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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「美の国」ベルデの森

美の国でどうする?テレーザ

夜更け、ただ一人でベルデの森を進むテレーザ。

目的はダイナ夫妻を訪ねることだ。


ダイナ夫妻の家はベルデの森の奥にある。

テレーザが小さなころからよく行った場所だ。


ランプも持たず星の灯りだけを頼りに、森を進むテレーザだが幼い頃から馴染んだこの森、

迷うことなく歩いていた。


「このあたりには、魔獣がいるんだけどな」

とテレーザ。


森の中には魔獣が多く生息している。

先程からテレーザの様子を伺っている、獣の気配があった。


野獣の多くは人を襲うこともあり、遭遇するのは避けたいところだが、

テレーザに怖がる様子はない。


「久しぶりね、帰って来たよ」

とテレーザが言う。

テレーザも迫っている魔獣の姿に気付いていたのだ。


その時、一匹の魔獣がテレーザの前に立ちはだかった。

背中に羽が生えた、馬のような大きな犬のような姿のその魔獣。

本来、人間の前に姿を見せることはほぼない。


テレーザに向かい、前足をまげまるで頭を下げているかのようだ。

その頭を、テレーザが優しく撫でる。

野獣は喜んでいるかのように、目を細めた。


テレーザはその野獣と並んで歩く。

以前から、仲良くしている魔馬だ。


魔馬はテレーザの行先をわかっているらしく、ダイナ夫妻の家まで先導してくれている。

テレーザも慣れた道とはいえ、久しぶりだし真っ暗だし、少し不安だった。


「ありがとう」

と背中の羽を撫でるテレーザ。

久しぶりの感触だ。


しばらく歩くと、木々が少しだけ開けその合間に小さな家があった。

ダイナ夫妻の家だ。


「ここまででいいよ、今日はありがとう。もう帰って寝てね」

とテレーザが魔馬に言う。

魔馬はテレーザをちらりと見ると、そのまま後ろを向き引きかえして行った。


ダイナ夫妻の家の前で、一瞬立ち止まるテレーザ。

聞きたいことも、言いたいことも、たくさんある。


そして、意を決するように扉を叩く。

窓の明かりは消えており、中の様子を知ることはできない。


しかし、中からは何の応答もない。

よくよく見ると、まるで人の気配がしないではないか。


「どうしたんだろう」

とテレーザは思った。


三度ほど、扉を叩くも誰も応えることはなかった。

そっと扉に手をかけるテレーザ。

するとカギはかかっておらず、扉が開いた。


そっと中に入るテレーザ。

しばらくすると、暗闇に目が慣れたのか周囲が少しずつ見渡せるようになった。


扉を入ってすぐにある、ダイナ夫妻居間。

以前のままだ。


「アル?レイ?いないの?」

とダイナ夫妻の名を呼んでみるが、やはり辺りは静まり返ったままだ。


「寝てるのかな」

そう言いながらダイナ夫妻の寝室に向かうテレーザ。

この夫婦が、家を留守にする。

そんな事はまずないはずだ。


居間を通り抜けようとしたその時、暖炉の上に光るものを見つけた。

一枚の紙切れだ。

まるでテレーザに見つけてくれと言わんばかりに、魔力のこもった光でほのかに輝く一枚の紙。


テレーザが手に取ると、光がスーッと消えていった。

その紙を窓越しで見る。

星灯りでなんとか、読めると思ったのだ。


テレーザが窓越しにその紙を読むと、そこには。


「お前は一人じゃない、助けを待て」

とそう書かれてあった。


「どういうこと?」

とテレーザ。


その紙に「テレーザ」という名の記載はなかったが、これは自分に当てたものだ。

とテレーザは思った。

と同時に、ダイナ夫妻が今この家にいない事を察した。


その紙を持ち、ダイナ夫妻の家を後にするテレーザ。

そろそろ部屋に戻らないと、こちらもヤバい。


帰り道は小走りでベルデの森を走りうぬけた。

城につき、壁をよじ登って自室の窓にたどり着いた。


「古い城で助かったわ」

とテレーザ。

これが倭の国の最先端セキュリティを備えたビルなら、この時点で警備員が駆け付けていただろう。


「収穫ゼロか」

とベッドに寝ころびながらテレーザは思った。


それどころか、ダイナ夫妻はどこに行ったのか。

これも不安だ。


久しぶりの自分のベッド。

これはあの頃のままだ。

ほどなくテレーザは眠りについていた。

考えることは頭からあふれるくらいたくさんあったが、やはり色々なことがありすぎた一日だ。相当につかれていたのだろう。


その頃、倭の国、都留田の家では、

都留田家の面々とオルト夫妻が居間にいた。


「美の国へ行くわ」

と高らかに叫ぶ瑛子の声が、家の中に響き渡っていた。

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