の場合、何か厄介事が潜んでいるということ。


「そういえば、あいつタブレット持ってったんじゃね?」

と駆が思い出したように言った。


ここに来た当初、尊がテレーザ持たせたタブレット。

テレーザはそのタブレットを常日頃から持ち歩いていた。

あの日も、持っていたはずだ。


その言葉を聞いた尊が、慌てて自分のスマホを取り出した。

もしも、テレーザがタブレットを持って美の国に戻っているなら、これで連絡が取れるかもしれない。

それに、GPSが搭載されているタブレット。

テレーザの居場所もわかるだろう。


その時、玄関のチャイムが鳴った。

誰かは訪問したようだ。


尊にスマホの操作を一旦止めるように言う孝太郎。

訪問者によってはテレーザの事を話題にしていることが問題になるかもしれない。


独り玄関に出たのは瑛子だった。

ドア越しに、


「どちらさまでしょうか」

と声をかけた。


しばらくの沈黙の後、

「わしらは、オルトと言います」

と外から老人のしゃがれた声がした。


倭の国にいる、数少ない魔法使いのオルト爺だ。

テレーザの事もよく知っている。

瑛子は、思わず勢いよくドアを開けた。

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