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航空母艦神鳳  作者: 山月
14/18

第十四話 決戦、Z作戦

 10月22日 17時30分

「空母3、巡洋艦2隻撃沈、空母1、戦艦2隻撃破……」

 第3艦隊が戦力の再編に努めているころ、第一機動艦隊司令部では第一航空艦隊(角田覚治中将)の戦果確認が行われていた。

「空母の撃破数が思ったより少ないな」

「相手も警戒していたのでしょう」

 小沢治三郎一機艦司令長官に対し、古村啓蔵参謀長は首肯する。

「しかし、水上艦の漸減には成功しています。護衛戦力の減った今なら、我が機動部隊での攻撃も期待できます」

 航空参謀の言葉に、複数の幕僚が同意をする。小沢は応えた。

「わかった。翌日明朝より索敵機を発進、敵機動部隊を発見次第、これを全力で叩く」

「そして、艦隊は前進、敵を引き付ける!」


 日本側の決戦作戦——Z作戦の主力部隊は水上打撃艦隊、空母機動部隊は敵空母の漸減と敵機動部隊——正確にはその攻撃隊の誘引が目的であった。


 第一機動艦隊 司令長官:小沢治三郎中将

  第一航空戦隊【空母】「神鳳」「大鳳」

  第ニ航空戦隊【空母】「蒼龍」「飛龍」

  第五航空戦隊【空母】「赤城」「翔鶴」「瑞鶴」

  第六航空戦隊【空母】「千歳」「千代田」

  第十戦隊【軽巡洋艦】「矢矧」

   第五十二駆逐隊【駆逐艦】「桑」「桐」「杉」「槇」

   第五十三駆逐隊【駆逐艦】「樅」「樫」「榧」「楢」

   第六十一駆逐隊【駆逐艦】「秋月」「涼月」「初月」「花月」

   第四十一駆逐隊【駆逐艦】「若月」「霜月」「冬月」「春月」


 多数の大型空母と防空駆逐艦を有する一機艦は、第三艦隊を分割・再編成した部隊である。彼らは敵機動部隊を誘引する『囮』であった。一方、もう一つの機動部隊―—山口多門中将率いる第二機動艦隊の編成は以下の通り。


 第二機動艦隊 司令長官:山口多門中将

  第三航空戦隊【空母】「雲龍」「瑞龍」

  第七航空戦隊【空母】「天城」「葛城」「笠置」

  第十二戦隊【軽巡洋艦】「大淀」

   第十駆逐隊【駆逐艦】「秋雲」「風雲」

   第三十三駆逐隊【駆逐艦】「浜波」「沖波」「岸波」

   第三十四駆逐隊【駆逐艦】「朝霜」「早霜」「秋霜」「清霜」


 中型空母と艦隊型駆逐艦で構成された二機艦の任務は、後方の補給部隊ないし上陸船団を攻撃し敵の侵攻作戦を挫くことである。なお、編成にない空母(隼鷹、龍鳳)は第一艦隊(古賀峯一連合艦隊司令長官直卒)及び第二艦隊(栗田健男中将)の直掩にあたる。


 この作戦は第二次南太平洋海戦の結果を受け、機動部隊により勝敗を決することが困難であると結論づけられたために立てられたものである。日本海軍が長年構想してきた艦隊決戦、機動部隊はその前座とされたのだ。


 最後に航空屋の意地を見せてやる――一機艦司令部の面々はその思いを胸に秘め、決戦に臨んだ。


 10月23日 10時58分

「敵艦隊発見、トラックより南東40浬」

「ずいぶんと離れているな」

 一機艦司令部の予想に反し、敵機動部隊はトラック諸島からかなり離れた位置にいた。

 これは、同地に展開する第一航空艦隊の攻撃を警戒しての行動だった。もっとも、一航艦はすでに戦力の七割を失っていたが……

「よろしい、攻撃隊は直ちに発進せよ。艦隊増速、進路270」

 小沢の号令により、カタパルトにより次々と発進する攻撃隊、その顔ぶれは大きく変わっていた。

 彗星艦爆は発動機を金星六四型(1,600馬力)に換装した二二甲型に、天山艦攻も同じく火星三二型(1,870馬力)に換装した二三甲型に更新された。開戦以来の主力戦闘機、零戦も発動機を金星六四型に換装した五四型となっている。

 そして艦上攻撃機「流星」、出力2,000馬力を誇る新型発動機「誉二一型」を搭載し、雷撃のみならず急降下爆撃も可能な万能機である。さらに零戦の後継機「烈風」、同じく出力2,000馬力を誇る「ハ43」を搭載、F6Fヘルキャットと同じかそれ以上の能力を秘めている。


 新鋭機で固められた第一次攻撃隊216機は、艦上偵察機「彩雲」の誘導を受け、敵機動部隊を目指す。機動部隊本隊も彼らを収容すべく、前進する。太平洋戦争、最後の海戦の始まりである。

彗星二二甲型

全長:10.27メートル

全幅:11.50メートル

全高:3.07メートル

自重:2,650キログラム

発動機:金星六四型(1,600馬力)

最高速度:時速580.0キロメートル

航続距離:2,500キロメートル

武装:7.7ミリ機銃2挺(機首)

   13.2ミリ機銃1挺(後方旋回)

爆装:250キロ爆弾3発(胴体1、翼下2)、

   500キロ爆弾ないし噴進弾1発(胴体)

乗員:2名

彗星一一型の発展型。発動機を金星六四型に更新し速度を向上させている。また、航続距離を犠牲に機体強度を強化し、武装と防弾能力の強化を図った。


天山二三型

全長:10.86メートル

全幅:14.89メートル

全高:3.82メートル

自重:3,200キログラム

発動機:火星三二型(1,870馬力)

最高速度:時速483.8キロメートル

航続距離:2,700キロメートル

武装:13.2ミリ機銃2挺(後方旋回)

爆装:60キロ爆弾6発、250キロ爆弾2発、

   500キロ噴進弾2発、

   500ないし800キロ爆弾1発、

   航空魚雷1本、のいずれか

乗員:3名

天山一二甲型の発展型。彗星二二甲型同様、発動機の換装による速度の向上や機体強度の強化による防弾性の改良が図られている。

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