第一話 トラック島沖海戦
初投稿です。
いろいろと至らぬ点もございますが、ご容赦くだいさい。
1944年(昭和19年)10月23日13時頃 トラック諸島沖
トラック島沖海戦は新たな局面に突入した。
アメリカ海軍第38任務部隊がようやく日本艦隊を発見したのだ。すでに日本側の攻撃により、空母ワスプⅡ、バンカー・ヒル、軽空母プリンストンが沈没、空母レキシントンⅡが損傷し離脱するなど大きな損害を被っていた。しかし、司令長官ウィリアム・ハルゼー大将の闘志は揺るがなかった。
「攻撃隊は直ちに発進、ジャップの空母を沈めて来い!」
残存する空母5隻、軽空母5隻から攻撃隊が飛び立つ。その数およそ200機。合衆国が誇る荒鷲たちは、日本艦隊——第一機動艦隊に襲い掛かった。
同日18時頃 第一機動艦隊
一機艦は良く戦った。対空電探により誘導された迎撃隊は効率よく敵機を葬り、少数ながら実戦投入された艦上戦闘機烈風は数に勝るヘルキャットを翻弄した。やっとの思いで輪形陣にたどり着いた攻撃機も長10センチ砲・長12.7センチ砲の攻撃を受け、それすらかいくぐった機体も40ミリ・25ミリ機銃の弾幕により手厚く歓迎された。
しかし、200機もの攻撃隊を3度差し向けられてはどうしようもなかった。護衛の第十戦隊は半壊、歴戦の赤城、蒼龍も攻撃に耐えきれず海底へと沈んだ。飛龍、翔鶴も被弾し速力が衰える中、攻撃を耐え続ける一隻の空母がいた。
「敵機、左前方、急降下!」
「取り舵いっぱい、急げ」
「総員、衝撃に備えよ!」
直後、轟音とともに基準排水量37,000トンの船体が激しく揺さぶられた。
「被害報告!」
「前部昇降機付近に被弾、格納庫で火災発生!」
「可燃物投棄、消火急げ!」
戦闘指揮所に艦長阿部俊雄大佐の声が響く中、第一機動艦隊司令長官小沢治三郎中将が口を開いた。
「大鳳の様子はどうだ?それと、敵の動きも知りたい」
「大鳳は被雷し速力低下、現在16ノットで航行中、とのことです」
「偵察機の報告によりますと敵機動部隊は現在北上中、我々一機艦に向かっています」
「大鳳は持たんか……」
小沢の言葉に参謀長古村啓蔵少将が答えた。
「しかし、作戦は成功したとみて良いでしょう」
その言葉に小沢は大きくうなずいた。
「GF司令部に打電しろ、『我、敵機動部隊ノ誘引ニ成功ス、神鳳ハ健在ナリ』」